自然はすべからく、陰陽の組み合わせでできているが、イカは捕食者から逃げるのに陰と陽の二様のやり方を使う。
「陰」は明るい場所での墨(スミ)放出である(写真1)。これは煙幕として利用される。イカ墨(イカすみ)は、イカが水中に排出する粘性の高い黒褐色の液体である。捕食者から逃れるために使われる。イカ墨の色素の主成分はメラニンで、高級食材として利用される。
(ブログ「屋久島の海で生きる者たち」より引用転載)
「陽」の戦術は暗い深海などで目くらましとして発光液を放出する。これは、ヘテロティウチス・ディスパーというイカで最初に観察された。このイカは、イタリア半島とシシリー島の間のメッシナ海峡に生息する。日本の近海に生息するギンオビイカ(写真2)も、敵に襲われたときに、発光液をおとりにしてすばやく逃げ去る。ギンオビイカは餌にしているトゲオキヒオドシエビのつくる発光液を体内にためこみ、必要なときに海中に放出しているそうだ。
(ブログ「ギンオビイカ 深海生物紹介」より引用転載)
参考文献
羽根田弥太 『発光生物の話』北隆館 1983