ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

お見舞い

2023年03月25日 | 日記
お見舞い

 日本ゴーシュ・ヨガ道場から電話が入りました。インストラクターの神野さんからで、ジバナンダ・ゴーシュ先生(78)の容体があと2ケ月くらいかも知れないので古くからの生徒さん達に連絡しているのだと言います。昨年の6月に電話でお話しした時にはあんなにお元気そうだったのにどうした事だろうか。神野さんのお話では血液検査で癌の数字が上がっているが、もう更なる検査はしない。そして入院中に少し痴呆が入って来たようで、今は先生の息子のブバイさんのお家で過ごしておられるそうです。そうだったのか。しばらくして私は、明日お見舞いに行きますとお返事しました。

 翌日、約束の午後1時半を目指して道場へ向かいますと、エレベーターで知らないおばさんが挨拶されます。私は彼女を知りませんが彼女は私を知っているそうで、前田さんは大先輩ですからと言われます。何度かの道場での先生のレクチャーでお目にかかっていたのでしょう。道場に着きますと大昔に道場でインストラクターをされていたおばさんとも合流、神野さんの案内でブバイさんのお家へ向かいました。

 お家の前で10分程傘をさして待っていますと中から2人の訪問看護師の男性が仕事を終えて出て来て自転車で去って行き、ブバイさんが私達をお家の中へ迎え入れてくれました。リビングではまつ毛まで真っ白になった白髪のゴーシュ先生がベッドの上半身を起こしておられます。随分と痩せてはおられますが血色は良く、それでも声は小さく発音もはっきりしないので息子のブバイさんの通訳のおかげで会話は出来ました。私達がマスクを外して先生に顔を見せると先生も分かってくれ、私を指さして「前田さん、この人はヨガの高いところまで行っちゃったよ」と言ってくれました。

 そして私達が話しかけても理解されないようで、先生が1人で次々と話されるのをブバイさんが説明してくれ私達はそれを理解します。ブバイさんは時々日テレの「世界まるみえ」に出られるので初めて感は無く、とても気が付かれる方です。ご一家は沖縄と東京の両方で暮らしておられますが今はブバイさんがおひとり東京で先生のお世話をされています。

 ジバナンダ・ゴーシュ先生の奥様のコルナ先生は2006年に他界されていますので、コルナ先生がいつゴーシュ先生を呼ばれるのかは分からないが、それは早くても遅くても良い、ゴーシュ先生もブバイさんも覚悟を決めて、死を悲しむ事も恐れる事も無く過ごしておられるようでした。

 ブバイさんは既に3つの会社を持っておられますが、更に今度は日本ゴーシュ・ヨガ道場のあとを継がれるそうです。

 リビングの壁にはゴーシュ先生のお孫さん達の写真が貼られていて、ゴーシュ先生はそれをご覧になるのが楽しみなようです。そして写真の中にはブバイさんのお嬢さんの写真も有りました。ブバイさんの説明では17才の高校生ですが既にフロムファースト・プロダクションに所属している女優さんだそうで、芸名をゴーシュ・リンと言います。私達も既にテレビで見ているかも知れませんね。

 そろそろ先生が疲れて来たとのブバイさんの目の合図で私達は先生に別れを告げ、ブバイさんのお家をあとにしました。

 帰宅しますと道場での懐かしい日々の思い出が次々と走馬灯のように浮かんで来ては消えます。



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加湿器、恐るべし

2023年03月15日 | 日記
加湿器、恐るべし

 私は生まれつき鼻や喉が弱く、中学や高校のマラソンの授業では鼻をかみながら走るのが本当に嫌でした。でも今では生まれ持った体質だと受け入れるようになっています。ヨガのジャラネーティ(鼻うがい)も毎朝していますよ。

 冬になって特に1月から2月となりますと寝ている時は口を開けて口呼吸をしますので、朝目覚めますと口や喉は乾燥でカラカラ、そして舌はミイラのようにパリパリ。それから起床しますと口や喉や鼻が正しくなろうと自然に口には唾液が出て口や喉を潤し、更には鼻水がぼとぼとと止まりません。就寝時に意識して口を閉じて鼻での呼吸も出来ませんので、冬は体質として仕方が無いと諦めていました。しかし毎朝毎朝舌がミイラになったり潤( ほと)びたりを繰り返していて身体に悪くは無いだろうか。じっと春を待ちます。

 2月の中頃でしたでしょうか、妻が寝室で寝ていると花粉を感じると言います。花粉症は無いのですが鼻がむずむずするのだそう。夕刻の戸締りの際に雨戸を閉めるのに窓を開けるのですが、ほんの少しだけ窓を開け、また風も無いのに花粉は寝室に入るものだろうか。

