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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

クリティカルシンキングの授業(1)

2007-04-14 21:38:32 | 思考法・表現法
クリシンの第1回目の授業。テンポの速さに驚いた。テキストは読んでいることが前提で、テキストとは違う課題がプリントで配られる。ダイヤモンド社のクリシンのテキストを一度も開くことはなかった。
みんな思考のレベルが高い。初めての参加ながら私も結構発言したような気がする。なにしろすでに4科目を終えている生徒であるので、マーケティングの4Pや3Cなんかの例が出ても自然とわかる強みはある。生徒は25歳から48歳まで。私は上から2番目の年齢だった。だから緊張も遠慮もないのだろう。けれどあまり他の生徒の年齢を意識しなかった。おそらくみんなMBAのようなビジネスを向上させるプログラムに興味があるという共通点のせいだろう。みんな向上心があるのだ。考えてみるとクラス授業などは10数年前にECC社会人クラスで英語の授業を受けて以来だろう。今日はクラスが楽しくてあっという間に3時間が過ぎた。けれど何をやったかあまり覚えていない。先生が強調されたように復習が大事だ。イシューを押さえて、そこからぶれない。イシューを説明する項目だてを考える。理由などは具体的に述べる。主張と根拠を簡潔明瞭に説明する。演繹的思考と帰納的思考を使う。ビジネスパーソンの質は帰納的思考での解釈の質で差がつくらしい。クリシンが大事なのは、人に理解してもらい、共感してもらい、動いてもらうため。論理的に考え、伝えることは、結局自分と他人とのベクトルを同じ方向に向かわせるためなのだ。仕事をいっしょに進める相手を論破しても何のメリットもない。不快にさせるだけだろう。しかし大学という世界にはそういう人々が多いのだが。

小野田博一『論理的に考える方法』

2007-04-14 21:12:49 | 思考法・表現法
論理学と日常の論理的というのとは違うらしい。日常の推論では帰納がやたらと多く、演繹では前提の省略が多くて、論理学的にいうといい加減なものだらけだという。小野田氏は論理学とは無縁の読者のために、どうすれば論理的と感じてもらえるのかを中心に論理学のエッセンスを織り混ぜながら説明する。日常で論理的に考えるというのは、①思考過程に飛躍をなくす、②思い込みを排する、③根拠は結論を説得力で支えるということらしい。そのためにあいまいさを避け、具体的に考え、深く詳しく考え、自分の思考に批判的に考えることが大切なのだ。著者は公衆衛生学が専門だが、チェスのチャンピオンでもある。書いている本はパズル関係が多い。けったいな経歴だ。著者のなりわいを論理的に説明するのが難しい。この本はかなり前にも読んだのだが、クリシンの授業を受けるのでチェックしていた部分だけをもう一度飛ばし読みした。やっぱりよい本だと思う。この本があれば論理学の本は不要だ。多少のいかがわしさが気になるが。

鈴木敏文の組織論

2007-04-14 07:24:37 | 人材マネジメント
日経新聞の私の履歴書にはセブン&アイホールディングス会長の鈴木敏文氏が登場している。2日前には組合と広報部門の組織について面白い記述があった。鈴木氏は東販時代に組合の書記長も経験しているが、経営側としてイトーヨーカドーの労組結成に際しては2つ注文したそうだ。ひとつは組合費を安くすること、もう一つは専従の数を抑えること。これには上部団体も怒ったそうだが、各組織で決める原則なので実現したそうだ。組合費を安くするのは組合活動を抑えるというより、組合費を高くすると、組合員が過剰な期待感をするから。専従を多くすると、善意の発露として専従が頑張って過剰に組合員の期待感を煽るからとか。いずれも組合側と会社側が認識を共有する妨げになるそうだ。広報部門の人数を増やさなかったのも同じ理由とのこと。人数が多いと情報収集や発信で余計な仕事にまで拡大しがちになる。人数が限られれば何が本質かを考えるようになるとのこと。仕事と人数規模の関係は難しい。ルーチン業務では、ある程度の人数が必要だが、政策を考えたり、創造性を発揮する仕事は結果が規模に比例するとは限らないのかもしれない。確かに少数精鋭のほうがモチベーションも成果も上がることが多いような気がする。

最新「ファイナンス」とケース分析

2007-04-08 22:29:56 | 財務・会計
ファイナンスに限らず何かの分野を理解するには、入門書を何冊か読むのがコツだと思う。共通して書いてあることがはおそらく大事なんだと見当がつく。ファイナンスで読んだ本はこれが初めてなので何が大事なのかよくわからなかった。ファイナンスの入門書なのに計算する演習がなくて割とスラスラ読める。しかし、デリバティブのところは読んでいて頭が痛くなったのでさすがに途中で飛ばした。ブラック・ショールズモデルについて、数式そのものよりそのモデルが生まれた経緯の解説が興味深かった。LBOについてはRJレイノルズ社によるナビスコ買収の実例解説が面白かった。ファイナンスは経営戦略、組織行動、人的資源管理はもちろん、アカウンティングより答えがはっきりしているようだ。その分、間違うと損失が大きい。これは実社会でも同じか。


