(今日の写真は、トチノキ科(またはムクロジ科)トチノキ属の落葉広葉樹「トチノキ(栃の木)」の実とスイレン科ハス属の多年生水中植物である「ハス(蓮)」の実である。入れた器は津軽亀が岡焼き「一戸広臣」の手になるものだ。
「トチノキ」は高木で、高さは25m、太さも1mを越えるものが多い。落葉広葉樹林の重要な構成種の一つである。適度に湿気のある土壌で育つ。谷間では、サワグルミなどとともに姿を見せる。
葉は大きく、葉柄も長く、その先に倒卵形の小葉を5~7枚、掌状につけ、その長さは50cmを越える。5月から6月にかけて、穂状の花序を出し、高く立ち上がる。
花は白から薄い紅色で、目立つのだが、「高木」であることと「穂状の花序を出し、高く立ち上がる」という咲き方から、樹下からは、なかなかその姿を見ることは難しい。
丸い果実が熟すと厚い果皮が割れて、「種子(実)」を弾き落とす。「種子」は「今日の写真」を参考にしてもらえばいい。大きさクリに似ているが形状はクリではないし、色はクリよりも黒っぽい。「今日の写真」のものは非常に光沢があるが、これは乾いた布で表面を磨いたからであり、普通はもっと地味で素朴な色合いをしている。
「トチ」は東日本を中心に分布して、東北地方により多く見られる。「種子」は、デンプンやタンパク質を多く含んでいる。ただし、「渋抜き」しなければ食用にならない。しかも、「渋抜き」して食用になる「コナラやミズナラ」などの果実よりも、長い期間、「流水に曝し大量の灰汁で煮る」など手間がかかるのだ。
昔は、飢饉の際の食料として大切にされた。森林の伐採の時にも「トチノキ」は残したり、「トチノキ」を勝手に伐採することを禁じたりしていたという。縄文時代の遺跡からも出土しているそうだから「トチの実」と日本人の付き合いは長いのだ。
さて、黒っぽい実の方に移ろう。これは「ハス」の実である。学名にも「 堅果を持った」という意味が使われているように、まさに「 堅果」である。
秋になると、「ハス」の葉は、破れてくる。この葉を「季語」では、「敗荷(やれはす)」または「破れ蓮(やれはちす)」と言う。「敗荷(はいか)」と読んでもいいだろう。
漢字の「蓮」は、「はちす」とも読む。由来は「果実を入れた花托の姿が、蜂の巣状をしている」ことによる。
「花托」は倒円錐形で、巣孔中の種子は、熟れると抜け出る。「今日の写真」のように果皮が黒いが、中身は「白くて肉厚」である。もちろん食べられる。
食べられるのは「種子」だけではない。花も、葉も、茎なども食用になるのだそうだ。私が知っているのは、「泥の中にある根の部分」、つまり、蓮根(れんこん)ぐらいのものだ。
葉を食べた記憶はないが「食べ物を包んだ」ということはあったような気がする。それに、サトイモの葉と同じように、ハスの葉は、表面が蝋を塗布した状態になっているので、水を弾く。そのために、雨水の滴が集まって「水玉」になり、葉の表面を軽快に走るのである。葉っぱを動かして「水玉」転がしをして遊んだことの方が記憶でははっきりしている。
「ハス」は日本の在来種ではなく、インド原産の植物である。「インド」は仏教では西方浄土である。その西方浄土にある「極楽は神聖なハスの池」なのだと考えられて、多くの仏教寺では、境内に「ハス池」を造って、植栽するようになったといわれている。
一方で、仏典に「蓮華(れんげ)」の名で登場するし、仏像の台座にもその花の形がよく使われるようになったのである。
ところで、古代エジプトで神聖視されたのは、同じスイレン科だが、「ハス」ではなく睡蓮(スイレン)の方である。
「ハス」の花にまつわる不思議な話し…夏の朝、水面まで花茎を立てて花を開く。だが、朝早く開き、午後3時頃には閉じてしまう。そして、花は開く・閉じるを3回繰り返して、4日目にはもう散るのである。
そして、「敗荷」を迎え、立派な実をつけるのである。 「与謝野鉄幹」に「敗荷」という詩がある。その一節だけ紹介しよう。
…夕(ゆふべ)不忍(しのばず)の池ゆく
涙おちざらむや
蓮折れて月うすき…
