覚えたくない
ずいぶん前にNHKのドキュメンタリーを見ました。此度の世界同時不況の原因であるアメリカの投資銀行が、何故その暴走を止められなかったのかというテーマの番組でした。驚いたことに、世界のニュースに登場するような人達がインタビューに答え、番組はそれらの投資銀行や投資銀行のトレーダー達がなにを考え何をしたのかをよく伝えていました。
業績が低迷していた投資銀行(日本では証券会社)業界のなかで1行だけが急速に業績を伸ばします。それは日本に例えるならばサラ金の債権を証券化して投資信託の中に混入させ、彼らの言う「金融工学」のことを知らない年金組合や投資ファンドに売りさばき、売り抜けては儲けを掠(かす)め取るという、倫理観のかけらも見えないやり方でした。他の投資銀行達もそのやり方に気がつき、その銀行からトレーダーを引き抜き、高額の給与を与えて新しい金融商品を作り出して売り上げを伸ばすという、無から無を生じさせるような仕組みが回り始めたのです。こうして投資銀行業界全体が「金融工学」を駆使した金融商品を売り出し、販売競争を激化させるのですが、スタートからその内部には「崩壊」の予兆がありました。
トレーダーの引き抜き合戦によって新しい金融商品を作り出すので、トレーダー達の給与がどんどん上がって、投資銀行は売り上げは伸びるのに、その利益は投資銀行の社長とトレーダー達への給与として消えてしまい、投資銀行それ自体はいっこうに利益を確保出来ないのです。そうして、いつかは破綻すると分かっている金融商品を、「なんとかなるさ」という程度の確信のもとに売り続けていったのですから「なんともならない」のは当たり前のことでした。そうしてリーマンショックをきっかけに、信用という名のお金は投資銀行から潮が引くように逃げ出してしまいました。
「レバレッジ」という言葉も出てきます。投資銀行が、担保の何倍ものお金を銀行から借りることなのだそうです。それまで投資銀行は売買手数料を稼ぐ仲介業(問屋)だったのですが、「金融商品」という商品を作って販売するという、メーカーに変化していたのです。ですからメーカーとしては商品に混入させるための「いかがわしい債権」を仕入れるための運転資金が必要になってきました。そこで「レバレッジ」を使って資金を調達した訳ですね。
放送には出てきませんでしたが、「CDS」という言葉もあります。日本のバブル崩壊の時には無かった言葉です。「CDS」と言われても何のことだか。「クレジット デフォルト スワップ」の頭文字だそうです。いやいや、「クレジット デフォルト スワップ」と言われても何のことだか分かりませんね。
日本のバブルの時には、例えば(1)という裏づけのある信用に、もうひとつ(1)という裏づけの無い信用を加えて合計(2)という信用を作り出して(2)のバブルが発生しました。それがアメリカの場合には、この(2)という信用に保険会社が(2)という信用を付けて(4)という信用を作り、(4)というバブルを作り出してしまったのです。投資銀行が作った金融商品に、もしこれが破綻したらうちが保証しますよという、これを「クレジット デフォルト スワップ」と言うのですね。
いろいろと整理してみましたが、アメリカのバブルの発生と破綻は、「強欲」が生み出したものです。数々の洒落た言葉が出てきますが、根源は「強欲」です。
一通りアメリカのバブルの経過を理解したその後は、どの投資銀行が最初に金融商品を作り出したのかとか、他の投資銀行の名前を覚えるとか、あるいは「レバレッジ」とは何なのかとか、「CDS」とは何かとかを、私の頭に記憶させて覚えているのは嫌だなあと思います。それらの言葉には「強欲」というものがひっついているからです。
ずいぶん前にNHKのドキュメンタリーを見ました。此度の世界同時不況の原因であるアメリカの投資銀行が、何故その暴走を止められなかったのかというテーマの番組でした。驚いたことに、世界のニュースに登場するような人達がインタビューに答え、番組はそれらの投資銀行や投資銀行のトレーダー達がなにを考え何をしたのかをよく伝えていました。
業績が低迷していた投資銀行(日本では証券会社)業界のなかで1行だけが急速に業績を伸ばします。それは日本に例えるならばサラ金の債権を証券化して投資信託の中に混入させ、彼らの言う「金融工学」のことを知らない年金組合や投資ファンドに売りさばき、売り抜けては儲けを掠(かす)め取るという、倫理観のかけらも見えないやり方でした。他の投資銀行達もそのやり方に気がつき、その銀行からトレーダーを引き抜き、高額の給与を与えて新しい金融商品を作り出して売り上げを伸ばすという、無から無を生じさせるような仕組みが回り始めたのです。こうして投資銀行業界全体が「金融工学」を駆使した金融商品を売り出し、販売競争を激化させるのですが、スタートからその内部には「崩壊」の予兆がありました。
トレーダーの引き抜き合戦によって新しい金融商品を作り出すので、トレーダー達の給与がどんどん上がって、投資銀行は売り上げは伸びるのに、その利益は投資銀行の社長とトレーダー達への給与として消えてしまい、投資銀行それ自体はいっこうに利益を確保出来ないのです。そうして、いつかは破綻すると分かっている金融商品を、「なんとかなるさ」という程度の確信のもとに売り続けていったのですから「なんともならない」のは当たり前のことでした。そうしてリーマンショックをきっかけに、信用という名のお金は投資銀行から潮が引くように逃げ出してしまいました。
「レバレッジ」という言葉も出てきます。投資銀行が、担保の何倍ものお金を銀行から借りることなのだそうです。それまで投資銀行は売買手数料を稼ぐ仲介業(問屋)だったのですが、「金融商品」という商品を作って販売するという、メーカーに変化していたのです。ですからメーカーとしては商品に混入させるための「いかがわしい債権」を仕入れるための運転資金が必要になってきました。そこで「レバレッジ」を使って資金を調達した訳ですね。
放送には出てきませんでしたが、「CDS」という言葉もあります。日本のバブル崩壊の時には無かった言葉です。「CDS」と言われても何のことだか。「クレジット デフォルト スワップ」の頭文字だそうです。いやいや、「クレジット デフォルト スワップ」と言われても何のことだか分かりませんね。
日本のバブルの時には、例えば(1)という裏づけのある信用に、もうひとつ(1)という裏づけの無い信用を加えて合計(2)という信用を作り出して(2)のバブルが発生しました。それがアメリカの場合には、この(2)という信用に保険会社が(2)という信用を付けて(4)という信用を作り、(4)というバブルを作り出してしまったのです。投資銀行が作った金融商品に、もしこれが破綻したらうちが保証しますよという、これを「クレジット デフォルト スワップ」と言うのですね。
いろいろと整理してみましたが、アメリカのバブルの発生と破綻は、「強欲」が生み出したものです。数々の洒落た言葉が出てきますが、根源は「強欲」です。
一通りアメリカのバブルの経過を理解したその後は、どの投資銀行が最初に金融商品を作り出したのかとか、他の投資銀行の名前を覚えるとか、あるいは「レバレッジ」とは何なのかとか、「CDS」とは何かとかを、私の頭に記憶させて覚えているのは嫌だなあと思います。それらの言葉には「強欲」というものがひっついているからです。