コトラーが大学院のマーケティングの授業でテキストにつかっているのがミレニアム版らしい。日本語版にすると5cm以上の厚さになる。それを薄くしたのが基本編。コトラー自身による編集とのことだが、ミレニアム版にある豊富な事例などがばっさり削られている。日本人は薄いテキストが好みだとコトラーが言っているが、アメリカ人こそあんな厚いテキストをどうやって持ち運んでいるのだろう。2冊買ってバラバラにして持ち歩いているのだろうか。それはともかくこれらの本はマーケティングのあらゆることが書かれているテキストである。ミレニアム版は事例など読むのにはおもしろいが、厚すぎて今どのあたりを読んでいるのかがわからなくなるときがある。その点基本編はマーケティング・マネジメントのどのあたりを読んでいるのかがよくわかる。しかし、いずれの本も基礎的なことが書かれているのであって、目の前の事例は自分で考えるしかないのだと思う。
マーケティングの本はすぐに古くなる。この本は1997年に出版された旧版を2005年に改訂したものだが、改訂というよりまったく新しい編集になっている。旧版は応用編を第一部、基礎編を第二部にするという斬新な編集方針だったが、今回のテキストは基礎編が第一部でと応用編が第二部というオーソドックスな作りになっている。新版といっても2005年版なのでグーグル以降のインターネットでのマーケティングなどには触れられていない。応用編はテキストで扱うのには無理があるのかもしれない。