(今日の写真はキク科フキ属の多年草「アキタブキ」の若い花茎「蕗の薹」である。岩の近くは輻射熱で雪消えが早い。何よりも早い春の命だ。
1月の下旬の地方紙に「蕗の薹」が芽を出したという写真入りの記事があった。1月故に珍しいというような意味が書かれてあったが、この「蕗の薹」は積雪がなければ、いつだって芽吹くのである。すべて雪次第というわけである。実は昨年の11月下旬にすでに芽を出したものを岩木山の南麓で見つけている。)
「アキタブキ」と呼ばれるくらいだから、隣県秋田の「県の花」でもある。
春になって芽を出す菜の類を春菜(はるな)または若菜(わかな)と言う。フキノトウもその中の一つだ。万葉の時代には春に「若菜摘み」をし、不老不死を願って食べたようである。
ところで、フキノトウには雌花、雄花があることを知っているだろうか。フキは雌雄異株の植物なので、その花茎であるフキノトウにも雌雄の別がある。
雌花は白色に近く、雄花はやや黄みがかっている。雌の方は花が終わると茎が高く伸びて、いわゆる「トウが立つ」状態になって、白い綿毛のある種子が風で飛ばされて散るようになる。雄の方は余り高くは立たず用が済むとそのまましぼんでしまう。
「口に春を溢れさせるそのほろ苦い味」は格別である。私は「蕗の薹味噌」が大好きである。津軽では「」のことを「ばっけ」と呼び、この味噌を「ばっけ味噌」と呼ぶ。熱いご飯の上にこれを載せて食べると止められない。どんどんと食が進む。
いち早く春を告げるものとして、「てんぷらネタ」にしたり、味噌汁に入れたりと食卓を飾ることも多い。
これは蕗の花なのである。花の後で、もっと伸びてしまうと、まさに「薹が立つ」という状態になる訳である。
北海道の民話に出てくるコロボックルという妖精は蕗の葉の下に住むと言う。雨が降った時には蕗の葉を取って傘の代わりにするとも言う。
さて、フキノトウをうまく食べるにはどうすればいいのだろうか。私が知り得ている範囲内で少し書いてみよう。
フキノトウは芽出し直後の花が開く前のものを、根ぎわから採取すると、若いものほど苦味が少なく、香りも強くて美味しい。
食べ方はアク抜きし過ぎないようにして、汁の実、油炒め、煮物、酢の物などにしたり、生のまま天ぷらにする。
私は、もぎたてのフキノトウを天麩羅にして、薄塩をかけて食べるのが一番だと思っている。あの香りと「あっさりした」塩味が絶妙のバランスで口の中いっぱいに広がる。もうたまらない。
フキノトウを、包丁で切ったり、茹でたりすると真っ赤というか、さび色というか、そんな色の「アク」が出る。だが、これをきれいに取り除いてしまうと、せっかくの香りまで消えてしまう。
昔から、苦味と香りには消化を助ける作用があるといわれ、冬の間の胃の疲れを癒すとされる。冬眠あけの熊もいち早くこれを食べるらしい。
フキノトウの栄養価は、体内でビタミンAとなるカロチン、ナトリウム、排泄に役立つカリウム、鉄分などのビタミンやミネラルが豊富で、低カロリーで食物繊維も豊富である。きっと熊もそのことを知っているのだろう。
ところで、フキノトウと葉は薬用としても使われる。煎じて飲むと、せき止めや痰を切り、解熱作用もあり、風邪の初期症状にも効果があるそうだ。またフキノトウのほろ苦さは食欲増進効果もあるそうだ。
「花名の由来」は、長い茎を塔に見立てて呼んだことによるのだが、次のような面白い説もあるのだ…。「フキ」の名の由来について…
江戸時代中期の儒学者であった新井白石の説…
「フキはフブキの略で、フブキとは茎を折った時、繊維が糸のように出てくることをさす」
国語学者、金田一春彦氏の説…「対馬に所用で行ったおり、あるのトイレに新しいフキの葉が前の方に置いてあり、使用済みのフキの葉が捨ててあったのを見てフキは「拭き」からきていると言っている」
杉田久女の俳句に「ほろにがき恋の味なり蕗の薹」というのがある。「ほろ苦き」という感覚は「かそけく」しかも「微妙」だ。決して実態が明瞭にならない。非常に奥ゆかしいものだろう。
ぎりぎりと「鼻をつく」強さはないがいつまでも忘れることが出来ない感情である。とりわけ、それは「失恋」の味かも知れない。
1月の下旬の地方紙に「蕗の薹」が芽を出したという写真入りの記事があった。1月故に珍しいというような意味が書かれてあったが、この「蕗の薹」は積雪がなければ、いつだって芽吹くのである。すべて雪次第というわけである。実は昨年の11月下旬にすでに芽を出したものを岩木山の南麓で見つけている。)
