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●カネがない? 軍事費倍増を止めよ! 《突きつけられているのは、食料、種、肥料、飼料などを海外に過度に依存していては国民の命を守れない…現実》

2024年08月16日 00時00分59秒 | Weblog

[↑ ※「サルまで怒る 自民の腐敗」(週刊金曜日 1454号、2023年12月22日・2024年01月05月合併号)]


(2024年08月11日[日])
米不足!? ニッポンは戦争したくて仕方ないらしいが、《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね? 何が「安全保障」か、「国防」か! 鈴木宣弘さん《実質自給率は9・2%だ。おそるべき数字だ》…。また、《だが日本の方向性は、食料やエネルギー自給率向上の抜本的な論議よりも、経済制裁の強化、敵基地攻撃能力の強化など勇ましいものばかりだ。増税して43兆円に防衛費を増額して攻めていく論議が盛んだが、その前に食べるものをどうするのか?》、《輸出規制が強化されてモノが入らなくなったら、私たちはトマホークとオスプレイとコオロギをかじって何日生き延びられるのか》? さらに、《ばかたれはどっちなのか43兆円でミサイル等を爆買いする金があるのなら、なぜこれが出せないのか武器は破壊するものだが、食料は国民の命を守るものであり、そのために必要なのは農業・農村を守ることだ》。

 城山三郎さん《平和憲法こそ生き残る者の夢であり、守ることが使命だ》、《戦争待望論を唱える若い文士がいると聞いて、鳥肌の立つ思いがする。平和の有難さは失ってみないとわからない》、《日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった唯一、得られたのは、憲法九条だけだ》。また、(古賀茂明さん)《…菅原文太さんのことを思い出している。もうすぐ命日だ。菅原さんは死の直前の11月1日、沖縄で演説を行った。文字通り、命を削りながらの訴えだ。「政治の役割は二つあります一つは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせることもう一つは、これが最も大事です絶対に戦争をしないこと!」》。
 《政治の役割》を全く果たせない、果たそうとしない自公政権。<ぎろんの森>《軍事ではなく外交力を駆使する「別の道」を探るのが、政治の責任》を全く果たせない、果たそうとしない自公政権。

 《食料危機にいかに備えるか》? こんな食糧自給率で、軍事費倍増等々、やってる場合なのかね…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね? 煮ても焼いても無理だと思うが…。腹は満たされない。
 ズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党・公お維コミの直接的・間接的支持者の皆さん、いい加減に目覚めて下さい。彼や彼女らに投票したツケ、投票に行かなかったツケがこの国・ニッポンの凋落です。《戦争などできない国…「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる》《戦争に向いてない国》《柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」》。台湾有事を煽って、ニッポンに何のメリットがあるのか? ニッポンの《有事》は少子化浜田敬子さん)。なのに、軍事費倍増って、バカなのか? これは、農業や酪農にも言えること。鈴木宣弘さんの農畜産業への危機意識、なぜにカルト協会とヅボヅボな「利権」「裏金」「脱税」党や下駄の雪党、お維コミの直接的・間接的支持者の皆さんには伝わらないのか…。鈴木宣弘さん《食料と農業を守ることが安全保障》。

   『●食料と農業を守らないニッポン『乳牛をしぼればしぼるほど赤字になる。
     まったく希望が持てない』…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね?
   『●問題解決はとっても簡単だと思いますよ、軍事費倍増を止めればよいのです。
     その分の税金を子供たちのため、教育のため、市民のために使えばよいだけ
   『●《誰もが豊かに生きていける社会にたどり着くまでに…未来はそのように
      して変化を恐れずに、その時代を生きている人間が作っていくもの…》

 まずは、カルト協会とヅボヅボな「利権」「裏金」「脱税」党を政権から引きずり下ろす、《変化を恐れずに》。そこから始めなければ、数多の問題の解決は難しく、ニッポンは凋落していく一方だ。
 長周新聞の記事【「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏が下関市で講演】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383)。《下関市の社会福祉センターで7月27日、『世界で最初に飢えるのは日本~食の安全保障をどう守るか~』をテーマに東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘氏の講演会が開かれた。市民団体「高齢社会をよくする下関女性の会(ホーモイ)」が主催する市民福祉講座「地域の持続可能性に貢献する農業安心安全な地産地消を目指すために~」の第二弾としておこなわれ、下関市内や北九州市から約250人が参加した》。

