徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

特別展 仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り (後期)

2006-11-24 | 美術
特別展 仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り (後期)
2006年10月3日から12月3日
東京国立博物館

滋賀・向源寺蔵(渡岸寺観音堂所在)の国宝 十一面観音菩薩立像(平安時代・9世紀)を拝見しに、後期にいってきました。

瞑想するかのような慈悲深い表情、ふくよかな胸や腹の肉付け、腰を捻って立つすらりとした肢体などその類いまれな美しさから、日本に現存する十一面観音像の白眉ともいえる像である。
 顔の脇、頭上や後頭部に十の面を大きく表し、その姿は非現実的であるが、それをまったく違和感なく、美しい調和の中にまとめあげている。柔軟な肉体やそれを覆う衣の薄く柔らかな質感表現も見事である。
 頭部と体部から台座の蓮肉(れんにく)、さらに両腕から本体を離れて台座に垂れる天衣も含めて針葉樹の一材から彫出しているが、全く破綻がなく、木彫に習熟した仏師の高度な技術がうかがえる。
 本像を安置する観音堂は、かつてこの地に栄えた渡岸寺の跡地にある。同寺廃絶後、本像と堂は長年土地の人々によって護られてきたが、明治以降は向源寺の管理下に置かれている。これまで門外不出とされてきた本像は、向源寺の飛地境内の観音堂の本尊として伝来しており、この場所は、かつて天台寺院の渡岸寺の跡地であったと伝えられている。
 渡岸寺は、聖武天皇の勅願によって当時都に流行していた疱瘡(ほうそう)の厄除け祈願をこめて十一面観音像を刻んだことに始まり、その後最澄によって再興されたといわれている。元亀元年(1570)の姉川の合戦に際し、寺は焼失したが、観音像は村人の手により土中に埋められ難を逃れたとのことである。


とのことですが、写真で見る限り、やはりどう素晴らしいのかはなかなか想像できません。しかし、実際に拝見してすぐに納得。まずは、お顔の慈悲深い表情。そして、腰を捻って立つすらりとした姿に目が行きます。しかし、細部をみれば、頭上の十面の表情も見事。後頭部は暴悪大笑面を後ろに回って拝見。細部に目を凝らして見てると、二の腕など飾りなど衣も見事。ライトアップの仕方はちょっと眩しく見づらいといえば見づらいのですが、仏像の美しさを際ださせています。



もう一度いくつかを拝見しなおす。

  • 国宝 薬師如来立像  奈良~平安時代・8~9世紀 奈良・元興寺蔵
    一寸遠くを見つめる眼差し、正面から見ると一寸太め、側面から見ると薄い。左右の側面の衣文が腕から垂れ下がる様など柔らかい質感がある。

  • 国宝 地蔵菩薩立像 1躯 平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵;三輪山西麓に鎮座する大神神社の神宮寺の一つ大御輪寺に伝来。きちんとした姿勢のよさが目を引く。肩幅も広く質量感がある。

    なた彫りの
  • 重文 十一面観音菩薩立像 1躯 平安時代・11世紀 神奈川・弘明寺蔵 ;この立像は、ちょっと傾いで立つ。ケヤキが材料。削り後はランダムの荒々しい。
  • 重文 聖観音菩薩立像 1躯 平安時代・11世紀 岩手・天台寺蔵;こちらは桂の木。お顔はつるっと、頭部の冠は縦に短い文様で頭部を一周。ほぼ全身に基本的には横方向に文様を鉈で入れる。リズミカルなイメージさえあり、モダンな印象を与える。
    この2体は対照的な印象をあたえるなた彫り。

    P.S. 昼前に平常展をみて出る時には、20分待ちとアナウンスしていた。前半の展示が詰まりすぎですね。


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