「アキタブキ」と呼ばれるくらいだから、隣県秋田の「県の花」でもある。
春になって芽を出す菜の類を春菜(はるな)または若菜(わかな)と言う。フキノトウもその中の一つだ。万葉の時代には春に「若菜摘み」をし、不老不死を願って食べたようである。
ところで、フキノトウには雌花、雄花があることを知っているだろうか。フキは雌雄異株の植物なので、その花茎であるフキノトウにも雌雄の別がある。
雌花は白色に近く、雄花はやや黄みがかっている。雌の方は花が終わると茎が高く伸びて、いわゆる「トウが立つ」状態になって、白い綿毛のある種子が風で飛ばされて散るようになる。雄の方は余り高くは立たず用が済むとそのまましぼんでしまう。
「口に春を溢れさせるそのほろ苦い味」は格別である。私は「蕗の薹味噌」が大好きである。津軽では「」のことを「ばっけ」と呼び、この味噌を「ばっけ味噌」と呼ぶ。熱いご飯の上にこれを載せて食べると止められない。どんどんと食が進む。
いち早く春を告げるものとして、「てんぷらネタ」にしたり、味噌汁に入れたりと食卓を飾ることも多い。
これは蕗の花なのである。花の後で、もっと伸びてしまうと、まさに「薹が立つ」という状態になる訳である。
北海道の民話に出てくるコロボックルという妖精は蕗の葉の下に住むと言う。雨が降った時には蕗の葉を取って傘の代わりにするとも言う。
さて、フキノトウをうまく食べるにはどうすればいいのだろうか。私が知り得ている範囲内で少し書いてみよう。
フキノトウは芽出し直後の花が開く前のものを、根ぎわから採取すると、若いものほど苦味が少なく、香りも強くて美味しい。
食べ方はアク抜きし過ぎないようにして、汁の実、油炒め、煮物、酢の物などにしたり、生のまま天ぷらにする。
私は、もぎたてのフキノトウを天麩羅にして、薄塩をかけて食べるのが一番だと思っている。あの香りと「あっさりした」塩味が絶妙のバランスで口の中いっぱいに広がる。もうたまらない。
フキノトウを、包丁で切ったり、茹でたりすると真っ赤というか、さび色というか、そんな色の「アク」が出る。だが、これをきれいに取り除いてしまうと、せっかくの香りまで消えてしまう。
昔から、苦味と香りには消化を助ける作用があるといわれ、冬の間の胃の疲れを癒すとされる。冬眠あけの熊もいち早くこれを食べるらしい。
フキノトウの栄養価は、体内でビタミンAとなるカロチン、ナトリウム、排泄に役立つカリウム、鉄分などのビタミンやミネラルが豊富で、低カロリーで食物繊維も豊富である。きっと熊もそのことを知っているのだろう。
ところで、フキノトウと葉は薬用としても使われる。煎じて飲むと、せき止めや痰を切り、解熱作用もあり、風邪の初期症状にも効果があるそうだ。またフキノトウのほろ苦さは食欲増進効果もあるそうだ。
「花名の由来」は、長い茎を塔に見立てて呼んだことによるのだが、次のような面白い説もあるのだ…。「フキ」の名の由来について…
江戸時代中期の儒学者であった新井白石の説…
「フキはフブキの略で、フブキとは茎を折った時、繊維が糸のように出てくることをさす」
国語学者、金田一春彦氏の説…「対馬に所用で行ったおり、あるのトイレに新しいフキの葉が前の方に置いてあり、使用済みのフキの葉が捨ててあったのを見てフキは「拭き」からきていると言っている」
杉田久女の俳句に「ほろにがき恋の味なり蕗の薹」というのがある。「ほろ苦き」という感覚は「かそけく」しかも「微妙」だ。決して実態が明瞭にならない。非常に奥ゆかしいものだろう。
ぎりぎりと「鼻をつく」強さはないがいつまでも忘れることが出来ない感情である。とりわけ、それは「失恋」の味かも知れない。
三浦先生は、ばっけみそがお好きだそうですね。そういうことなら、たまに違った味で如何でしょうか?以下、ばっけみそ協子流。
小さめの鍋に少量水を入れ、少量昆布を入れる。(煮立ったら昆布を取り出す)きび砂糖を適量溶かし、酒少々と赤みそを入れ、さくらえびとかつおぶしの細かくなっているのを入れ、焦げないように気をつけてかき混ぜながら水分を飛ばす。ふきのとうの葉だけ(芽は入れない)をさっと湯通ししたものを細かく刻み、しかも大量に刻み、ばっけみそなのかみそばっけなのか判断がつかん、というくらい大量に刻んで、それに混ぜる。仕上げに白ごまを振る。好みで山椒を振っても可。お試し下さい。(笑)