「今日の写真」には赤い実も見えるだろう。これは「マユミ」の実である。この3種類とも、昨日弘前公園植物園で、拾ったものである。まさか、「盗った」とは言われないだろう。)
「トチノキ」は高木で、高さは25m、太さも1mを越えるものが多い。落葉広葉樹林の重要な構成種の一つである。適度に湿気のある土壌で育つ。谷間では、サワグルミなどとともに姿を見せる。
葉は大きく、葉柄も長く、その先に倒卵形の小葉を5~7枚、掌状につけ、その長さは50cmを越える。5月から6月にかけて、穂状の花序を出し、高く立ち上がる。
花は白から薄い紅色で、目立つのだが、「高木」であることと「穂状の花序を出し、高く立ち上がる」という咲き方から、樹下からは、なかなかその姿を見ることは難しい。
丸い果実が熟すと厚い果皮が割れて、「種子(実)」を弾き落とす。「種子」は「今日の写真」を参考にしてもらえばいい。大きさクリに似ているが形状はクリではないし、色はクリよりも黒っぽい。「今日の写真」のものは非常に光沢があるが、これは乾いた布で表面を磨いたからであり、普通はもっと地味で素朴な色合いをしている。
「トチ」は東日本を中心に分布して、東北地方により多く見られる。「種子」は、デンプンやタンパク質を多く含んでいる。ただし、「渋抜き」しなければ食用にならない。しかも、「渋抜き」して食用になる「コナラやミズナラ」などの果実よりも、長い期間、「流水に曝し大量の灰汁で煮る」など手間がかかるのだ。
昔は、飢饉の際の食料として大切にされた。森林の伐採の時にも「トチノキ」は残したり、「トチノキ」を勝手に伐採することを禁じたりしていたという。縄文時代の遺跡からも出土しているそうだから「トチの実」と日本人の付き合いは長いのだ。
さて、黒っぽい実の方に移ろう。これは「ハス」の実である。学名にも「 堅果を持った」という意味が使われているように、まさに「 堅果」である。
秋になると、「ハス」の葉は、破れてくる。この葉を「季語」では、「敗荷(やれはす)」または「破れ蓮(やれはちす)」と言う。「敗荷(はいか)」と読んでもいいだろう。
漢字の「蓮」は、「はちす」とも読む。由来は「果実を入れた花托の姿が、蜂の巣状をしている」ことによる。
「花托」は倒円錐形で、巣孔中の種子は、熟れると抜け出る。「今日の写真」のように果皮が黒いが、中身は「白くて肉厚」である。もちろん食べられる。
食べられるのは「種子」だけではない。花も、葉も、茎なども食用になるのだそうだ。私が知っているのは、「泥の中にある根の部分」、つまり、蓮根(れんこん)ぐらいのものだ。
葉を食べた記憶はないが「食べ物を包んだ」ということはあったような気がする。それに、サトイモの葉と同じように、ハスの葉は、表面が蝋を塗布した状態になっているので、水を弾く。そのために、雨水の滴が集まって「水玉」になり、葉の表面を軽快に走るのである。葉っぱを動かして「水玉」転がしをして遊んだことの方が記憶でははっきりしている。
「ハス」は日本の在来種ではなく、インド原産の植物である。「インド」は仏教では西方浄土である。その西方浄土にある「極楽は神聖なハスの池」なのだと考えられて、多くの仏教寺では、境内に「ハス池」を造って、植栽するようになったといわれている。
一方で、仏典に「蓮華(れんげ)」の名で登場するし、仏像の台座にもその花の形がよく使われるようになったのである。
ところで、古代エジプトで神聖視されたのは、同じスイレン科だが、「ハス」ではなく睡蓮(スイレン)の方である。
「ハス」の花にまつわる不思議な話し…夏の朝、水面まで花茎を立てて花を開く。だが、朝早く開き、午後3時頃には閉じてしまう。そして、花は開く・閉じるを3回繰り返して、4日目にはもう散るのである。
そして、「敗荷」を迎え、立派な実をつけるのである。 「与謝野鉄幹」に「敗荷」という詩がある。その一節だけ紹介しよう。
…夕(ゆふべ)不忍(しのばず)の池ゆく
涙おちざらむや
蓮折れて月うすき…
「今日の写真」には赤い実も見えるだろう。これは「マユミ」の実である。この3種類とも、昨日弘前公園植物園で、拾ったものである。まさか、「盗った」とは言われないだろう。)