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383

「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏が下関市で講演
2024年8月7日

     (『世界で最初に飢えるのは日本--食の安全保障を
      どう守るか』をテーマにした鈴木宣弘教授の講演会
      (7月27日、山口県下関市))

 下関市の社会福祉センターで7月27日、『世界で最初に飢えるのは日本~食の安全保障をどう守るか~』をテーマに東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘氏の講演会が開かれた。市民団体「高齢社会をよくする下関女性の会(ホーモイ)」が主催する市民福祉講座「地域の持続可能性に貢献する農業安心安全な地産地消を目指すために~」の第二弾としておこなわれ、下関市内や北九州市から約250人が参加した。鈴木氏の講演要旨を紹介する(文責・編集部)。


◇◇       ◇◇


     (鈴木宣弘氏)

 今日は「食料安全保障崩壊の本質」から入りたい。日本の食料自給率はなぜこれほど低いのか。一番大きい要因は米国の占領政策だ。戦後、米国の余剰農産物の最終処分場にされているのが日本だ。とくに麦や大豆やトウモロコシの関税が撤廃されて、一気に米国の農産物が押し寄せ、国内生産は壊滅した。そして御用学者が「コメを食うとバカになる」といい、日本人に米国産小麦を食べさせるために「食生活改善」がうたわれ、米国企業の利益のために日本人がみずから動くようにする洗脳政策がおこなわれた。一方、日本側も米国の要求を経済政策として利用した。経産省は自動車産業の利益のために食料、農業を差し出す「生け贄」政策で農産物の関税を撤廃した
 もう一つは財務省(大蔵省)の財政政策だ。予算の推移を見ると、1970年段階で農水省の一般会計予算は1兆円近くあった。だが50年以上たった昨年度は2・3倍の2兆円ちょっとで実質の減額だ。一方、防衛予算は農水予算の半分だったものが、今や10兆円規模で18倍にまで膨らんでいる①参照】。ちなみに再生可能エネルギー(太陽光発電)からの電力買いとりで事業者に払われている金額だけで4・2兆円。それだけで農水予算の2倍だ。
 軍事・食料・エネルギーが国家存立の三本柱というが、そのなかでも命を守るのは食料だ。その食料の予算が歪に減らされてきたのが日本の特徴だ。生産者は苦しくなり、輸入はさらに増えて自給率低下の流れが止まらない
 今の世界的な食料危機をクワトロ(4つの)ショックと呼んでいる。コロナ禍、中国の爆買い(小麦、大豆、トウモロコシ、牧草、魚粉、肉、魚などを中国が大量に買い付けて日本に入ってこない)。また異常気象が通常気象になり、日本でも世界でも不作が頻発する。間違いなく食料需給が世界的にひっ迫している。そこに紛争のリスクが高まり、ウクライナや中東で勃発した。
 こういうなかで、まず経済制裁を受けたロシアやベラルーシが「日本が敵だからモノは売らない」といいはじめた。米国がそうしてきたように、食料はまさに武器なのだ。またウクライナのような世界の穀倉が破壊されている。そのなかで一番深刻なのが食料の囲い込みだ。インドは世界で1位、2位のコメ、麦の生産・輸出国だが、自国民を守るために防衛的に輸出を止めている。そういう動きが今や30カ国に及んでいる。日本は小麦を米国、カナダ、オーストラリアから買っているが、これらの代替国に需要が集中して食料争奪戦が激化している。
 日本の農業も大変な事態になってきた。まず穀物が十分手に入らず酪農、畜産のエサの価格が2倍に上がって全国で廃業する流れが止まらない。さらに、日本は化学肥料の原料であるリン、カリウム、尿素をほぼ100%輸入に頼っている。中国の輸出抑制で入手困難になりつつあった矢先、カリウムを依存していたロシアとベラルーシも輸出を抑制した。高くて買えないどころか、原料が手に入らず製造中止となる配合肥料も出てきている。これでお手上げだ。日本の農業は、化学肥料を使った慣行農業が99・4%を占めている。肥料価格も一昨年の2倍ぐらいに上がり、日本の農業が続けられるかという大変な状況になっている。化学肥料に頼らない有機農業というのも考えていかないといけない事態になっている。
 さらに注目すべきは中国の動きだ。中国がアメリカとの関係悪化に備えて14億人の人口を1年半まかなえるほどの食糧備蓄をしている。しかし国産だけでは足りず世界中の穀物を買い占め始めた。今、世界の穀物在庫の大半が中国に集まっている。異常な事態だ。かたや日本の備蓄はコメを中心に1・5カ月分。今日本の農業はコスト高で苦しんでいるが、モノが入らなくなったときにそんな食糧備蓄で私たちは子どもたちの命を守れるのか
 実は日本の農業も、潜在生産力はある。減反によってコメは全国で700万㌧しかつくっていないが、地域の田んぼをフル活用すれば1400万㌧はできる。コメを中心に他の作物も増産して、1年分ぐらい備蓄してみなの命を守れるようにすることこそが一番の安全保障ではないか。
 これをいうと財務省が「その金はどこにあるか?」といって議論にならない。米国からまともに飛びもしないようなミサイルを買うのに43兆円を使う金があるのならどうしてみなの命を守る食料、農業、農村を守らないのかだ突きつけられているのは、食料、種、肥料、飼料などを海外に過度に依存していては国民の命を守れないという現実なのに、いまだに「米国に要求された貿易自由化をすればみんなが幸せになれる」「それが安全保障」のような議論をしている。
 現実に農業の衰退や所得低下の一方で、もうけているのは日米のグローバル企業だけだ。みんなを守るルールを破壊すれば、一部の企業だけがもうかるに決まっている。そして輸入が滞るリスクが高まるなかで、このまま放置していたら「台湾有事」などで本当に中国がシーレーンを封鎖するようになったら、みな飢え死にしてしまう。それを考えたら、目先コストが高くても地元の食料を守ることが一番の安全保障といえる


