ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

ヨーガ根本教典

2020年09月20日 | 日記
ヨーガ根本教典

 平河出版社発行、佐保田鶴治著の「ヨーガ根本教典」を私は31才の時に読みました。この本は「ヨーガ・スートラ」と「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」を解説しているのですが「ヨーガ・スートラ」は古典ヨガの金字塔、そして「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」はハタ・ヨガの経典です。佐保田鶴治さんには平河出版社発行の「解説 ヨーガ・スートラ」が有りますのでヨガの8段階に夢中だった私はこれを何度か読み返しましたが、その為に「ヨーガ根本教典」は読み返していませんでした。

 今回「ヨーガ根本教典」を読み返して見ましたらびっくり。この本の本編は「ヨーガ・スートラ」の解説と「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」の解説なのですが、本編の前の「はしがき」と「ヨーガ思想入門」にそのびっくりの記述が有ったのです。少し抜粋してみましょう。

 ここに解説をつけて訳出した二つの教典はそれぞれ古典ヨーガとハタ・ヨーガの根本教典であります。この二つのヨーガは互いに相補う性格のものであると同時に、各自独立のものでもあります。相補うという面からいえば、ハタ・ヨーガの方は、古典ヨーガの予備門であります。体操や呼吸の練習はめい想のための好い条件を作るのであります。しかし、ハタ・ヨーガは独立の面をもっております。この面でのハタ・ヨーガは、古典ヨーガのさらに発達した形態であります。ハタ・ヨーガはヨーガの密教であります。仏教でも、インドで発達した最後の段階は真言密教でありました。ヨーガもハタ・ヨーガに至って密教化したのです。仏教の分類になぞらえていえば、ヨーガ・スートラの説く古典ヨーガは顕教ヨーガ、ハタ・ヨーガ・プラディーピカーの説くハタ・ヨーガは密教ヨーガであります。(はしがき)

 私も長年の間、ハタ・ヨガは「ヨーガ・スートラ」のヨガの8段階のうちアーサナとプラーナヤーマを強調したものだと思っていました。古典ヨガの予備門と言う訳ですね。そして39才の時にアーサナ~プラーナヤーマ~メディテーションに於いて1秒か2秒の僅かな時間では有りましたがサマーディ(解脱)を体験しました。そしてこの時、私は明らかに「ヨーガ・スートラ」のヨガの8段階に沿っていました。

 40才の時に私はインドへ行きラヒリ・マハサヤの曾孫のB・ラヒリさんと対話をしましたが、B・ラヒリさんは「ハタ・ヨガでは(サマーディ=解脱体験)は無理だろう」と言い、私は「プラーナヤーマで可能だと思います」と答えました。B・ラヒリさんはクリヤ・ヨガ、そして私はハタ・ヨガ。しかしハタ・ヨガにイマジネーションの羽の有る事に私はまだ気づいていませんでした。ハタ・ヨガは「ヨーガ・スートラ」のヨガの8段階の予備門で有ると同時に発展形でも有ったのです。ハタ・ヨガに有って「ヨーガ・スートラ」に無いもの、それは身体を重視する事とイマジネーションを重視する事です。

 ハタ・ヨガが「ヨーガ・スートラ」の発展形で有る事を私が分かったのは後(のち)にタントラの勉強をしてからでしたが、佐保田鶴治さんは「ヨーガ根本教典」の「はしがき」で事も無げに語っていました。

 歴史的にハタ・ヨガが「ヨーガ・スートラ」の発展形で有る事を、佐保田鶴治さんは「ヨーガ根本教典」の「ヨーガ思想入門」に書いています。これも、少し抜粋してみましょう。

 ヨーガ・スートラという経典は、長い間にわたってサーンキヤ・ヨーガの思想発展の歴史のなかで現れた多くのテキストのなかの若干を紀元五世紀頃にある人が選び出して編集したものだと思われます。(ヨーガ思想入門)

 ハタ・ヨーガ 、このヨーガの祖はゴーラクナートという名の聖者であるといわれる。この人は十三世紀の初めの頃にインドの北部で活躍し、シヴァ派に属するゴーラクナーティーという一派を開いた。~その後十六、七世紀になってスヴァートマーラーマは、「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」を書いてこの流派のヨーガを明快に紹介した。~ゴーラクナートの一派はシヴァ派の一派であるが、シヴァ神の妃シャクティを崇祀するシャークタ派と密接な関係にあって、インド教のなかの密教(タントラ)に属している。(ヨーガ思想入門)

