お刺身効果

帰宅直後、午後5時に我が家の超老人ズはパクパクと夕食を食べた。で、6時過ぎに食器を片付け、完食を確認。午後7時半。いつもならとっくに寝間に行って、寝ている時間だが、二人とも起きている。どうした？と聞くと、まず母親が、何にも食べていない、と言い出した。

親父も食べていない、と共謀する。「刺身を食べなかった？」「そういえば、食べた」「天ぷらは？ ふきのとうもあったし、かぼちゃもあったし、唐揚げもゆで卵も野菜の煮浸しも食べたやろ？」「食べた、旨かった」「晩御飯は済んだ。あとは寝る。腹減ったのなら、牛乳でも飲むか？」「いらん、寝る」

今度は親父に「刺身は食べたやろ？忘れたか？」「うん、刺身は食べた、旨かった！」の歯抜けの顔を綻ばせて、二度も三度も刺身が旨かったという。「じゃ、食べたから、もう寝る時間や」「ウラ、いつでも出れる。」「違う、パジャマに着替えて、寝る」「寝る時間？　出かける。7時半や、もう寝んでもいい。」「夜の7時半、夜や夜」「よる？」

と言うような、世界を揺るがすような会話と行動の果てに、ついに3枚重ねのセーターを2枚脱がせて、パジャマに着替えることに同意させた。こうして、また世界の平和が保たれることとなったのである。

そして、親父が「小豆餡を乗せた、マンゴゼリー」を母親の分まで食べている事実は、闇に葬られることになった。