日本の実質自給率9% 種の9割は輸入

 もう一つ大変なことがある。(たね)だ。野菜の自給率は80%といっているが、その種の九割は輸入だ。それを考慮すると物流が停止すると野菜も8%しか自給率がない。種採りしようにも、ほとんどがF1種(交雑種)なので一代限りで同じものはできない。地元の在来種をしっかりと守り、循環させる仕組みを強化しないといけない食料は命の源だが、その源は種だ
 鶏卵の国産率は97%というが、エサが止まれば自給率は12%。ヒナが止まれば今でもほぼ0%だ。それも含めて日本の食料自給率を計算し直す必要がある。現在の食料自給率は38%ぐらいといっているが、肥料や種の話は入っていない。さらに化学肥料原料の調達ができなければ収量が半分になる。実質自給率はそれだけで22%だ。さらに野菜の種の9割が輸入であることを考慮すれば実質自給率は9・2%だ。おそるべき数字だ。
 野菜はともかく「コメの種は国内で調達しているのでは?」と思われるかも知れない。だが「日本の種を守るんだ、シャインマスカットの種が中国や韓国にとられてはいけない」といって大変な法律を決めてしまった。今、グローバル種子農薬企業が「種を制するものは世界を制する」といって世界中の種を自分のものにしようとしている。しかしそれに対して世界中で農家や市民が猛反発している。
 そのなかで、なんでもいうことを聞く日本に対して「まず公共の種子事業は邪魔だからやめろと要求した。そこで日本は、各自治体が公共の試験場でコメの品種をつくってみんなで安く共有するために定めていた種子法を廃止した。やめただけではない。各地域の良質な種はグローバル企業に渡さなければいけないという法律までつくった(農業競争力強化支援法8条4項)。さらに農家が自家採種することを制限した。種苗法の改定だ。そう考えると、「日本の種を守るんだ」といいながら、実態は逆に日本の大事な種をどんどんグローバル企業に渡していく流れをつくっている。本当に9・2%という自給率に近づいている。
 その流れのなかで、福岡のイチゴ「あまおう」の種の知見をよこせといってきたという事例がある。福岡県は抵抗したが、法律で決まっているという理由でとられた。そういう事例が全国で1400品種ぐらい出ており、懸念される事態が進んでいる。
 さらに追い打ちをかけるような計算を米ラトガース大学が出した。局地的な核戦争が起こっただけで、被爆による死者よりも物流が止まることによる死者、餓死者が世界で2・55億人出ること、うち世界の餓死者の3割(7200万人)が日本に集中するというものだ。「食料を自給できない人たちは奴隷である」(キューバの著作家ホセ・マルティ)、「食うものだけは自給したい個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」(高村光太郎)といわれるが、自給率38%でも低すぎるのに、実質1割を切るような状況が近づいている不測の事態において国民を守れない国は独立国といえるのだろうか
 主食のコメは、今になって足りないといって値段が上がっているが、余っているといわれて1俵(60㌔)9000円ぐらいまでに下がったときもある。でもコストは1万5000円かかるから大赤字だ。肥料も2倍になっており、農家の赤字はどんどん膨らんでいる。買いたたかれて価格転嫁が進まないし、それを支援することもない。コメづくりを続けられない人が増えてきて、今急にコメが足りないといっている。その政府の失敗をいわずして、「去年の猛暑でコメ生産が減ったからしょうがない」というのは違う。どうしてこうなったか考えないといけない。
 国内農業生産を強化し、危機に対して国民を守る体制づくりが急務のはずだ。ところがコメも牛乳も過剰だから「コメをつくるな、搾るな(牛乳捨てろ)、牛を4万頭殺せ」と「セルフ兵糧攻めのように国内生産基盤をそぎ落としたこんなことをしているのは日本だけだ。他の国はコロナ・ショックで在庫が増えたときに、国が買いとって子ども食堂やフードバンクを通じて困っている人に届けるということもやった。そうやって財政出動で国が農家を助けて歓迎された日本はそれを一切やっていない
