若草物語

妻と二人で愛車プリウスに乗って、あちこち出かけ、デジカメで撮った写真が中心のブログです。

埼玉モダンたてものを見て歩くーその12-秩父エリア②

2014年09月24日 | 埼玉モダンたてもの散歩


9月14日(日)妻と二人で秩父方面へ「埼玉モダンたてもの」を見て歩き、小鹿野町からいよいよ秩父市内に到着です。

車を「ウニクス秩父」の駐車場に止め、ヤオコー上野町店で昼食の寿司を買って食べたあと、最初に「ちちぶ銘仙館」へ行きました。

「ちちぶ銘仙館」は秩父織物、銘仙等に関する民俗学上貴重な資料を収集、保管、展示しており本館やノコギリ屋根の工場棟などは、国の登録有形文化財に指定されている昭和初期の特徴的な面影が漂う建物です。



「ちちぶ銘仙館」から国道140号を渡って秩父市役所で観光パンフをもらい、「お花畑駅」を越えて、「番場通り」を秩父神社方面へ歩いて行きます。

この立派な門構えと表札のハイカラな洋風建築が明治43年に建てられた「旧片山医院」です。

ピンクに塗られた下見板張りの外壁に、和瓦葺きの寄棟屋根が載っていますが、玄関ポーチを中心としたシンメシリーな外観は、歴史を感じさせてくれます。



看板建築の立ち並ぶ四つ角にやって来ると、たくさんの人たちが行列をなす店がありました。

「安田屋」という、テレビにも度々紹介されている有名な、お肉屋さんです。

大正五年創業で、国の登録有形文化財に指定されています。

秩父名物の味噌漬けは豚肉の他、牛肉・猪肉も取り扱っており、店頭では手作りメンチカツ、コロッケなどの揚物もあります。



これは、同じく四つ角に立つ「小池煙草店」です。

昭和初期に建てられた木造2階建てのハイカラな看板建築です。

窓の装飾も凝っており、ちょっと見えにくいですが右から書いた看板がレトロです。

これも登録有形文化財として国に指定されています。



その前に建つのが「カクテルバーsnob(旧大月旅館別館)」。

大正15年に建てられたアールデコ調の建物で、これも国の登録有形文化財です。



もうひとつ四つ角に立つモダンなお店が「パリー食堂」。

昭和2年建造の店舗は、一見3階建てに見えるように造られた看板建築で、実は木造2階建です。

今も建築当時の面影を残していることから、やはり国の登録有形文化財に指定されています。



「番場通り」を秩父神社方面に歩いて、次の四つ角を左折すると、見えてくるのが、昭和2年に建てられた「近藤歯科医院」です。

木造2階建ての医院棟(洋風)を核として、平屋建の住居棟(和風)が接し、全体はL字型の形態になっています。

通り側の外観は、ハーフティンバー風の真壁造で、壁をドイツ風に仕上げ、屋根は桟瓦葺となっています。



「番場通り」に戻り、更に歩くと明治36年開業の「旧岩田医院」です。

この建物も「旧片山医院」と同じく、和瓦葺きの寄棟屋根に、下見板張りの外壁です。



「番場通り」の一本隣りの「黒門通り」は、登録有形文化財になった「秩父銘仙出張所」や、昭和レトロな佇まいが今もなお残る歴史深い一角です。

「秩父銘仙出張所」は三軒あり、すべて木造二階建ての開放的な建物になります。

創業80年を越える「藤澤泰山堂印房」と「泰山堂cafe」は中で繋がっており、青田母娘さんが「泰山堂cafe」を営んでいます。

もう一軒は「そば処 入船」で、なかなか趣のある建物で、昼時には行列をなしています。



これは宮側町・秩父往還にある大正時代に建てられた「上石商店」です。

店頭に備え付けられたステンドグラスが素敵な、旧建材屋です。

商店両脇には「うだつ」、向かって右手の横壁は、いわゆる「なまこ壁」の模様になっています。



「上石商店」の隣が「旧松竹秩父国際劇場」です。

回り舞台・せり上がり・花道などを備えた本格的な芝居小屋として明治33年に建てられました。

