”手仕事”を日常のなりわいとする身として常に思う事は、『頭の中だけではなくて、”手”や”指先”にも、”脳”がある』ということです。
木組みを使った授業が終わり、後日、担当の先生から生徒へのアンケート集のコピーを頂きました。そこには、様々な感想が述べられていたのですが、『木組みで遊んでいるうちに、だんだん楽しくなりました。』というものがありました。また、 ”I want to○○○.” と、能動的に自分がやりたい事が大変多く書かれていました。
私は、それらを見て、本心から『良かったなぁ』と思いました。”楽しむ”こと、そして”やりたい”こと、それは何にもまして、大切な事だと思っているからです。
例えば、サッカーの話で恐縮なのですが、FCバルセロナのロナウジーニョ選手はテレビで観ていても本当に楽しそうにサッカーをしています。それは彼自身、本心からサッカーがやりたくて、そして楽しんでやりたくてプレーしているからだと思うのです。自ら楽しんでいるからこそ、更に彼はますます上達していっているし、相乗効果で人生が楽しくって仕方がないように私には思えるのです。
翻って、今の木造住宅の生産現場で、高い技能や知能や知識や経験や創意工夫を必要としない現在の平均寿命26年住宅の建築で、ただ単にプレカットされた木材や建材を組み立てているだけの職人、いや人間が、ロナウジーニョ選手のように家を作ることを”楽しんで”、”やりたくて” しているかどうか、私にははなはだ疑問です。いや、間違いなく、仕事を楽しんでいないでしょう。
私は思うのですが、物事に経済効率ばかりを追い求めて、そこから創意工夫や技能・知能への挑戦といった、人間としての向上心にふたをさせてしまったような現代のやり方は、間違っている、と。
だから、相変わらず、欠陥住宅問題はなくならないでしょう? 作っている当事者が楽しんでいないのだから、いいものが出来るはずがないと思うのです。例えどんなに規則や管理や法律で縛ろうとしても。むしろ縛れば縛る程、潜在能力があってやる気のある人間はそんな楽しみの無い仕事から離れていくはずです。{私がそうです(笑)}
それはもはや”平均寿命26年住宅スパイラル”!
話が飛躍し過ぎるかもしれませんが、現在の日本でニートが増えるのも、私には理解出来るような気がします。
だからネ、生徒のアンケート集を先生から頂いて、私も励みになりました。ニートを増やしたのはやはり大人の責任なのだから、少なくとも私は、私の子供達に、この世に生まれてきたことが決してつまらない事ではなく、人生が楽しいものであるという事を教えてあげていきたい。
”頭でっかち”になるなよ! ”手”や”指先”にも、”脳”はあるんだぜ。頭を使って、体も使う。寒いからって暖のある所ばかりにいないで、野山を駆け回ってみろよ。少しばかり度胸はいるけど、厳冬の北海道をオフロードバイクで野宿の旅をするってのも、人生を豊かにしてくれるんだぜ!…って。(^-^)v