あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

やるせない食の話。

2010-01-20 23:59:11 | 日記・エッセイ・コラム

キッチン・ルール―台所の法則 キッチン・ルール―台所の法則
価格:¥ 880(税込)
発売日:2005-11

故あって、ここ2、3日私にとってはハードスケジュールの慌ただしい1日でした。

予定していたスケジュールのすべてはこなせなかったなのにヘトヘトです

そのことと、シンさんのコメント(またしても煮込み、の記事に対して寄せて下さったもの)でふと、思い出したことがあったので、書いてみたいと思います。

5年ほど前になりますが、『きょうの料理』誌上で、小林カツ代さんのエッセイを読みました。

“料理にドラマあり”という連載の15回目、《バブルの塔》というエッセイでした。

バブル最盛期、とある料理番組の仕事をしたカツ代さんは、撮影後食材が簡単に捨てられることと、番組スタッフの食に対する無関心さに驚きます。

とてもいい人だったという担当ディレクターのT氏は、しかし顔色が悪く、“ごはんをちゃんと食べてます?”と尋ねるとカップラーメンですけど、と答え、“野菜は?”と聞くと、“一か月ほど前に食べたラーメンにもやしが入ってたかなぁ……”という始末。

カツ代さんは“帰りにコンビニへ寄って、刻んで売っている野菜でいいから炒めてラーメンの上にのせて、卵もポンと落としてね、簡単だから”と頼みますが、T氏は無反応で、その後、入院されたとも、故郷に帰ったとも聞くが、さだかではない、というやるせないエピソードでした。

カップラーメンに炒め野菜をのせるだけでいい、というカツ代さんのリアルな提案はさすが、と思いますが、それさえできない現実もあるのだな、と想像できますし……。

“バブルの塔”というあまりにもぴったりしたタイトルとともに、忘れがたいエッセイなのでした。

(入手困難かと思いますが、原文読んでみたいと思う方向けに一応書きますと、『きょうの料理』2005 3月号です。レシピも付いています。写真が、とても美味しそうなのも微妙に切ないです)

ちなみに上にあげたのは、私の小林カツ代さんの著書の中で、とくに気に入っている1冊です。

料理が得意な方には、“あたりまえのこと”ばかりかと思いますが、私はへぇー、ということがたくさんあったので

コメント (6)
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