ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

カワイイ

2023年10月14日 | 日記
カワイイ

 私が洋酒メーカーに入社した22才の頃、赤坂のラランジェと言うパブのカウンターに腰掛けましたら隣にアメリカ人の青年が腰掛けています。私がカタコトの英語で「日本のウイスキーは美味しいですよ」と話しかけましたら青年に「日本のウイスキーは竹で出来ているのか?」と聞かれ、反論しようとしましたが大麦を英語で何と言うのか分からず言葉に詰まり大変悔しい思いをしました。あの頃は1ドルが360円、スタンダードスコッチのジョニ赤が5000円、プレミアムスコッチのジョニ黒は10000円もしました。そしてブレンデッドウイスキーのシーバスリーガルやオールドパーが高嶺の花でしたね。一般的な日本人は2級ウイスキーのサントリーレッドや1級ウイスキーのサントリーホワイトを楽しみ、いつかはサントリーオールドを、と言う時代でした。しかしあれから50年余り経った今では国際的にジャパニーズウイスキーがスコッチウイスキーよりも高い評価を受けていて、ブレンデッドウイスキーの響やシングルモルトウイスキーの山崎がなかなか手に入らない程の人気で、時代は変わったものです。

 28才の時に私は会社の研修旅行でヨーロッパへ行きましたが、フランスのワイン商の会社で社長さんに「ワインに農薬の影響は有りませんか?」と質問しましたら「葡萄の実がつく前に農薬は使うから全く問題は無い」と答えたついでに「日本は公害が酷いようだね」と嫌味を言われてしまいました。確かにあの頃の東京の空はスモッグで曇ってばかり、日本人はエコノミックアニマル等と言って馬鹿にされていました。またイギリスのスコットランドのホテルのバーでお隣になった子連れのおじさんに「日本にいらっしゃるつもりは?」と聞きましたら「いやいや、そんなつもりは」と怪訝な顔をされました。あの頃は国際的に日本の地位はまだまだ低かったですね。日本食を箸を使って食べられる外国人もほとんど居なかったと思います。それが今では世界的に日本食は人気のようで、外国人の皆さんも上手に箸を使っていて、時代の変化には驚くばかりです。

 先日テレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」と言う番組を観ていましたら、番組のディレクターが内気そうな金髪のハイティーン娘にインタビューを試みました。内気そうな娘は父親と2人でスコットランドのインヴァーネスからやって来たそうで、父親の話では元々活発だった娘が自分が離婚したあたりから引きこもりがちになってしまった。ところが娘がAKB48を見つけてから大変前向きになり、だからAKB48には感謝しているのだそうで、日本の秋葉原でアイドルグッズを買うのだと言います。ディレクターが内気そうな娘にリクエストしてみますと、彼女は元気一杯にAKB48の「ヘビーローテンション」を日本語で歌い踊って見せます。成田空港の人前でこればびっくり。彼女は地元でINV48(インヴァーネス48)と言うアイドル活動をしていて、路上ライブをやっているそうです。

 スコットランドのインヴァーネスには会社の研修旅行で立ち寄った事が有ります。インヴァーネスのあたりではグレンリベット蒸留所を見学し、ネッシーで有名なネス湖を観光し(ネッシーのTシャツを売っていただけで何も無かった)、ホテルのバーでは現地の青年のキーボードに合わせてビートルズを歌いまくりました。しかしインヴァーネスは薄暗くて寂しい処では有りました。ですからスコットランドのインヴァーネスからハイティーンの娘が日本にやって来た、これは驚きでした。

 さてそこで、テレビを観ていた私は思いました。どうして日本のアイドルは欧米でこんなに人気が有るのだろうか?

 欧米では子供は子供、大人(おとな)は大人(おとな)、日本のアイドルに見られるような子供大人(こどもおとな)と言う、子供と大人(おとな)の中間の概念がそもそも無いようです。日本のアイドルの理想は、体は大人(おとな)だけど表情は大人(おとな)未満。なので幼く見えるのにダンスを踊る体の動きはキレッキレ、これが欧米人には新鮮、と言いますか、驚異なんでしょうね。

 欧米では有りませんが、私は2019年に南インドへ行きました。そうしますと街道沿いの建物の上には大きな看板が並んでいて、その広告のモデルは日本のアイドルのような子供大人(こどもおとな)では無く成熟した女性ばかりでした。婚礼衣装でさえ着ているのは成熟した女性、これは日本では考えられませんね。日本の広告のモデルは大体アイドル、カワイイ子供大人(こどもおとな)です。

 ですから欧米人は日本のアイドル、カワイイ子供大人(こどもおとな)を見た時に新大陸発見のような新鮮な驚きの気持ちになるのでしょう。世界中が日本のアイドルのカワイイ子供大人(こどもおとな)に引き付けられる、日本もいよいよ経済の国から文化の国に変容しているようです。






コメント (2)
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