補聴器屋さん
うちは田舎なので冬になりますと灯油売りのトラックが巡回してくれますが、2年くらい前から、拡声器で流す灯油売りのオルゴールが聞こえにくくなっています。妻はトラックが遠くてもオルゴールが聞こえると言いますが私はトラックがうちの前の私道に入って来るちょっと前まではさっぱり聞こえません。また最近では妻の言葉が聞き取れずに「はい?」と聞き返す事も多くなっています。しかしこれについては、妻と私の出身地が違うための言い回しの違いや使う言葉の違いが原因だと思うのですが妻は「違う、あなたの耳が遠くなっている」と譲りません。
私は幼い頃から鼻が悪くて2ヶ月に1度は耳鼻科へ行って点鼻薬を貰うのですが、9月の中旬頃でしたか、点鼻薬を貰いに行ったついでに、「最近耳が遠くなったような気がしますので調べていただけませんか」とお願いして見ました。そうしますと看護婦さんが診察室の隣の部屋のブースに案内してくれ、耳にヘッドホンを装着して扉を閉めます。色々な音が段々大きくなって、聞こえた時点で手に持ったボタンを押すやり方で、わざとに雑音を出しながら音を聞き取る検査もしてくれました。
検査が終わると私はもう1度診察室に呼ばれて先生の説明を聞きます。先生はさっきの検査のグラフを見せながら、「標準より1段階下の状態で、これは左右とも同じです」と言いました。これは想像していた内容で、右の方が音が小さく聞こえると思っていた私にはむしろ想像以上の良い結果でした。「老化によるものですか」と聞きますと先生は黙って頷(うなず)きました。ここで先生は意外な事を言います。
「補聴器を使って見ませんか」。難聴は軽度の頃から補聴器を使う方が進行は遅くなるのだそうです。「補聴器屋さんに紹介状を書きますので、試聴だけでもして見て下さい」。私は愕然としました。老眼鏡を買う時には全く抵抗は感じなかったのですが補聴器とは・・・。
家に戻った私は妻に耳鼻科で言われた事を話して見ました。そして妻の父親が補聴器を使っているので聞いて見ようと言うことになり、そうしますと、補聴器は難聴がひどくなってから使うと耳が慣れず、補聴器から入って来る音を脳に伝える神経がうまく働かないので、あまり悪くなる前から使うのが良いとの事で、耳鼻科の先生の言葉と一致するようです。しかしお値段は。義父の使っている補聴器は片方で35万円、左右両方で70万円もすると言い、またそれは5年しか持たないとも言います。そして、より自然な音で聴くには1ランク上の100万円の補聴器が有るとの事でした。年金生活の老人で70万円から100万円の補聴器の買える人がどれ程居るのだろうか。
補聴器屋さんへ行くのがなんとなく嫌で9月も終わり、そろそろ行って見ようかと考えていた矢先に今度は帯状疱疹に罹り、補聴器どころでは無くなりました。9月初めからの歯の治療と言い帯状疱疹と言い、そして今回の補聴器と言い、私の老化がいっぺんに表面化してしまったようです。
帯状疱疹も治り、そして帯状疱疹の後遺症とでも言うのでしょうか、浅くなってしまった呼吸や頻尿で就寝中に2度も起きると言った状態も治まって来ましたので、心を決めて補聴器屋さんへ行って見る事にしました。お金は持って行かず補聴器の試聴だけすれば良いのだ。妻と一緒に行って見ますと、駅の前の小さなビルの3階に補聴器屋さんは有りました。ドアを開けますとそこは補聴器屋さんと言うよりも雑然とした事務所のように見えます。中には5人程の人が居ましたがお店の人は1人のおばさんだけで、他はお客さんのようです。「次のお客様もお待ちなので1時間程待ってただけますか」とおばさんに言われ、待つ事にしました。
待っている間に妻と2人でそこに有る補聴器のカタログをめくって見ますと、両耳で40万円から100万円はするようです。やっぱり高過ぎるよ。先のお客さんは帰り、次の私達の前のお客さんは母親とその娘のようでした。店のおばさんはエアコンを消して部屋を静かにしたあと次第に音が大きくなる装置をスタートさせて「音が聞こえたら手を挙げて下さい」と言います。私達夫婦は殆んど秒殺で手を挙げるのですがこの母親は難聴が進んでいるようで時間が掛かります。この3人の会話を聞くとも無く聞いていますと、この母親は何年も前に補聴器を買ったのだが合わなくてすぐに使わなくなったと言います。どうも難聴の場合、難聴の本人は問題を感じず、むしろ周りの家族の方がストレスを覚えるようです。娘は「大きい声で話し掛けても返事をしてくれない」と、いつもイラッとしているようです。店のおばさんは母親に耳掛け式の補聴器を掛け、PCを操作して色々な音を出して見せます。母親は「良く聞こえるけれども自分が小さな声で話すのが物足りない」等と文句を言い、その度に娘がイラッとして口を挟みます。母親が何か言い出すと娘がそれを遮り、殆んど娘とおばさんとで話をします。そして明らかに母親よりも娘の方が早く決めてしまいたいようで、話をかなり強引に進めます。