大エルミタージュ美術館展(京都市美術館)

2007-04-07 20:22:28 | 芸術・音楽
エルミタージュ美術館のコレクションはロマノフ王朝のエカテリーナ2世が蒐集を始めたのが起源だそうだ。今回の美術展の作品にはエカテリーナ2世が目利きした18世紀の美術品はなかったし、ダビンチの作品もなかった。ルノワールの扇を持つ女とゴーギャンの果実を持つ女くらいが有名な絵画だった。印象派もそれ以前の美術にもあまり興味がないので、今回の展示品ではローランサンやピカソの初期の作品くらいしか印象に残らなかった。こういう贅を尽くしたコレクションとそれを展示する企画は今の時代にはどうなのかと思う。しかし桜の季節のせいか入館者は多かった。

ミンツバーグ『MBAが会社を滅ぼす』

2007-04-05 01:30:26 | 高等教育
これは現在のアメリカを中心とするビジネススクールへの批判の書である。批判の立脚点は、企業のマネジメントにはアート(直感)、クラフト(実務経験)、サイエンス(分析)のバランスが必要だが、ビジネススクールはサイエンスを偏重しているというミンツバーグの主張である。ビジネススクールはマネジャーの養成をする所なのに実際は計算に強く、落ち着きがなく、経営の特定分野に詳しい傲慢な専門家を育てているだけだとも言っている。
ミンツバーグはハーバードビジネススクールなどの主な教育方法であるケースメソッドについても実際の企業経営を経験したわけでもないのに経営を判断することを強要していると批判する。HPのフィオリーナのようなMBA取得者が目先の利益だけを重視した会社運営する方法も批判する。またベトナム戦争を泥沼化させたマクナマラ元国防相や政府機関で政府をビジネス化させている者などがMBA取得者であることから、MBAはビジネスにとどまらない範囲で社会に害を与えているという。
たしかにアーツ(直感)なき経営者に本当のビジョンは描けないだろうし、クラフト(実務経験)なき経営者にその業界の本質はわからない気がする。また、ビジネススクールでのケースメソッドの強引な討議方法や選抜制の高いMBAのエリート意識が傲慢さを生むというのもわかる。
後半でミンツバーグは自らが主宰しているIMPM(国際マネジメント実務修士課程)を推奨している。学位もMBAでなくMPM(マネジメント実務修士課程)と呼ぶ。MPMはMBAのアンチテーゼ的な要素で成り立っている。入学資格は現役のマネジャー。学習場所はカナダ、インド、フランス、韓国、日本など。グローバルでなくマルチカルチュラル的な国際体験と企業体験を重視する。参加者同士の実務経験年数や内容を重視し、教育内容では理論とケースのバランスを考え、マネジメントを教育の中心に置くことになる。
しかし、問題もある。学費が1000万円を越えることだ。これでは企業派遣でないと実際には参加できない。学費によって参加する層をぐっと狭めることになるだろう。修了後の離職率が低いのが自慢のようだが、逆に考えるとIMPMを修了してもエンプロイアビリティが低いとも言える。今のビジネススクールにはスクールの運営自体も問題があるだろうが、多くのビジネススクール卒業生が就職するコンサルティング会社や投資銀行などの社会的要請に対応していることも要因ではないのか。それを考えるといまのビジネススクールの仕組みがすぐには変わらないような気もする。
日本ではビジネススクールも助産師養成も一括して専門職大学院としている。教授陣のうち3分の1はその分野で5年以上の実務家でなければいけないとかの基準がある。その割に研究論文の本数とか教員審査は厳しいようだ。これらの基準の根拠はよくわからない。最近では学部なしの専門職大学院はよくないという議論が文部科学省の委員会で出ているようだ。日本らしい形式的な議論だと思う。大学が連邦や州の認可制でないアメリカでビジネススクールについて、ミンツバーグの主張のような本質的な議論がされていることはとても建設的な気がする。日本はビジネススクールの設置もその後の検討も30年以上遅れているようだ。
しかしミンツバーグは日本の企業でのマネジャー養成システムを高く評価している。これはどうしてなのだろうか。その進んだ日本がアメリカのビジネススクールを真似ようとしているという奇妙な現象をどう理解すればよいのか。

