心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

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木組み:台持ち継ぎ6(小嶋式)

2016年09月02日 | 日記・エッセイ・コラム

木造建築・伝統構法の木組みのお話し。

いわゆる「釘(金物)を使わない伝統大工の木組み」。

 

《台持ち継ぎ》シリーズは、2012年8月25日【木組み:台持ち継ぎ5比較2】以来。

先日、私が手墨・手加工で製作したものの紹介。

 

読者で作ってみたい方、興味のある方、

2014年3月9日【釘を使わない大工さんの木組み51点の誌上展】共々、参考まで。

 

2012年8月 7日【木組み:台持ち継ぎ2実践型】の文章、

2012年8月21日【木組み:台持ち継ぎ4比較】の実践になります。

 

まず墨付け。材は地マツ。私は《台持ち継ぎ》は絶対に真継ぎでしか用いない。

元末、背と腹、曲がり、捻じれ、割れ、節、木目等、構造強度を最優先に、最適と思われるバランスで行う。

加工(刻み)修了後。地マツの新材はサクサク鑿や鋸や鉋が入るので、楽しい♪

ほぞは打ち抜き、メチ部を蟻にして銚子口を省略。略鎌部で《追っ掛け》の様に、接合強度を追求しない。

ブログ用画像を撮る為に、加工修了後に組んでみた。

見慣れない接合線が側面に出るので、構造材現わしの木組みの家では意匠上のポイントになる。

略鎌部(中央のS字状の部位)、《追っ掛け》の様に90度にして接合強度を出そうとしない。

なぜなら、接合面材幅が成(せい)使いの場合、斜め線が急勾配過ぎて、略鎌突起部が欠損してしまう為。

Jw_cad図の実践。柱と接合。ほぞが長く、斜めの切れ込み(楔道)がある。

「打ち抜きほぞ割楔(うちぬきほぞわりくさび)」という。

真継ぎでは、必然として、ほぞは打ち抜きになる。結果、ほぞによる耐震性が短ほぞに比べ格段に向上。

「打ち抜きほぞ」は5分(≒15ミリ)、梁の天端から出す。

 

天端から楔道に楔を打つ。楔は材料強度の大きい欅や樫等を使う。\_(・ω・`)これ大事

完全に楔を打ってしまうと抜けなくて困ってしまうので、今回はここまで。(楔って凄いっすよ、やってみて!)

画像の楔は欅。これを打つ事で上木と下木と柱の3材をいっぺんに緊結。

ほぞのメス側(穴の方)もテーパーを付けてあるのだよ~。楔を打ってオス側ほぞを開かせ、抜けなくさせる訳だ。

この技法で、柱頭金物は不要。但し筋違い等の計算により、金物の補強が必要になる場合もあるから注意。

以上、伝統の木組みはゆるゆるでは一切製作しません。ほぞ1つが大変重要な耐震要素になるからです。

 

「釘(金物)を使わない伝統大工の木組み」、組んでしまうと分からないその中身。

伝統大工の技術・技能は、全自動プレカット木組みに比べ、意匠性と耐震性が高いのが特徴。

 

ちなみに《台持ち継ぎ》は現在、シンプルな形状の単一でプレカットでも加工出来る様になってきています。

次回で、プレカット仕様と今回仕様を比較してみましょう。

 


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