若草物語

妻と二人で愛車プリウスに乗って、あちこち出かけ、デジカメで撮った写真が中心のブログです。

渋沢栄一の里・深谷市を訪ねるーその1 誠之堂と清風亭

2019年12月06日 | ドライブ


11月30日(土)妻と二人で愛車プリウスに乗って、渋沢栄一生誕の地である埼玉県深谷市へドライブに行って来ました。

熊谷方面から国道17号バイパスを走らせ、山田うどん17号バイパス店のある大寄交差点を右折して、県道伊勢崎・深谷線を進むと、間もなく、小山川の手前右手に見えてくる大寄公民館にあるのが、渋沢栄一ゆかりの建物「誠之堂(せいしどう)」と「清風亭(せいふうてい)」です。

これらの建物は、平成11年に世田谷区瀬田にあった第一銀行の保養・スポーツ施設「清和園」の敷地内に建てられていたものを、現在地に移築復元されたものです。

誠之堂は大正5年(1916)、渋沢栄一の喜寿(77歳)を記念して第一銀行行員たちの出資により建築されました。

設計者は、当時の建築界の第一人者であった田辺淳吉です。



誠之堂は、小建築ながら、多彩な煉瓦積技法で趣ある建築作品に仕上げられ、外観は英国農家に範をとりながらも、室内外の装飾に、中国、朝鮮、日本など東洋的な工夫を取り入れるなど、建物全体がバランスよくまとめられています。



喜寿の記念ということで、暖炉の背後の北側煉瓦煙突部には、赤、黄、黒の3種類の煉瓦を用いた装飾積みで「喜壽」の文字が描かれています。

煉瓦を用いて漢字をかたどっており、大変珍しいものです。



暖炉上面には、正面を向いた渋沢栄一の肖像レリーフがあります。



誠之堂大広間の暖炉脇の窓には、6面のステンドグラスが配され、大きな見所となっています。

第1面(右)と第2面(左)は、貴人とその臣下たちを描いた場面です。

第1面では、中央に貴人が台に座り、両側に侍者を従えています。

貴人は、片手を挙げ、何か指示をしているのか、左の侍者と会話をしているようです。

第2面では貴人の左には、3人の臣下が並んで座っています。

みんな左手の第3面で行われてる舞楽を見物しているのでしょう。

右にあるのは、瓶や食器で宴会に使われるものでしょう。

左には果実のなった木も生けられています。



第3面(右)と第4面(左)は、貴人をもてなすための楽器演奏と雑技(ざつぎ)を行っている場面です。

中央の人物は、倒立技を演じています。

雑技の倒立技は、漢の時代に著しい発展をしたそうです。

第4面は第3面に続き、楽器演奏と雑技を行っている場面です。

右では、筒太鼓を叩いているようです。

中央では、「弄丸鈴(ろうがんれい)」という、複数の玉を投げる手技の雑技を行っています。

左で踊る女性は、大きく反って、腕は極端に長く引き伸ばされた姿で描かれています。



化粧の間の扉にも、鳳凰と龍のステンドグラスが取り付けられています。

玄関から入るとすぐに目を引きます。

龍は「男子(皇帝)」のシンボルです。

それに倣えば栄一を指したものと考えられます。



鳳凰は「女子(皇后)」のシンボルだそうです。

この鳳凰は、渋沢栄一の当時夫人だった、兼子夫人を表わしている、とのことです。



屋根は、天然スレート瓦で葺かれています。

正面の屋根の中央には、小屋根が付けられていますが、これは、室内からは見えず、明かり採りの機能はありません。

設計者の田辺淳吉は、栄一にふさわしい威厳を持たせるため、シンメトリー(左右対称性)を強調する目的で作ったと記しているそうです。



構造は補強煉瓦造り、焼き色の異なる3色の煉瓦が積まれています。

煉瓦の積み方は「フランス積み」といって、長い煉瓦と小さい煉瓦を交互に積む方法です。



正面のベランダには、左右にかぎ型のベンチが設けられています。

ベンチの背もたれには、東洋趣味風の手すり子が木組みで装飾されています。

このベンチも左右対称で、小屋根とともに、正面のシンメトリーを強調する効果があります。



風見鶏は、復元されたものですが、方位盤は当初からのものです。

方位盤は、篆書体(てんしょたい)風にデザインされた漢字で示されたユニークなもので、中国風を感じさせます。



次の間の天井は、網代天井(あじろてんじょう)で、床の間や茶室などで多く用いられるもので、日本的な数寄屋造りの様式を採り入れています。



清風亭は、大正15年(1926)に、当時第一銀行頭取であった佐々木勇之助の古希(70歳)を記念して、清和園内に誠之堂と並べて建てられました。

設計者は、銀行建築の第一人者の西村好時です。

西村は、他にも東京丸の内の第一銀行三代目本店や一連の第一銀行の建物、支店長社宅、証券会社建築等の銀行関係施設を手がけています。

関東大震災を契機に、建築構造は煉瓦造りから鉄筋コンクリート造りに主流が代わりましたが、屋根のスパニッシュ瓦、ベランダの5連アーチ、出窓のステンドグラスや円柱装飾など、西村自身が「南欧田園趣味」と記述している当時流行していたスペイン風の様式が採られています。



大広間の天井は漆喰で壁はサラサラ(砂壁)としています。

黒と白で統一されたシャンデリアや暖炉両脇のブラケットライト、四隅にあるフロアスタンドもお洒落です。



室内で、中心にあって目立つのは暖炉です。

暖炉の外壁部分にはスクラッチタイルが張られており、暖炉前には当初からの火除け板も残されています。



平面的な壁に、ゆるやかな曲面の出窓がせり出し、アクセントをつけています。

上部にはアーチ型の縦長スチールサッシ窓になっています。
 
窓は、ベランダのアーチと連関するようにアーチ型を採り入れ、窓枠は円柱を模しています。

また、窓の周りは、幾何学的なステンドグラスで飾られています。



正面のベランダと、5連のアーチは、印象的な部分です。

スクラッチタイルによる縁どりで凹凸がつくられていますが、どれも同じ並びはなく、あえて左右対称を崩した部分をつくっています。

床は鉄平石を乱張りしたものです。

清風亭は安室奈美恵の「GIRL TALK(2004年発売)」MVのロケでも使用されたそうで、テラスや室内で撮影されたらしいです。



日本近代建築史上、大正時代を代表する建築物として高い評価を受けている「誠之堂・清風亭」に感嘆した私たちは、「論語の里」にある「渋沢栄一記念館」と「渋沢栄一生地」へと車を走らせました。


ランキングに参加中です。クリックして応援お願いします。    
 ↓↓↓


最新の画像もっと見る

コメントを投稿