何とか砂漠化を掃除してぐっすり眠った翌朝、カルフールまで食料の買出しに行くことになった。
タクシーを拾うため、アレキサンドリア砂漠ロードまで少し歩く。
エジプトとは思えないほど、静かないつものお気に入りの道だ。
一年振りの巨大な木も健在で変わりない。
明るい日差しの中、可憐に咲き乱れるブーゲンビリアが
「また、会えたね♪ アハラン・ワ・サハラン!(ようこそ)」と言ってくれている?
どこかの猫が、ひょっこり出てきて挨拶してくれる。
この道を何度歩いたことだろう。
一期一会の旅の道達とは違って、忘れられない特別な道。
偶然見つけたこの道を歩くことは、きっと今回で最後になるだろう。
優しく楽しげで、故郷のように慣れてしまった道。
異国の地で私達が確かに何度も存在した道。
でも想像できる。
いつか再びこの道を訪れることがあったら、変わらぬ姿を見せてくれるだろうと。
大きな木のおじいさんは、悠々と私達を俯瞰し、
ブーゲンビリアの娘達は、相変わらずペチャクチャおしゃべり、
どこかの猫の孫の孫が、またひょっこり姿を現す。
その時は、帰郷したように懐かしく、優しい気持ちがあふれてくることだろう。