昭和25年に東京浅草にあった国際劇場を模してファサードを改修。

しかし昭和58年に閉館、以降隣接する上石建材の倉庫として使われていました。

老朽化による取り壊しも計画されましたが、イタリアンレストランに利用されることになり改修されました。



以上で秩父エリアの「埼玉モダンたてもの見て歩き」を終わりとします。

時間の都合で「旧秩父橋」、「旧秩父駅舎」、「横瀬小学校」を見ることが出来ませんでしたがまたの機会に妻と一緒に愛車プリウスに乗って、訪ねてみようと思っています。


埼玉モダンたてものを見て歩くーその11-秩父エリア①

2014年09月18日 | 埼玉モダンたてもの散歩


9月14日(日)妻と二人で愛車プリウスに乗って、秩父方面の「埼玉モダンたてもの」を見て歩きました。

3連休の中日とあって秩父方面も観光客であふれており、最初に行った「長瀞駅」付近も駐車場が満杯で、駅前に車を止めて外観の写真を撮るだけで精一杯でした。

「長瀞駅」は関東の駅百選の第1回選定駅です。

駅前に観光案内所「長瀞町観光情報館」があり、長瀞観光の拠点となっています。

宝登山・宝登山神社方面に駅前通りが続いており、また、秩父線をはさんで駅改札口の反対側は、長瀞渓谷へ商店街が続いています。



「長瀞駅」から歩いて行ける距離にある「埼玉県立自然の博物館」や「荒川橋梁」も駐車場確保が難しく、以前に訪れた際に撮った写真で代用させてもらいました。

写真は「埼玉県立自然の博物館」(2011年6月26日撮影)です。

当館の前身は、昭和56年に開館した埼玉県立自然史博物館です。

さらに、秩父鉄道株式会社が設立した「鑛物植物標本陳列所」(大正10年開設)および「秩父自然科学博物館」(昭和24年開設)の伝統と資料を受け継いでいます。

埼玉県の生いたちとその自然について,化石や岩石,動物や植物など多くの資料を使って,わかりやすく展示・解説しています。



上長瀞駅と親鼻駅との間にある「荒川橋梁」(2010年11月20日撮影)は大正3年に建設されました。

荒川に架かる、秩父鉄道で一番長い鉄橋です。

高さ20mほどの煉瓦造りの橋脚が美しく、煙を上げながら走るSLの撮影スポットとして大変人気があります。



渋滞気味の国道140号(彩甲斐街道)を走ります。

大野原の交差点を右折すると巨大な「旧秩父セメント第二工場」に到着です。

昭和31年に建てられた、秩父の巨大なセメント製造工場。

帝国劇場の設計など、日本近代建築を代表する建築家のひとりである東京工業大学谷口吉郎教授が設計しました。

工場敷地内の長い直線の通路や高い煙突などが、人間の小ささを感じさせます。

また、障子のような格子の壁も見事です。

2000年には文化遺産としてのモダニズム建築20選にも選ばれています。



国道140号を少し戻り、市街地からひと山越えた、秩父の山里(旧秩父郡吉田町)に立つ洋館が「旧武毛銀行本店」です。

こんな山奥に、こんなモダンな建物があるとは・・・。

秩父から群馬県の上毛地方の顧客を対象とした銀行の本店社屋として建築されたものです。

煉瓦造2階建で、正面及び側面前面を白タイル貼りとし、寄棟造、瓦葺の屋根を架ける。

小規模な建造物ながら全体的に質も高く、幾何学文様を主体とした意匠は、近代建築への移行を示す好例だそうです。



吉田町から県道37号を20分ほど走ると小鹿野町両神。

その静かな山里に立つ大正ロマン香る洋館が「旧近藤銘醸㈱」です。

中央の洋館は木造で幅の広い下見板張り。

接して建つ3階建ての白い塔屋は鉄筋コンクリート造りで、所々に施された意匠が特徴的なロマネスク調の優雅な建物です。

大正12年に老舗蔵元の近藤酒造が店舗兼住居として建てたものです。

酒造は平成16年に廃業しましたが、まちの顔でもあるこの建物を残そうと、現在は㈲秩父ワインが所有しています。