若草物語

妻と二人で愛車プリウスに乗って、あちこち出かけ、デジカメで撮った写真が中心のブログです。

足袋蔵とレトロな街並みが似合う城下町ーその3

2023年01月30日 | 行田市


再び行田八幡神社に戻ります。

行田八幡神社は、「封じの宮」と称され、子供の夜泣きや、かんの虫を封じる虫封じをはじめ、癌の病、諸病、難病や悪癖の封じ、お年寄りのぼけ封じ等の封じ祈願が秘法として継承されています。



神社だけでなく周囲の商店街で協力された、色々なバージョンの花手水がおすすめです。



花手水は時期により花の種類も違うので、いつ訪れても楽しめます。



これは「水琴窟(すいきんくつ)」と言うものです。

日本庭園で、地中に伏せた瓶(かめ)に注ぎ落とす水が琴の音を思わせて、かすかに響くようにした仕掛けです。

「キン」とも「コン」とも言い表せない音色が地中よりかすかに聞こえてきます。



「目の神社」はその名のとおり、眼病平癒・視力回復にご利益のある神社です。

お祀りされているご祭神は、味鋤高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)となり、眼病平癒の神として篤い信仰があります。

目の神社の前には、青い字で“め”、“め”を反対側にした字が書かれた“むかいめ”の絵馬が掲げられており、眼病平癒・視力回復を願う人々の願いが書き込まれています。



目の神社の隣には、向かって左側に、「瘡守(かさもり)稲荷社」がご鎮座しています。

「瘡守稲荷社」も聞き慣れない神社ですが、実は日本各地にあり、おでき・吹き出物・湿疹平癒にご利益があるとされています。

お稲荷さん(倉稲魂命(うかのみたまのみこと))がお祀りされているので、商売繁盛にもご利益があります。

こちらは、白い狐が描かれた絵馬で願い事をすることができます。



拝殿のむかって左側にあるのが、「なで桃」と呼ばれるもの。

なで桃とは、古事記のなかにある一つの神話に由来しているといい、桃の実は病魔や厄災を退治してくれる象徴として尊重されているとか。



行田八幡神社の拝殿の左側には、摂社の「愛宕神社」が鎮座しています。

愛宕神社の左側に生えているのが、願いを叶えてくれるという「結びいちょう」です。

“結び文”に願い事を記入し、結び紐に結びつけることで、神さまとのご縁を結んでくれるのだそうで、結び文の色によって願い事が変わってきます。



こちらは「医薬の祖神おやがみ」とあります。

八角形石柱には薬祖神が祀られており、無病息災・病気平癒の御利益があるそうです。



社殿手前右手に、犬と猪の像がありました。

これは、当神社の御祭神である、応神天皇が、12月戌の月、14日亥の日に生まれ、100歳を越える長寿だったといわれているところから、行田八幡神社は古くから「戌亥(いぬい)八幡」と称されてるそうです。

像はその干支にちなんだもので、それぞれ、戌(犬)は安産・子宝・子育て、亥(猪)は足腰健康・立身出世のご利益があるそうです。



八幡神社を出て、新町通を歩いて行くと、「スターダストレビュー」の根本要さんの実家「根本内・小児科医院」が見えてきました。

彼は二人のお兄さんの影響で小学校5年生の頃からギターを演奏し、中学2年生のころにはバンドを組んで全国大会にまで進出したそうです。



水城公園に戻ります。

この建物はVert Café(旧忍町信用組合店舗カフェ)です。

「ヴェールカフェ」と読みます。

忍町信用組合は、北谷(現在の忍一丁目)地区の足袋商店主たちが中心となって設立した金融機関です。

この店舗では足袋関連の企業間信用の決済業務が多く行われ、信用組合は全盛期の行田の足袋産業を金融面で支える重要な役割を果たしながら発展しました。



この建物は平成29年(2017)に行田市に寄贈され、市では国の交付金等を活用し、建物を水城公園東側園地に移築・改修・復原して保存されました。

カフェの運営は、子育て世代の方々を中心とする市民団体「行田レインボーネットワーク」が担っており、カフェ営業時には、カフェ利用の有無を問わず、建物内部の見学が可能だそうです。



Vert Café(旧忍町信用組合店舗カフェ)の奥には「田山花袋の田舎教師の石碑」があります。

石碑には、主人公の日記の一節が刻まれていました。

 『絶望と悲哀と寂寞とに堪へうるやうな
    まことなる生活を送れ
       運命に従うものを勇者といふ』

小説の主人公・林清三のモデルとなった小林秀三一家は、熊谷から行田に引っ越してきて、城跡に近い長屋に住んでいました。

秀三は旧制熊谷中学校(現在の熊谷高校)卒業後、同級生のほとんどが都会の旧制高校・大学に進学するにも拘わらず、家計を助けるために田舎の小学校の代用教員となります。

青雲の志を抱きながらも貧しさゆえに進学することもできず、小学校教師として苦悩の日々を送り、失意のうちに二十歳の若さで寂しく死んでいく主人公の出世主義とその挫折を、田舎町の風物や生活の中に描いた、自然主義文学の代表的作品がここにあります。


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