補聴器の電池は5日毎に取り換える使い捨てで、本体は2年間の保証、そして大体5年間使えるようです。そして補聴器の具合が悪くなると補聴器屋さんの出張で修理して使うのだそうです。結局この母娘は1週間から2週間の自宅での無料体験をしてそれを買うかどうか決める事にして、補聴器のセットを持って帰りました。
次は私達の番です。テーブルの前におばさんと妻が立ち日常会話をやって見ますと普通に聞こえて理解出来ます。「今は1mの距離だよ、普段は3m位で話しているよね」と私が言いますと2人は3mのあたりに移動して話を続けますが、2人の話は良く聞こえ、また理解出来ます。「ここは静かですから普段とは違うかも知れませんね」とおばさんは言いました。
補聴器には耳穴式と耳掛け式とが有って、これは一長一短のようです。耳穴式は耳にすっぽりと入るので周りから分かりにくい反面、どうしても指を差し込んだような違和感が有るそうで、また空気抜きの穴も開いているけれど、どうしても音がこもり易いそうです。一方の耳掛け式は、最近は耳に掛ける部分がとても小さくなっているので周りから見てもあまり気にならないようです。おばさんは私に耳掛け式の補聴器を装着して見ました。PCで音の大きさを調整して、「どうですか、聞こえ易いですか」と聞きますが「ちっとも変りません」。おばさんが更に強くして見ますと音は少しばかり大きくなったようですが、自分の話す声が前後二重にダブって聞こえ、これでは補聴器を着けない方がよろしい。
耳掛け式のこのセットは両耳で30万円だそうです。電池は1週間程での使い捨て、本体の保証期間は2年間で大体5年は持つそうです。おばさんは「無料ですから1週間ご自宅で試され、それから決められたらどうですか」と言います。私は「いや、それは結構です。難聴がもっと進んだらお願いしたいので、パンフレットのお勧めの商品に丸を付けていただけますか?」とお願いし、このお店の電話番号の入ったパンフレットも貰いました。話の中でおばさんが耳鼻科のグラフを見ながら、「この程度でしたら普通は耳鼻科では補聴器を勧めませんね」と正直に言ってくれた事も力になりました。
これで9月からの懸案の補聴器問題も一旦解決しましたが補聴器の値段がこんなに高いと年金生活の老人達は難聴になっても補聴器に手が出せず、周りの家族のイライラは解決しないでしょうね。
うちは田舎なので冬になりますと灯油売りのトラックが巡回してくれますが、2年くらい前から、拡声器で流す灯油売りのオルゴールが聞こえにくくなっています。妻はトラックが遠くてもオルゴールが聞こえると言いますが私はトラックがうちの前の私道に入って来るちょっと前まではさっぱり聞こえません。また最近では妻の言葉が聞き取れずに「はい?」と聞き返す事も多くなっています。しかしこれについては、妻と私の出身地が違うための言い回しの違いや使う言葉の違いが原因だと思うのですが妻は「違う、あなたの耳が遠くなっている」と譲りません。
私は幼い頃から鼻が悪くて2ヶ月に1度は耳鼻科へ行って点鼻薬を貰うのですが、9月の中旬頃でしたか、点鼻薬を貰いに行ったついでに、「最近耳が遠くなったような気がしますので調べていただけませんか」とお願いして見ました。そうしますと看護婦さんが診察室の隣の部屋のブースに案内してくれ、耳にヘッドホンを装着して扉を閉めます。色々な音が段々大きくなって、聞こえた時点で手に持ったボタンを押すやり方で、わざとに雑音を出しながら音を聞き取る検査もしてくれました。
検査が終わると私はもう1度診察室に呼ばれて先生の説明を聞きます。先生はさっきの検査のグラフを見せながら、「標準より1段階下の状態で、これは左右とも同じです」と言いました。これは想像していた内容で、右の方が音が小さく聞こえると思っていた私にはむしろ想像以上の良い結果でした。「老化によるものですか」と聞きますと先生は黙って頷(うなず)きました。ここで先生は意外な事を言います。
「補聴器を使って見ませんか」。難聴は軽度の頃から補聴器を使う方が進行は遅くなるのだそうです。「補聴器屋さんに紹介状を書きますので、試聴だけでもして見て下さい」。私は愕然としました。老眼鏡を買う時には全く抵抗は感じなかったのですが補聴器とは・・・。
家に戻った私は妻に耳鼻科で言われた事を話して見ました。そして妻の父親が補聴器を使っているので聞いて見ようと言うことになり、そうしますと、補聴器は難聴がひどくなってから使うと耳が慣れず、補聴器から入って来る音を脳に伝える神経がうまく働かないので、あまり悪くなる前から使うのが良いとの事で、耳鼻科の先生の言葉と一致するようです。しかしお値段は。義父の使っている補聴器は片方で35万円、左右両方で70万円もすると言い、またそれは5年しか持たないとも言います。そして、より自然な音で聴くには1ランク上の100万円の補聴器が有るとの事でした。年金生活の老人で70万円から100万円の補聴器の買える人がどれ程居るのだろうか。
