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堀義人『人生の座標軸』

2007-05-03 08:16:26 | マネジメント・ガバナンス
グロービス・グループの代表が何を考えているのかが知りたくてこの本を読んだ。起業家だが、物事に対する姿勢が傲慢でなく、誠実で前向きな人という印象だ。4人の男の子の子育ての話や、友人の外国人投資家の勧めで結婚10周年に妻にダイヤを贈って、妻が子どもたちの前で涙するエピソードなどが最初にちりばめられていると、とても悪い人には思えない。起業家といえば、夜な夜な合コンをしてお持ち帰りしたり、高級マンションでパーティーするのが相場のように思われているが、この人の楽しみはそういうところにはないようだ。趣味は水泳でマスターズ大会に出ることと大局的な見方を育てるための囲碁。日本の山の中にアジアからフルタイムの学生が来れる大学院を作るのが目下の夢らしい。住友商事からハーバードビジネススクール(HBS)に留学し、ビジネススクールが作りたくて30歳で起業する。三軒茶屋のアパートの一室でビジネス塾を始めてから12年後に麹町の新築ビルに250坪のフロアを5つ借りるまでに発展した。経済特区で開設した文部科学省認可のグロービス経営大学院も順調だ。ベンチャーキャピタル、出版、企業研修、人材バンクなどどれもある程度成功している。成功の要因は何だろうか。堀氏のビジョンを描くことに卓越したリーダーシップもあるだろう。しかし堀氏自身がこの本のなかで書いている組織論に秘訣があったように思う。勝つ組織=個の爆発×崇高なビジョン・理念・基本戦略の確立と浸透×規律の精神、という考え方だ。まず個性や個人のエネルギーを最大化する。そして崇高なビジョン・理念・基本戦略の確立と浸透に努め、それが個人の理念と共鳴していれば動機づけさえ必要なくなる。しかし組織にある程度の秩序は必要という。普通の会社が進める組織形成はこの順序の逆だと思う。一見時代錯誤に思える毎年の社員旅行や年末パーティーという行事を行うのもグロービスが個性・ビジョン・規律を重視する会社だからだろう。社員旅行は2時間のビジョンを語るミーティングだけ社員が集まる義務があるというところもグロービスらしい。堀氏はアジアや世界の起業家だけでなく韓国の大統領やヨルダンの国王に会ったり、世界に目を向けて活動して、視野がグローバルだ。これもグロービスを夢のある会社ではなく、夢を実現する会社にしている所以だろう。


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