岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「風力発電」風車が建ったらこの風景は?(3)

2009-12-13 05:50:26 | Weblog
 (今日の写真は、鶴田町の「廻堰の大溜め池」で、観光名では「津軽富士見湖」とも呼ばれているが、そこに架けられている「鶴の舞橋」である。
 私は40年ほど前に何回かこの場所を訪れたことがある。もちろん、この「観光用の舞橋」などはなかった。およそ、建造物と呼ばれるものは何もなかったのである。
 湖面を眺めることはもっぱら、西側に連なる丘陵群に登ってということであった。その小山は松と雑木が生えている雑木林で、今のように杉林はなかった。歩道も、人が踏み分けて通るぐらいのもので、落ち葉が敷き詰められて、足に優しいものだった。その樹木の隙間から眺められる「廻り堰の大溜め池」は「実に大きく」見えたものである。
 木々に葉のない春早くは特によく見えたものだ。しかも、この時季は水を満々と湛えていた。しかし、田植えが始まるころになると水かさは下がり、湖面の広さはどんどんと縮小していった。そして、水抜きをする夏遅くは、水は池の底を「川」となして流れるほどに少なくなってしまうのだった。
 そして、冬である。水は復活し、またまた満面となるほどに湛えるのだ。その頃には、北から渡りの鳥がやって来るのだ。
 四季折々、違った表情を「廻り堰の大溜め池」は見せてくれた。まさに、無常である。「無常」の美しさが、そこにはあったのだ。だが、この「鶴の舞橋」は常住座臥である。移り変わる自然の美しさにはまったく、そぐわないものだ。
 そして、ここから見える岩木山の山麓に、今また「常住座臥」する異物、「風力発電所」が建造されようとしているのである。)

◇◇「風力発電」風車が建ったらこの風景はどうなるのだろう?(3)◇◇

 それは、10月20日のことだった。 「K/S(風力発電)」(この名称は正式名ではない。あえて伏せてある)という会社の代表取締役A氏、開発部長B氏、コンサルタント会社「C」代表取締役D氏の3名が本会事務局を訪れたのである。
 電話でアポを貰った時はただ、「岩木山麓に風力発電の計画をしている『K/S』という会社ですが、その計画についてあなた方の会とお話し合いをしたい」ということだけで、他は一切知らされなかったものである。もちろん「長平地区に風力発電設置」などということも、この日初めて明らかにされたのであった。
 当日は、本会は阿部会長、事務局長、I会員、T会員の4名で臨んだ。他に東奥日報記者も同席した。

 次に掲げるものは、その時に提示された「本会」あての文書の冒頭である。
何故、今これを提示したかというと、これまで「風力発電」がもたらすであろう「風任せ、出力不安定、落雷、強風、風の乱れ、利用出来る風の強さに制限」などという「風力発電の特性」、「建設時の自然破壊」、「稼働後の健康」、「生態系への影響(バードストライクなどを含む)」、「稼働率の問題」、「メインテナンスの問題」、「原風景を含めた景観破壊」などについて報告してきたが、これについてこの「K/S」がどのように考えているのか、あるいは考えていないのかがよく分かるであろうと判断したからである。
 じっくりと時間をかけて読んでいただきたいと思うのだ。

 『 岩木山を考える会殿
       (仮称)岩木風力発電計画の概要に関するお知らせ
                         平成21年10月
                                  K/S
1.はじめに
 当社は、風力発電所を建設しその発電電力を電力会社へ売電し事業運営する卸供給事業者として、全国各地で風力発電所の建設および運営を行っています。
 さて、当社はこれまでの机上検討(風況シミュレーション)および現地踏査の結果、岩木山の北側の麓、標高約300mより低い畑地区域の風エネルギーの賦存量が高いこと、および地形的立地条件が良好であることを確認しました。
 つきましては、将来の風力発電事業化の可否を判断するために、実際に現地の風の観測を行うことを計画しておりますが、何分、岩木山が自然環境に優れた場所であることから、貴団体と計画の初期段階から協議、調整等させていただきたく、本計画の概要をお知らせいたします。
 なお、現時点では本計画は極めて初期段階にあり、今後実施する風の調査の結果が良好と判断され、かつ貴団体等との協議がまとまった場合に、引き続き環境影響評価を実施します。その結果、有意な問題の無いことが確認された場合に、風力発電所の建設を行うことになりますが、今後、貴団体と有益な協議が進むことを切に願って止みません。何卒、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。                          
2.風力発電事業の概要

・発電所名      :(仮称)岩木風力発電所
・事業者の名称   : K/S
             (注:後に他社との合弁会社になることもあります)
・計画地      :岩木山北側麓,十腰内および長平地区の畑地区域
・風力発電機の出力 :2,000kW×25基(合計発電容量50,000kW)
・風力発電機の大きさ:ハブ高さ 78m(添付図一2参照)
           ブレード直径 82m
           全高 119m
・発電事業の期間  :17年間(17年後に東北電力と契約更新の見通し)
・発電規模     :約25, 000世帯の電気使用量に相当
・発電所用用地面積 :約6,000m²

3.環境影響評価
 計画地周辺の自然環境及び生活環境についての影響評価を行い、その結果を周辺住民の皆様、関連団体、自治体等に公表し、ご意見をいただいた上で必要な対策等を施し、万全な計画を立てて事業を進める所存です。
  調査の項目としては、騒音調査、低周波音調査、TV電波障害調査、景観調査、稀少動植物調査等を予定しています。』

以上である。私は10月22日にこれら資料一部を当該地区で農業をしている人に送った。その地域の住民に早く、この情報を届けて、早めに住民としての対応を考えてもらいたかったからだ。
 だが、間もなく2ヶ月になろうとしているのに、その動きは「よく見えない」のだ。(この稿は今日で終わりとなる)

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