ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

首都圏担当大臣

2011年04月01日 | 日記
首都圏担当大臣

 此度の東北関東大震災はとんでもなく規模の大きい災害です。日本の太平洋側で南北500km、東西200kmに渡って大地震が発生し、続いて私達の想像を絶する大津波が発生したのですから、これまで私達が経験していた「点」の震災ではなく「面」の震災が起こったことになります。被災地が余りに広域に渡るので、これは地方自治体で対応するには無理が有ります。ですからここは政府が前面に立って対応に当たるべきなのですが、その対応は大きく3つ挙げられると思います。ひとつは当然の事として被災者の救援、そして救援が一段落したら被災地の復興です。そして次には福島県の原子力発電所の事故への対応です。原子力発電所が私達の想像をはるかに超えた打撃を受けていますので、これも政府が前面に立って事故の沈静化を図ると同時に事故の情報を私達国民はもとより世界中に伝える必要が有ります。そして3番目は首都圏の機能の保全です。日本の人口の半分が東京圏、名古屋圏、大阪圏に集中している事を思えば、首都圏の機能の保全は何としても確保する必要が有ります。首都圏の機能の崩壊は日本の崩壊を意味します。ところが政府は今のところ被災者の救援と原子力発電所の事故への対応に心を奪われてしまって、首都圏の機能の保全に対しては気が回っていないように思えます。

 3月14日(月)の朝、つまり東京電力の計画停電が始まった日の朝、私はテレビニュースを見て震撼しました。首都圏の通勤電車がほとんど機能しておらず、通勤のサラリーマンやOL達が最寄り駅で大行列を作っていたのです。計画停電は1日や2日で終わるものでは無いでしょう。向こう1年や2年は覚悟しなければならないのは誰にでも分かる事です。首都圏の労働者達はこれから向こう1年以上、こんな思いをしなければならないのか。計画停電と言っても通勤電車は普通に動くものだと私は思っていました。この前日に東京電力から計画停電の提案を受けた政府はこんな事も想像出来なかったのでしょうか。日本の政府には余りにも想像力が有りません。

 3月23日(火)の午後、私の妻は近所のスーパーへ買い物に行っていました。そこに東京都知事の発表が有りました。東京都葛飾区の金町浄水場の水から1才未満の乳児の基準を超える放射性物質が検出されたので1才未満の乳児には水道水を摂取させないようにとの内容でした。

 あとで家に戻った妻の話では、当初スーパーは空いていたそうです。そうすると突然おばさん達がスーパーになだれ込んで来て2Lの水のボトルの奪い合いを始めました。2Lのボトルはすぐに無くなり、おばさん達は次に500mlのボトルを沢山抱えてレジに並びました。あるレジではおばさんをそのまま通過させましたが他のレジでは「お1人様1本だけです」と言っておばさん達ともめ始めました。おばさん達は「他のレジでは売っている」と主張したり「店員に何本でも良いと言われた」と頑張ります。いよいよ男性の店員がやって来て「お1人様1本だけです」と説得しておばさん達から取り上げたボトルを棚に戻しますと、再びおばさん達の襲撃が始まったと言います。

 東京都知事の発表を聞いた私は「うちには乳児は居ないし、慌てる事は無い」と考え、むしろ東京よりも福島原発に近い茨城県や千葉県の浄水場で放射性物質が何故検出されないのかと不思議に思いました。そして案の定、翌日には茨城県や千葉県で乳児の基準を超える放射性物質が検出され、それは4日間位続いたようです。一方東京の浄水場の放射性物質はその1日だけで治まりました。

 妻がスーパーから戻った翌日、私達はスーパーの食品売り場を覗いてみました。照明を落として薄暗い食品売り場には「私達は生き延びる、赤ちゃんが死ぬのは知った事では無い」という想念が今だに充満していました。私は「気色が悪いから早くお店を出よう」と妻を促し、私達はスーパーを出ました。

 民主党政府はこの災害時に当たって大臣を3人程増やすそうですが、省エネ大臣や節電大臣等は不要だと私は思います。そういった事は既存の大臣達が手分けしてやれば済む事です。それよりも必要なのは首都圏担当大臣だと私は思います。計画停電時の通勤電車についての不手際は首都圏担当大臣が居れば防げた筈です。また乳児の基準を超えた放射性物質について、各都県が同じタイミングや同じ発表基準では動いてはいないように思われます。東京都知事は東京の面倒は見ますが茨城県や千葉県の面倒は見ません。一方で首都圏には埼玉都民や千葉都民という言葉が有るように東京都と首都圏とは一体なのです。首都圏担当大臣が1都6県(8県でも良いでしょう)の放射性物質の情報を同時に発表し、「乳児の為に小売店では18時までは乳児を抱いた、あるいは母子手帳を持った母親だけに水を販売し、一般の方には18時以降にお願いします」と言えば、あのハゲタカおばさん達を防ぐ事も出来る事でしょう。

 日本という国をバックアップする為には首都圏担当大臣を置く事が今は必要だと私は苛立っています。



コメント (5)
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