「時間ない病」の研究

2007-04-04 00:10:21 | 仕事術
今回のプレジデントの特集には冒頭に高橋俊介氏が、時間ドロボーの正体として4点上げている。(1)短期志向の事業構造、(2)学習しない上司、(3)奴隷型顧客主義、(4)優先順位志向の欠如である。残業を減らす方法として、トリンプインターナショナルのように総務部長が強制的に電気を切って回るという荒療治もあるのだろうが、労働時間のあり方はその企業の戦略や組織文化と密接なような気がする。高橋氏のいう短期志向の事業構造や奴隷型顧客主義というのが残業の多い企業の特徴なのではないだろうか。だからよほど普段ダラダラ仕事をしている人でない限り、管理職が電気を切って回っても、家に持って帰って仕事をしたり、早朝に出社して仕事をしたりする人が多いんだろうと思う。労働時間は事業構造や組織文化を変えていくかどうかでそのあり方も変わるだろう。今回の特集でなるほどと思ったのは京セラの副会長が、時間を管理するのではなく、時間当たりの採算で生産性を図るという稲盛式やりかたを紹介していることだ。その他の人々の知恵で参考になったのは、会議を減らす、15分単位で仕事をする、書式の標準化、嫌なことは月曜日の朝にすることなどだ。逆にどうかなと思ったのは、時計を見ない、創意工夫を制限する、キャノンの朝会などだ。キャノンの朝会は役員のベクトルを同じ方向にするためだそうだが、具体的なテーマのない会議が本当に役に立つのだろうか。いつもいっしょにいて役員間で反逆者を減らす効果はあるのかもしれないが。

ウィキア

2007-04-02 23:55:54 | メモ
ちょっと前の日経新聞にウィキペディアの創設者が日本でキーワード作成サイトの事業を始めるという記事があった。ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズが2004年に創業したウィキアが行う事業は、広告付のウィキペディアのようなもの。読者は無料でキーワードについてサイトを作り、事実や分析、意見などを投稿したり編集したりできる。ウィキアのメリットは何だろう。各キーワードに広告を入れるので収入が安定すること。寄付で運営するウィキペディアはサーバー維持の財政難でサイトが閉じられるという噂が出回った。ウィキアにはその心配はないだろう。それに広告出向による信頼性も増す。売れる新聞には広告が集まる理屈だ。ではデメリットは何か。商業ベースになるので百科事典のような用語に対する中立性に不安がでる。ネット社会はリナックスやウィキペディアのようなフリーメディアが人々の創造性を高めるという神話のような考え方があるが、ウィキアはこれに反するものだろう。ウィキアと同じ集合知型の商業メディアとして、はてなが紹介されていた。しかし、はてなの検索は質が低い気がする

グロービス『新版MBAクリティカル・シンキング』

2007-04-01 18:52:37 | 思考法・表現法
ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングではどちらがより包括的な概念か。この本ではロジカル・シンキングはクリティカル・シンキングを含む客観的な思考の一部だという捉え方で説明している。思考法(演繹的思考と帰納的思考)、因果関係、構造化、解く方法としてのロジックツリー、伝える方法としてのピラミッド構造など必要なことがコンパクトにわかりやすくまとめられている。例題やケースもビジネスに即したものだ。ビジネスは科学と違って100%を求めるものではなくせいぜい80%の正確さを追求するというのも道理にかなっている。
この本を書くにあたって参考にしたとしていくつかの本が紹介されいる。そのなかですでに読んでいた本でよかったのは『問題解決プロフェッショナル』『複眼的思考』『企業参謀』。途中でやめたのは『論理トレーニング』とバーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』。『論理トレーニング』は論理学の説明的すぎる。バーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』はよくビジネス書の名著として紹介されるが長すぎる気がする。授業のテキストとしてはよいのかもしれないが。
この本は旧版で買っていたのだが、誰かに貸したきりどこかに行ってしまった。新版になって、また買ったが、よい本である。この手の本はやたらと論理に詳しかったり、ディベートの応用だったり、演習のページが長すぎたりすぎるが、この本は理屈と実例のバランスもよい。

橋本保雄『ホテルオークラ橋本流クレーム対応術』

2007-04-01 18:44:19 | 広報・ジャーナリズム
ずいぶん前に買っていたものだが今回初めて読んだ。
ホテルのクレーム処理というのは奥が深い。
サービスと言っても値下げ要求には応じるわけではない。値下げ要求には、ホテルの値段設定のしくみや割引の合理性の説明をするらしい。キャンセル料を払わないという客から料金をもらうのには日本ホテル協会の協定で説明する。顧客のクレームに耳を傾けながらもホテル事業として譲れない線は守るという。悪質なクレーマーには毅然と応対する。別の証人になる者といっしょに注文を聞いたりする。悪質なクレーマーのブラックリストはホテル間で共有されているので、出入り禁止になると他のホテルも入れなくなるのだそうだ。顧客と親しくなっても個人的に食事に行ったりゴルフに行ったりすることは避け、客との一線は画する。これは一線を越えると多大な要求が出てきたり、トラブルのもとだからだそうだ。クレーム処理が業務改善だけでなく新商品開発に結びつくこともある。「時差ぼけの客にも同じサービスしかないのか」という客の声からからジェット・ラグ・プランが生まれた。これは時差ぼけの客をリラクゼーションで癒しながら、ホテルで眠る時間なども他の客と別にするというもの。クレーム処理は客の立場になって、どうしてこういう不満を言うのかということの背景まで考えることが大切。しかし、顧客主義とは顧客のわがままにふりまわされることではなく、ホテルの事業としてのサービスを向上させることなのだ。基本をしっかりもった上で、マニュアルを越えたおもてなしをするのがホテルのクレーム処理だ。