まっ暗い真夜中にライティングして、純白の花心一点に集中していると、あの世にでも舞い込んでしまったのかと、奇妙な感覚を覚えてしまいます。
花弁は真っ白ですが、花粉は淡い黄色をしています。
月下では、その黄色が虫たちに判別できるのかも知れません。
夜のことですから、受粉虫は羽を広げた蛾だと思いますが、黄色い花粉を体に付着させ、次の花では、花粉の手前にある星形の雌しべに止まって受粉するという具合なのでしょう。
雌しべの形もエキゾチックで美しいです。
月下美人によく似た花があります。
南西諸島やハワイ島などで栽培されているドラゴンフルーツの花です。
同じくサボテンの仲間ですが、月下美人の果実は見たことがありません。
暖かい地方では、受粉虫がいっぱいいるんだろうと思います。
一夜花と言っても日替わり前の僅か4時間だけの花です。
まさしく、いっ時花です。
月下にそーと咲いて、そーとしぼんでしまいます。
短時間勝負の月下美人は、強烈な芳香を放し、蛾などを呼んでいるのです。
夜なのに、これほどまでに純白で美しく咲く訳は何なのでしょうか。
短時間で咲くからには、超音波でも流しているのかも知れません。
そういえば、蕾から満開に至るまで、音無き音を発していると若者たちが聞き耳立てていました。
私んちの美人がやっと祇園祭の夜、クライマックスを迎えました。
昨夏は、7月3日でした。早咲きしたために4回も咲いてくれました。
今年は、若干遅かったので、3回止まりかも知れません。
それにしても、純白で神秘的に咲いてくれ、何時見ても感動ものです。
僅か一夜だけの月下美人に、心ひかれずにはおれません。
おもちゃの少なかった子供の頃、桔梗の花が蕾を膨らませれば、小さな指で、次々と摘んで、弾ける音を楽しんだものです。
そんなことは、もう久しく行ったことはありません。
ファインダーを覗きながら、そんなことを懐かしく思い出しながらシャッターを押しました。
同時に初秋の気配さえ感じました。
ひまわり娘
阿久 悠 作詞
Shuki Levy 作曲
誰のために咲いたの それはあなたのためよ
白い夏の陽ざしをあびて こんなにひらいたの
恋の夢を求めて 回るひまわりの花
そしていつも見つめてくれる
あなた太陽みたい
涙なんか知らない いつでもほほえみを
そんな君が好きだと あなたはささやく
もしもいつかあなたが 顔を見せなくなれば
きっと枯れてしまうのでしょう
そんなひまわりの花
涙なんか知らない いつでもほほえみを
そんな君が好きだと あなたはささやく
誰のために咲いたの それはあなたのためよ
あなただけの花になりたい
それがわたしの願い
あなただけの花になりたい
それがわたしの願い
日本の夏と来れば、何と言っても地上高く太陽の如く開くひまわりの花です。
草丈が3mもあって、花の直径が30cmもありました。
いつの間にか "ひまわり娘" を口ずさんでいました。
珍しい花のように見えます。
この花は、茄子の花なのです。
茄子でも薄緑色した鹿児島地方でよく知られた「白茄子」の花です。
直径が10cmを超える大きな茄子です。
焼き茄子には、これに勝るものはありません。
それよりも、今にも破れそうで和紙で作ったみたいなかよわい花が、私は好きです。