 日本が国内在庫を援助物資に使わないのはなぜか? かつての中川昭一農水大臣が周囲の反対を押し切って脱脂粉乳の在庫を途上国の援助物資として出したが、彼はもうこの世にいない。つまり、日本が援助物資をやるとアメリカの逆鱗に触れることがわかっているから、政治行政の側は恐れ、国民の心配よりも自分の地位や保身の心配ばかりしている状況がある。アメリカの市場を奪うことになるからだ。
 今、酪農はとくに大変だ。コロナ禍で牛乳が余るから牛を1頭殺したら15万円払う、4万頭殺せといってきた。そもそも2014年にバターが足りないと大騒ぎになり、酪農家は借金してでも増産するよういわれ、みな頑張ってきた。ところが軌道に乗ってきたところにコロナ禍に見舞われ、今度は牛乳が余ってきたから搾るな、捨てろという。酪農家は借金だけ残って、廃業するどころか、北海道や熊本などで自殺者も出ている。このようなところまで追い込んでしまっている。生産者を振り回す「作れ」「作るな」をいつまでくり返すのか
 需給がひっ迫するのがわかっていながら、牛を殺したために今度は本当に牛乳が足りないといい始めた。でも子牛から牛乳を搾れるようになるまで3年以上かかる。足りなくなってから焦っても間に合うわけがない。だからバターを緊急輸入するという。それがさらに国内生産の芽を摘む。他の国のように政府が需要をつくって生産を維持するための調整をすればいいのに、しわ寄せがすべて農家にいっているのだ


手厚い米国の農家補填 食料を武器にする戦略

 米国は日本に対してあれやれこれやれと要求するが、自国の農業予算は圧巻で、非常に戦略的にやっている。米国ではコメ1俵を4000円で売ってもその差額の1万2000円は100%政府から補てんされる。食料こそ一番安い武器だという考え方に基づいている。だから徹底的に食料にお金をかけて、日本をコントロールするんだという戦略だ。
 なんと農家への補てん額が、穀物の輸出向け分だけで1兆円規模になる年もあるほど農家への所得補てんも驚くほど充実している。米国は徹底的な補助金をつけて安くして、日本の農業をつぶしてくるわけだ。つまり米国が自由にもうけられるのが「自由貿易だ」という理屈だ。自分の悪いところを棚にあげて人を叩きまくるのが米国の得意技だ
 さらに米国は、消費者支援策をしっかりやっている。農業予算の64%が消費者の食料購入支援に使われている日本はこういう政策もない
 世界のなかで日本と米国は先進国で最貧国になっている。一番貧困率が高いのはアメリカだったが、ついに日本がそれを抜いた。抜いたばかりか、国連の飢餓地図では日本はいまやアフリカなどと同じグループで、世界でもっとも栄養不足人口が多い国になった。これほど日本の国民消費者は追い込まれている。それを助ける政策が必要なのだ。
 私が農水省にいたころは、農水、財務、経産省は官邸でバチバチケンカをしながらも頑張っていた。それがいまや農水省の権限がどんどん縮小され、財務省は食料、農業予算が切りやすいからといって、とにかく一番大事な予算を集中的に減らしてきている。例えばコメを作るなというだけではなく、コメの替わりに小麦、大豆、野菜、そば、飼料米、牧草などを作る支援として支出していた交付金をカットすると決めた。もう一つ驚くのは、田んぼを潰せという。信じられるだろうか? 田んぼでコメをつくるのが、一番の命の源だ。地域コミュニティも伝統文化も守り、洪水も止めてくれるのが日本の田んぼであり、それが日本の社会だ。それをまったく考えず、「余っているのだから潰せ」「潰すならば補正予算で750億円つけますよ」という。どこに政策を向けているのか、ほんとうに大局的見地、国家観というものがあるのか問われるのが今の状況だ


