この作家が描く人物は、何のテライもないフツーの若者である。
その若者が、周囲の人々に支えられながら成長していく姿は、読者に希望を与えるだろう。
ただ、それ以上でもそれ以下でもないのが惜しい。何かずっしりした人生訓のようなものが学べると良いのだが。
物語~新宿歌舞伎町のバーで働く純平は、ある日ひき逃げ事件の犯人を目撃する。しかし、自首した犯人は別人であった。これを脅しの材料に真犯人に接近するのだが・・・
前作の「悪人」が映画のヒットにも助けられて220万部の大ベストセラーとなっていて、その人気のほどもわかるのだが、いずれにせよ、軽い読物に終わっているのが残念だ。
週間朝日連載10/05~11/04