補聴器屋さんへ行くのがなんとなく嫌で9月も終わり、そろそろ行って見ようかと考えていた矢先に今度は帯状疱疹に罹り、補聴器どころでは無くなりました。9月初めからの歯の治療と言い帯状疱疹と言い、そして今回の補聴器と言い、私の老化がいっぺんに表面化してしまったようです。
帯状疱疹も治り、そして帯状疱疹の後遺症とでも言うのでしょうか、浅くなってしまった呼吸や頻尿で就寝中に2度も起きると言った状態も治まって来ましたので、心を決めて補聴器屋さんへ行って見る事にしました。お金は持って行かず補聴器の試聴だけすれば良いのだ。妻と一緒に行って見ますと、駅の前の小さなビルの3階に補聴器屋さんは有りました。ドアを開けますとそこは補聴器屋さんと言うよりも雑然とした事務所のように見えます。中には5人程の人が居ましたがお店の人は1人のおばさんだけで、他はお客さんのようです。「次のお客様もお待ちなので1時間程待ってただけますか」とおばさんに言われ、待つ事にしました。
待っている間に妻と2人でそこに有る補聴器のカタログをめくって見ますと、両耳で40万円から100万円はするようです。やっぱり高過ぎるよ。先のお客さんは帰り、次の私達の前のお客さんは母親とその娘のようでした。店のおばさんはエアコンを消して部屋を静かにしたあと次第に音が大きくなる装置をスタートさせて「音が聞こえたら手を挙げて下さい」と言います。私達夫婦は殆んど秒殺で手を挙げるのですがこの母親は難聴が進んでいるようで時間が掛かります。この3人の会話を聞くとも無く聞いていますと、この母親は何年も前に補聴器を買ったのだが合わなくてすぐに使わなくなったと言います。どうも難聴の場合、難聴の本人は問題を感じず、むしろ周りの家族の方がストレスを覚えるようです。娘は「大きい声で話し掛けても返事をしてくれない」と、いつもイラッとしているようです。店のおばさんは母親に耳掛け式の補聴器を掛け、PCを操作して色々な音を出して見せます。母親は「良く聞こえるけれども自分が小さな声で話すのが物足りない」等と文句を言い、その度に娘がイラッとして口を挟みます。母親が何か言い出すと娘がそれを遮り、殆んど娘とおばさんとで話をします。そして明らかに母親よりも娘の方が早く決めてしまいたいようで、話をかなり強引に進めます。
補聴器の電池は5日毎に取り換える使い捨てで、本体は2年間の保証、そして大体5年間使えるようです。そして補聴器の具合が悪くなると補聴器屋さんの出張で修理して使うのだそうです。結局この母娘は1週間から2週間の自宅での無料体験をしてそれを買うかどうか決める事にして、補聴器のセットを持って帰りました。
次は私達の番です。テーブルの前におばさんと妻が立ち日常会話をやって見ますと普通に聞こえて理解出来ます。「今は1mの距離だよ、普段は3m位で話しているよね」と私が言いますと2人は3mのあたりに移動して話を続けますが、2人の話は良く聞こえ、また理解出来ます。「ここは静かですから普段とは違うかも知れませんね」とおばさんは言いました。
補聴器には耳穴式と耳掛け式とが有って、これは一長一短のようです。耳穴式は耳にすっぽりと入るので周りから分かりにくい反面、どうしても指を差し込んだような違和感が有るそうで、また空気抜きの穴も開いているけれど、どうしても音がこもり易いそうです。一方の耳掛け式は、最近は耳に掛ける部分がとても小さくなっているので周りから見てもあまり気にならないようです。おばさんは私に耳掛け式の補聴器を装着して見ました。PCで音の大きさを調整して、「どうですか、聞こえ易いですか」と聞きますが「ちっとも変りません」。おばさんが更に強くして見ますと音は少しばかり大きくなったようですが、自分の話す声が前後二重にダブって聞こえ、これでは補聴器を着けない方がよろしい。
耳掛け式のこのセットは両耳で30万円だそうです。電池は1週間程での使い捨て、本体の保証期間は2年間で大体5年は持つそうです。おばさんは「無料ですから1週間ご自宅で試され、それから決められたらどうですか」と言います。私は「いや、それは結構です。難聴がもっと進んだらお願いしたいので、パンフレットのお勧めの商品に丸を付けていただけますか?」とお願いし、このお店の電話番号の入ったパンフレットも貰いました。話の中でおばさんが耳鼻科のグラフを見ながら、「この程度でしたら普通は耳鼻科では補聴器を勧めませんね」と正直に言ってくれた事も力になりました。
これで9月からの懸案の補聴器問題も一旦解決しましたが補聴器の値段がこんなに高いと年金生活の老人達は難聴になっても補聴器に手が出せず、周りの家族のイライラは解決しないでしょうね。