ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

事故原発のこれから

2011年04月05日 | 日記
事故原発のこれから

 テレビでは事故を起こした原子力発電所のニュースを毎日流していますが、事態が刻々と変化する為に事故原発の現状を報道するのに精一杯で、事故原発を今後どのように沈静化させていくのかを教えてくれません。3月28日(月)発売の週刊ポスト4月8日号で大前研一が事故原発の今後の推移について説明していますので御紹介しましょう。

 大前研一は4つの段階が有ると言います。第1段階として、今後最低5年間は原子炉と貯蔵プールに有る使用済み燃料を冷やし続けなければならない。核燃料は原子炉が停止しても10年以上に渡って崩壊熱(放射性物質が崩壊して放射線を出す際に発生する熱)を出し続ける。また定期点検の為に停止していた4号機では、貯蔵プールに入っていた使用済み燃料の熱でプールの水が沸騰して水素爆発が起きた。使用済み燃料は冷温停止して原子炉から取り出しているにもかかわらず、まだそれだけの熱を出している。

 本来なら、プールで冷やされた使用済み燃料は青森県むつ市の中間貯蔵施設に移して10年程保管した後、同県六ヶ所村の再処理施設でプルトニウムとウランを取り出し、プルサーマルのMOX燃料にして再利用する事になっている。それが「核燃料サイクル」なのだが、中間貯蔵施設を受け入れてくれる自治体が見つからなかった為、使用済み燃料を原子炉建屋の5階に作った貯蔵プールで「一時的に」保管していた。福島第1原発では、原子炉に有る燃料集合体の移動が可能になるまで冷却を続けなければならない。その為には恒久的な冷却システムの構築が不可欠である。

 第2段階では、定温に落ち着いてきた時、放射性物質の飛散防止の為に全体を覆うテントを掛ける。

 5年後の第3段階は、使用済み燃料の搬出である。これは更に難しい。圧力容器の蓋を開けるには特殊な装置を用いて、手動でボルトを外さなくてはならない。また、クレーンを新たに取り付ける工事が必要となる。

 更に、たとえ使用済み燃料を無事に取り出せた場合でも、炉心や貯蔵プールの底に沈殿する燃料クズを掃除しなければならない。と言うのも、燃料クズもまだ崩壊熱を持っている為、熱に弱いコンクリートで固めても、その後に溶けて集まる恐れが有るからだ。

 何日か前に被災地の、ある町長さんが「政府は何故原子炉をコンクリートで固めないのか」と怒っていましたが、私も同じ疑問を持ったものです。こういった事は政府がきちんと説明するべきですね。コンクリートで固めると、かえって始末が悪くなるのだと私はやっと知りました。

 第4段階は、炉心冷却の為に注入された水を、最終的には放射性を帯びた状態でどこかに排出しなければならない。

 そもそも日本政府は、原子力産業を推進すると言っておきながら、民間企業の電力会社に全ての責任を押し付けてきた。その結果、1か所に6基も原子炉が集中し、使用済み燃料の貯蔵プールが同居した事で、前代未聞の大事故を招いてしまった。

 目から鱗(うろこ)ですね。

 お話は変わるのですが、私はこれまで原子力発電は大変デジタルなものだとばかり思っていました。ところが日々のテレビニュースを見ていますと、これは相当アナログな装置です。火力発電では石炭や石油を燃やしてお湯を沸かし、高圧の水蒸気でタービンを回して発電するのですが、原子力発電の仕組みは火力発電の仕組みと基本的には同じで、放射性物質の核分裂で発生する熱を利用してお湯を沸かし、高圧の水蒸気でタービンを回して発電するという、熱源が違うだけの装置だったのですね。

 蒸気機関車やヤカンの蓋の理屈をそのまま原子力発電で使っているとは、迂闊にもこれまで知りませんでした。





コメント
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