 しばらくして妻は、これは花粉では無く乾燥では無いかと思いつきました。うちでは一般的な雫型の加湿器を使っていますがリビングだけで寝室では使っていません。そこでリビングの加湿器を就寝時に2階の寝室に運んで使ってみました。

 そうしますと効験あらたか、妻の鼻のムズムズはぴたりと止みました。しかし驚くべきは私の方。

 朝目覚めますと舌の乾燥が、全てとは言いませんが7割程和らいでいるでは有りませんか。そして起床しても鼻水も出ず午前中に続いていた咳払いも治まっています。こんな事に気が付かなかったのか、体質だとして諦めていた毎朝の舌のミイラ化が加湿器で治るなんて噓のようです。

 そこで寝室にも加湿器を買う事にしましてインターネットで調べてみますと、一般的な雫型の加湿器ではタンクの水の雑菌が繁殖してそれがミストとして排出されるので加湿器の手入れを怠ると気管支炎になる恐れが有るとの事。

 妻が色々と調べて、象印のスチーム式加湿器を買う事にしました。これだとタンクの水を沸騰寸前まで加熱したうえでミストを排出しますからタンクの水は殺菌され、寝室内に雑菌を撒き散らす恐れも無いようです。15年程前の加湿器はフィルターの掃除が必要で(もっとも掃除は妻がしていましたが)湯沸かし機能も有りませんでしたので加湿器も進化したものです。そしてこれまでリビングで使っていた雫型の加湿器も加熱式の物に買い替える事としました。

 鼻や喉に問題の有る方、また就寝中に口を開けて口呼吸をしている方、これはお勧めです。



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取り越し苦労と持ち越し苦労

2023年03月01日 | 日記
取り越し苦労と持ち越し苦労

 私の好きなお話が有ります。有る時修行中の2人の若いお坊さんが森を歩いていました。2人が小川に差し掛かりますと1人の若い娘が川を渡れなくて困っています。そこでお坊さんAはこの娘をおんぶして向こう岸まで渡してあげました。お坊さん2人が川を渡ってなおも歩いていますとお坊さんBがお坊さんAを「お前は修行中の身で有りながら若い娘をおんぶするとは何事だ、けしからん」と非難します。するとお坊さんAはお坊さんBに向かって言いました、「君はまだあの娘をおんぶしているのか?私は川を渡った所で降ろして来た」。

 最近では、中国は台湾にいつ侵攻するのだろうか、そうなったら中国のミサイルからどうやって身を守ろうか、と不安と恐怖の真ん中あたりで気が塞がっている方もおられるでしょう。しかし、これは取り越し苦労と言います。国と国との諍いのなかで個人が出来る事は限られていますから、有事に対してはせっせと働き多額の税金を納めて国家の防衛費に貢献する、またいよいよとなったら国が発行する戦時国債を買って自衛隊を応援する等やるべき事は既に決まっていますから、やる心構えさえ作っておけばよいでしょう。どうなるか分からない未来についてくよくよと悩む必要は有りませんで、その時になればその時に発奮してやるべき事をやれば良いです。これを臨機応変と言います。

 良寛は「病の時節には病になるのが、死ぬ時節には死ぬのが良かろう」と、取り越し苦労を解除してくれています。

 また、今の会社はストレスばかりでつまらない、就職活動の時に内定を貰っていた他の会社にしておけば良かったのだろうか、と思い悩んでいる人も有るでしょう。あの時にああしておけば、これを持ち越し苦労と言います。そしてこれも取り越し苦労と同様で、やるべき事は既に決まっていましてやるべき事は2つ、周りの状況が変わるのを待つか自分が変わる、つまり意を決して転職するかですよね。既に起こってしまった事は変えようが無いのですから過去を蒸し返す事は止めて今を決めるとすれば心のお荷物を引きずる事は有りませんね。

 持ち越し苦労はあちこちに有ります。自動車を買ったのは良いけれどあの車にしておけば良かったかな、結婚したのは良いけれどあの人にしておけば良かったかな、そして就職したのは良いけれどあの会社にしておけば良かったかな。

 取り越し苦労も持ち越し苦労も百害あって一利なし、おんぶしてあげた娘は川岸に降ろして行きましょう。

 明日を思い悩むなかれ、今日は今日の苦労にて足れり(新約聖書)。

 未来を恐れず過去を引きずらず、人生は「今」です。

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