たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

1998年星組『ダル・レークの恋』-帝国劇場公演

2021年02月19日 23時43分40秒 | 宝塚
 赤坂ACTシアターにて上演中の月組『ダル・レークの恋』を昨日、麻路さきさんがご観劇だったとか。麻路さきさん主演、星組『ダル・レークの恋』、1998年3月4日から3月30日まで、旧東京宝塚劇場が建て替え工事に入った為、帝国劇場にて上演されました。録音演奏だったと思います。白城あやかさんの退団後、星奈優里ちゃんが麻路さきさんの相手役として雪組から星組に戻ってきたお披露目公演でした。優里ちゃん演じるカマラの「はずかしいことをなさい」っていう台詞、今でも耳に残っています。美貌と色気と貫録と上品さ、麻路さきさんに迎えられてほんとによかったと思ったものでした。帝国劇場公演、今となっては貴重な希少な出会いでした。

(公演プログラムより)
「ダル・レークの恋-酒井澄夫

 帝国劇場は、宝塚歌劇とは、切っても切れない縁の深い劇場です。小林一三先生の夢が一歩前進した大正7年5月、はじめて上京し、上演したのが旧帝国劇場です。また、戦後の一時期、宝塚劇場が再開されるまでの期間も上演されていたようです。・・・そしてまた、この新帝国劇場は菊田一夫先生が、夢の全てを賭けられ、作られた劇場です。いつか「この劇場は君達が、新しい日本のミュージカルを作った時に上演させてやるよ」と嬉しそうな顔で鴨川先生と私に言って、劇場を案内してくださったのを今も、昨日の事のように覚えています。・・・あれから、月日は流れて・・・1998年3月、私は菊田先生の作品をとりあげました。

『ダル・レークの恋』、三十年振りの再演です。これは今や宝塚の伝説となりつつある、菊田一夫作、春日野八千代演出・主演の名作の一つです。それをこのたび、厚かましくも、リメイクしてレビュー・プレイ「’98ダル・レークの恋」を創ることにいたしました。新しい旅立ちの宝塚の目標の一つは80年の伝統を大切に宝塚レビューというものを、来るべく新しい時代に受け継いで行くというもので、レビュー・ルネサンスを課題としてきました。つまり、古きをたずねて新しきを知る・・・。そこで、この『ダル・レークの恋』もレビュー化ということを重要な課題としました。

 さて、菊田先生は宝塚に幾多の素晴らしい名作を残されました。その中でも『ダル・レークの恋』は異色で、上演された当時としては画期的な作品でした。宝塚にしては珍しく、生の人間の側面が描かれた作品でしたから・・・。男と女の求める夢と人間の愚かさ、いつの世も人間は果てしない夢と理想を求めながら、現実のその行為は愚かなものでもあります。目の前の欲に惑わされ、どんなに大切なものを失うか・・・、それは悲劇でもあり、他からみればまた喜劇でもあります。そんな人間を戒め、それを美しく宝塚ナイズした作品が『ダル・レークの恋』だと思います。つまり、人間の永遠のテーマをレビューにした作品です。だから、人の心に深く残ったのでしょう。今、私が演出するにあたり、春日野先生からいろいろお聞きしているのですが、実際、どのように演出されたのかは、当時みた人々が素敵だったと語る伝説としてしか分かりません。私は何度か本を読み、永遠の夢を求める男と女の詩(ポエム)を重要なテーマとして、演出することにしました。この作品に対する菊田先生の夢、春日野先生の理想を私なりに感じることができるので、その思いを大切に、星組・麻路さきの『’98ダル・レークの恋』を創ってゆこうと思っています。

 今新しい世紀を目前に、世界は激動の時代とも言えます。宝塚も新しい時代を迎えようとしています。そして、その第一弾の一つがこの星組公演、新生星組となっての出発です。微かな緊張と微かな不安が脳裏をよぎりますが、今こそ、この素晴らしい作品を新たに不死鳥として蘇らせることが、私たちの使命と思い、スタッフ一同、そして何より出演者たちが必死に取り組んでいます。私も先人の夢を壊さぬ様に、より美しい夢をと、日々努力しています。どうぞよろしくお願い致します。」

 酒井澄夫先生、宝塚の生ける歴史よ、大劇場デビューが待たれる若手の谷貴矢先生にどのように伝統が受け継がれ、そして新しいものが生まれていくのか。27日の月組『ダル・レークの恋』ライブ配信も見逃せないか。この頃の公演プログラムには脚本も掲載されていたのでまた振り返ろう。