岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

相棒との寄生火山めぐり…に思うこと(5) / 長野県からの出展、写真展「私の岩木山」

2010-01-11 05:16:36 | Weblog
 (今日の写真は、何の足跡だろう。ウシ科の動物でニホンカモシカのものだ。ウシ科だから日本爪である。「足跡」の中では一番分かりやすい格好をしている。一度見るとまずは絶対に忘れられないものであり、「誰にでも」判別がつくものだ。
 体高も1m以上あるし、重いので、その「足跡」はかなりくっきりと残る。夏場、赤土のむき出し部分にも「くっきり」と残されていることがある。
 単独で生活し、木の葉や草を食べているので、ほぼ「足跡」は1頭のものだ。何たって日本固有種で特別天然記念物の優しい「獣」である。

時々、次のような出会いをすることがある。
 … 1月の中旬、久しぶりの晴れとなった。予報によると好天が続くらしい。天気図で確認し、赤倉尾根から山頂を目ざした。朝の放射冷却の名残だろうか、標高千mを超えた辺りでは風は弱いものの体感温度は氷点下20度を切っていた。
 突然、横合いから上部に向かってトントンと駈け出したものがいる。そして、立ち停まってこっちを見ているのだ。カモシカである。この山と厳寒という自然を共有している仲間という実感が強まった。私を見つめるカモシカの柔和な目がいっそう愛おしいものに思え、胸がじーんと熱くなった。…)

◇◇ 相棒との寄生火山めぐり…に思うこと(5) ◇◇
(承前)

 …私たちは、その道を環状線に向かって降り始めた。この道は昨年の春から夏にかけて、降りたことも、登ったこともあった。その距離は思ったよりも長く感じられた。いや、実際に、長かったのである。
 昨年の夏に「踏み跡探し」の一環として「相棒」と一緒に毒蛇沢右岸尾根から入って、岳入り口付近へ抜けたことがあった。総距離は「藪こぎ」という行程を含めて12kmほどだったと思う。
 その時のルートは毒蛇沢尾根を横切り、滝ノ沢を跨ぎ、滝ノ沢右岸尾根を横切り、平沢を徒渉し、柴柄沢を徒渉し、だだっ広いミズナラ林の尾根を辿り、ガンベ長根を横切り、砥上(とあげ)沢を渡って岳入り口に降りるというものだった。
 その時、その岳入り口付近から、遊歩道に沿って歩いて、駐車してある毒蛇沢のこの「道路」の上部まで登ったのであった。
 あの時は、実に疲れた。この登り道では、相棒にはとてもついてはいけなかった。随分と急勾配の道だなあと思ったものである。
 だが、この吹雪混じりで深雪の道は、下っているにも拘わらず、その急斜面を意識させないのである。ただの「平面」にしか見えないのだ。
 東側に広い河畔のような場所が出てきた。疎らな河畔林を縫って、道のような「穿ち」がなだらかに見える。道はどっちだ。東か、それとも、南か。目を懲らしても南東に見えるはずの「森山」が見えない。吹雪と雪雲に覆われているからである。もし、見えているならば、「森山」のど真ん中に狙いを定めて、その方向に降りていけばいいだけのことなのだが、見えない。
 このような時は、真っ直ぐに降りるに限る。曲がりくねって「ジグザグ」になっているところは「距離」が増えるだけで「負担」も増える。そこで、真っ直ぐに方向を定めて降り続けたのだ。(明日に続く)

◇◇ 長野県からの出展、写真展「私の岩木山」◇◇

 今月の15日から17日まで、第17回写真展「私の岩木山」がNHK弘前ギャラリーで始まる。
今回も、事務局としては出展者20名以上、出展写真70枚程度を見込んでいる。マスコミ各社には、そのように案内をしている。今回は常連のKさんの写真はない。昨年の8月に癌で亡くなられたからだ。
 だが、出展数での心配はしていない。何せ、過去16年続けている「写真展」である。この実績からすると、恐らく、皆さんは、「なあに、任せておけよ」ということで、うまく対応してくれるはずであるからだ。

 実は、昨年の8月の中旬、百沢登山道口に設置されている「登山計画書投入箱」を覗いたら、その数枚の計画書の中に、見覚えのある名前を見つけた。
 何とそれは、長野県在住の会員、Yさんであった。弘前に住んでいた時に、「岩木山が大好きで入会した」というYさんである。山、山、山に囲まれた長野県に住んでいても、まだ、「岩木山が大好き」で、今でも遠い長野県から「岩木山登山」にやって来ているのかと、思ったら何だか、胸が熱くなるような思いになったものである。
 そこで、私は「会報」を送付するついでに、その登山の時に写した写真があれば、写真展に出展してほしい旨の「メモ」を送った。Yさんはそれに答えてくれたのである。
 Yさんからの「メール」は次のようなものだった。

【 明けましておめでとうございます。先日はお手紙頂戴し有難うございました。平素は「岩木山を考える会」での精力的な活動に敬意を表します。
 以前、「岩木山・花の山旅」を送付頂きました折には、送料を安くして頂き、感想と御礼を申し上げなければと思ったまま今日に至っております。遅ればせながら、ご配慮いただき有難うございました。
 今までにない植物図鑑に出会えた感じで本当に感動いたしました。はしがきに書かれた"ありのままの姿を写す"ことに徹されたことが一番素晴らしいことだと私は感じました。更に植物名を漢字で表すことで語源を知ることができ、大変勉強になりました。
 また、紀行文のように仕上げられていることで、自分が山に登っているような感覚になり、楽しみながら読むことができました。
 このような素晴らしい本を執筆されたことに感謝申し上げます。自分の知らない岩木山を沢山味わうことができました。
 今までに、みちのく岩木山シリーズ三部作も読ませていただきました。どの本も読み応えがあります。

 さて、写真展の件ですが、昨年8月1日に登った時に撮影したものですが、添付のとおりデータ提出いたします。なお、容量が大きいので、3回に分けて送信します。
 以上、お手数お掛けしますが、よろしくお願いいたします。 】

 Yさんの写真は、すべて、岩木山の花である。その花の名前は伏せておこう。「写真で見ることを楽しみに」ということである。本当に有り難い話しだ…。

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