あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

こどもだったころ。その4、ビーズの腕輪

2009-07-24 18:28:46 | 日記・エッセイ・コラム

保育園児だった頃の、ちょっとビターなエピソードをひとつ。

私の通っていた保育園には、年配の女性の方が、清掃に来ていました。

保育園の職員ではなかったようで、清掃会社の派遣の人だったのかもしれません。

その方がどういうわけか私を特別に可愛がってくれて、「他の子には内緒だよ」といっては、ビーズの指輪や、ゴムひもを通した腕輪をくれました。

今でこそ、アクリルビーズでもガラスかと思うような透明度の高いものがありますが、その頃は、もらった腕輪は赤と緑のビーズで出来ていましたが、どちらも飴玉みたいに半透明でした。

それにバリ(型の外にはみ出した部分)もあり、子どもの目から見ても、いかにも“おもちゃ”というものでした。

けれど、やっぱり可愛いものだし、なにより、その小母さんがプレゼントしてくれた気持ちが嬉しかったのです。

ところがある日、私が保育園の庭で遊んでいると、保母さんたちがすぐ近くで話をしていて、私を見ながらこう言ったのです。

「あの掃除婦さん、この子を可愛がってるね」

「この子も懐いてるみたいじゃない?」

「子どもだから、物くれる人が好きなのよ」

“物くれる人が好きなのよ”という言葉は、私の胸に突き刺さりました。

けれど、保母さんたちに全く悪気はないのです。それに、私が言われたことと同じくらいショックだったのは、私がすぐ目の前にいるのに、まるでいないかのように、言葉がわからないかのように話していたことです。

私はその言葉が忘れられず、“私は大人になっても、ぜったいこんなことは言わない。たとえ相手がちいさな子どもであっても、そこにいない人のように話したりしない”と思ったものです。

ところが、実際大人になったら、自分も何度か、してしまったのです。

子どものいる友達と、子ども連れでお茶などしている時、友達も自分の子が聞いていないかのように話すし、当の子ども自身も、けっこう知らん顔しているのですね。

もしかしてこれがふつうの大人と子供のマナーで、私がおかしいのかな、と思ったほどです。

それでも、せめてその子を傷つけるような事は、目の前はもちろん、陰でも言わないようにしよう、と思っているのですが……。出来ているのかな。

結局私も、ずいぶん遠くに来てしまったということなのでしょうか。

コメント
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