少女漫画 (クイーンズコミックス) 価格:¥ 880(税込) 発売日:2008-02-19 |
これは、高校の先輩に貸していただいた本です。
借りたままになっていて、今日お返しするために、昨夜あわてて読みとおしました。
『ベルサイユのばら』や『ガラスの仮面』など、作者の方がリスペクトしている作品をテーマに、描かれた短編コミックを集めたオムニバス集。
私にとっても懐かしい作品がほとんどで、ショートストーリーのどれもが味わいのあるものでした。
けれど、私がやはり一番好きなのは最後の1編『少女漫画家たち』。
それまでの短編それぞれに、狂言回しとまではいかないけれど、ちょっと顔を出す“俵あん”という少女漫画家の女性(27歳)がいるのですが、最後のストーリーは彼女が主人公になる。
描き手が主人公にまわったこの物語は、ものを創ることの難しさを、しみじみ考えさせられました。
ものを創り上げるのは、結構しんどいことだから、自分が“センスがいい”“才能がある”と信じなければ続けられない。
けれどその一方で、自分を冷静に客観視して、ダメな部分を見つめて修正するのは、なんて難しいことなのか。
本気で何かを成し遂げようとするなら、そんな苦労は当たり前、かもしれないけれど、なんだか胸苦しくなる思いもあって。
そうして、自分が本当に書きたいものを描かなければ意味がないかもしれないけれど、それを、他人にとっても見たいもの、面白いものにすることの厳しさ。
けれど、作品の端々に前向きな瑞々しさがあって、読後感はさっぱりしています。
それに、怖ろしく大胆な詩神(ミューズ)いや、少女漫画の女神か、そのユーモラスさも結構好きです。