 ヨーガはいろいろな哲学理論と結びつくのですが、とりわけ、哲学思想の本流であるヴェーダーンタと結びつき、古典ヨーガの理論背景であったサーンキヤ哲学からは離れていきます。ハタ・ヨーガは明らかにヴェーダーンタを思想背景としております。(ヨーガ思想入門)

 ヨガの中でのハタ・ヨガの位置づけがこのところの私のテーマでしたが佐保田鶴治さんはこの本で明快に交通整理していました。そしてシヴァ・サンヒターがハタ・ヨガ(タントラ)の経典なのに、タントラの土台となっているサーンキヤでは無くヴェーダーンタ思想で語られている理由にも納得させられてしまいました。佐保田鶴治さん、恐るべし。






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転倒

2020年09月13日 | 日記
転倒

 5月の上旬に突然右脚の筋(すじ)が痛み出しまして、それから2週間に1度整形外科に通って貼るロキソニンと塗るスミルスティックを貰って治療をして来ましたが、あれから4ヶ月になりますか、随分と治って来ました。そして治って来ますと、どこがどうおかしかったかが段々と分かって来ます。

 5月と6月はちっとも良くならずに暗い気持ちに押されていましたが、6月には2度、後ろ向きに転倒しました。1度目は妻が車で買い物から帰って来た時、買い物の手提げ袋を受け取って右手に持ち玄関前の2段の石段を踏み登ろうとしたら右脚から力が抜けてそのまま後ろ向きに転倒、頭は軽く打ちましたが手首の骨折も無くラッキーでした。そして2度目は玄関を出たところで顔面に蜘蛛の巣がまとわりつき更には頭髪にも絡んで来ましたので両手でのけていましたらバランスを失って後ろ向きに転倒、今度は段差が無かったので怪我もせずすぐに起き上がれました。老人は後ろ向きに転ぶのは大変危険、転ぶ時には前向きに転びましょう。前向きに転べば膝(ひざ)はつけますし肘(ひじ)もつけますし地面に手もつけますから頭を打つことも有りませんし手首も安全です(所説有ります)。しかし、どうして後ろ向きに転倒したのだろうか。

 転倒を経験しますと、何よりも自信を失います。しかし7月には痛みが少しずつ快方に向かい、8月には目に見えて回復して来ました。

 壁に手をつかずに階段の昇り降りが出来るようになりましたしズボンを穿くのに脚が上がるようにもなりました。それまでは脚を上げたつもりが上がっていませんでしたね。そして9月に入りますと階段の昇り降りの前に覚悟を決める事も無く普通に足が出るようにもなりました。自分の階段の昇り降りを観察していますと、それまでは上半身が前傾していなかったのが良く分かります。階段を上ります時に膝(ひざ)が曲がっておらず、そうしますと上半身は前傾出来ずに直立、後ろ向きに転倒する危険が有ったようです。6月に2度、後ろ向きに転倒したのも膝(ひざ)が曲がらずに上半身を前傾出来ず直立したまま脚を踏み込んでそのまま転倒したようです。怖いですね。7月には散歩がてらに近くのスーパーまで歩きましたが、少しの坂道でも上りの時は太腿(ふともも)の表側の筋(すじ)が痛み下りの時は太腿(ふともも)の裏側の筋(すじ)が痛み、そして重い疲労感に襲われたものです。歩き方も完全に右脚を引きずっていました。今では歩いていても脚の筋(すじ)は痛まず、普通に歩いているようです。それでも右脚に違和感は有りますけれども。

 整形外科の先生によれば右膝(ひざ)の関節が加齢で少しばかり減っているのだそうですが、無意識のうちに膝(ひざ)をかばって脚の筋(すじ)を痛めてしまったようですね。脚の筋(すじ)の、どこがどう働いているのか、今回良く分かりました。

 貼るロキソニンは1日に2枚がマックス、そして塗るスミルスティックは1週間に1個がマックスだそうですので薬は大事に使い、そして面倒では有りますけれども2週間に1度は整形外科に通いながら右脚の痛みの完治を目指します。






コメント (2)
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