Schreib mal wieder!

自分の感じるままに...それがクレームと言われても

敗戦の辞

2008-11-06 23:59:09 | Weblog
 
スピーチを語るものの端くれとして、一度は聴かなければと思っている中、友人・知人のblogに触発され、たった今youtubeでObama氏の勝利スピーチを見た。誰がなんと言おうと世界一のレベルのスピーチ。内容、表現、すべてにすばらしく、聴く人を魅了し、Inspireするすごいスピーチだと思った。何よりも聴く人と同じ目線で、この国を立て直していこう、みんなでやらなければならないんだ、というメッセージは、今までこういう舞台で見ることができなかったリーダーシップのあり方ではないだろうか。

他人の国の話ながら、感激しながら3つに分かれた動画を見させてもらった。106歳の女性の話を通してアメリカの歴史を語り、聴衆を鼓舞する...よくよく考えればものすごく計算高い(あるいは天性なのか)作りがあるなと感じた。ただ、それでもそのひとの人となりがなければ、どんなにいい原稿でも感動できない。その意味ではいろんな苦難を乗り越えて上院議員になり、選挙戦でも相当な苦労を重ねてここまで勝ち残り、そして新大統領の座につくことになった...、そんなすべてがにじみ出る飾らない、いばらないObama氏の人柄には強く惹かれるものがある。

では一方で、McCain氏はどんな敗戦の辞を述べたのだろうか...。そもそもMcCain氏とはどんな人なのかと興味を持つ。便利な世の中だ。検索すらする必要もなく、youtubeのSuggestionのままクリックしてみると...

彼の言葉はObama氏よりも、ずっとわかりやすかった。日本語訳がなくてもほとんど理解できた。そして何より、すごく感動的だった。負けが決まった瞬間、これほどまでに素直に相手を称え、そしてアメリカは1つになって再建していかなければならないんだというメッセージを、真摯にそして本気で伝えようとできるだろうか。

途中ブーイングすらする支持者を前に、あそこまで率直に話すにはきっと勇気がいるだろう。Obama氏の祖母の話に触れたり...これも計算なのかもしれないが、それをまさに真摯に語っているこの姿も、この人の人柄なしには語れないだろう。

2つのスピーチを比べると、私は圧倒的にMcCain氏のスピーチの方が感動的だと思った。2つを見て後から思うのは、Obama氏は話し方はという面では期待したほど感動的だという印象はなかった。一方でMcCain氏は、期待がなかった分というのもあるが、わかりやすい話し方、積み重ねてきた歳、そして真摯な人柄が何よりも印象的だった。

ネットで検索するとわかるが、この感動的なスピーチはほとんど訳されていない。ざっと見た限り、いくつかのblog上で翻訳があるだけ。勝てば官軍とはいえ、ググれば当たる勝利宣言よりも、すごく感動的なのにこのまま知られずに忘れ去られていってしまうのだろう。

日本の政治家は、勝っても負けてもこれほどのスピーチはできないだろう。そう思うと本当に残念。スピーチ...ただ話すだけでこれほどまでに人を感動させることができるのに。僕が唯一印象に残っている政治家の話というと、大前研一氏が都知事選で青島氏に負けたときの敗戦の辞。他の陣営が青島氏をコキ下ろしている中、「私は青島さんをサポートする。(他陣営が)この期に及んで有権者が選んだ青島さんいじめを続けるのであれば、私は許さない」というようなことを言っていて、この人はすごいな...と思ったのを今でも鮮明に覚えている。

ぜひMcCain氏の敗戦の辞も聴いてみてください。きっと感動するでしょう。少なくとも、聴く価値は絶対にあります。