農業は国民の命に直結 最初に飢えるのは東京

     (搾乳する酪農家(熊本県))

 先ほどのべたように農家の赤字は膨らんでいる。でも歯を食いしばって頑張っているが、農産物の価格は上がらない。これを地域みんなが支え合って生産が持続できるようにすることが必要だし、この状況を放置したら、本当に海外からものが入らなくなってきたときに、私たちは子どもたちの命を守れるかだ。農業問題は生産者の問題をはるかにこえて、消費者一人一人、国民の命の問題だということを今こそ考えないといけない。
 それをさらに思わされたのは昨年の猛暑による減産だ。北海道の自給率は223%、山口県は31%、東京は0・4%。私が出した『世界で最初に飢えるのは日本』という本が衝撃を与えたというが、その日本で最初に飢えるのはどこかといえば東京に決まっている。去年のように猛暑で北海道で大幅に生産が減るようなことになれば、まずはじめに食料が届かなくなるのが東京だ。だれのおかげで私たちの命がつながっているのかを考えないといけない。人口が少なくても農村部で、第一次産業で頑張っている人がいるからこそだ。
 佐賀県が「国会議員の定数を各都道府県の食料自給率に基づいて再配分すればどうなるか」ということで試算したところ、東京の国会議員の定数は1。自給率から見ればゼロだ。自給率の高い北海道は196人だ。極端な計算ではあるが、人口だけみて優劣を付けるのではなく、こういう数字の意味をわれわれは考えないといけない。生産地が疲弊すれば都市には食料が供給されないのだ。
 こういうなかで25年ぶりに農業の憲法といわれる農業基本法が改定された。だれが考えても、今この時期に農業の憲法を改定するということは、世界情勢の悪化と国内農業の疲弊を放置せず、抜本的に農業・農村を支える政策を強化して食料自給率を引き上げてみなの命を守れるようにするためだ。ところが、ふたをあけてみると新基本法には、食料自給率という言葉がなく、「基本計画」の項目で「指標の一つ」に位置付けを後退させ、食料自給率向上の抜本的な対策の強化などには言及されていない逆のことをいっている。これまで農業、農村を支えるためにいろんな政策をやってきたのだからそれで潰れる方が悪い、もうかっている経営体だけ守ればいいという基調だ。
 そして大多数の農家が潰れることを前提に、輸出、スマート農業、海外農業投資、農外資本比率を増やすことを挙げているが、それだけで食料・農業・農村を守ることができるわけがない。いざというときにどうやって食料を供給できるのか。それへの答えが、今回の農業基本法改定の目玉である有事立法だ。普段苦しんでいる農家への支援は一切やらず、有事になったら増産を命令する。花き農家にも畜産農家にもイモを強制的に増産させて、それを供出させる従わない農家は処罰する。「支援するから頑張ってくれ」ではなく、支援はしないが罰則で脅してそのときだけ作らせればなんとかなるという荒唐無稽な法律が通ってしまった。そうではなく、今頑張っている農家を支援して自給率を上げればいいだけの話だ。
 ある有名な経済学者が四国の中山間地にいって「なぜこんなところに人が住むのか。こんなところに無理して人が住んで農業をやるから、税金を使って行政もやらなければいけない。これを無駄という。早く原野に戻せ」といった。これがいかに間違っていたかはコロナショックで明らかになったはずなのに、今また農業の憲法まで変えてそのような方向性を進め、農業・農村の疲弊を放置し、結局一部の企業だけがもうかればいいという議論にしてしまっている。これでいいのか? ということが厳しく問われている。


農業悪玉論に怒り爆発 欧州で広がる農民の抗議

     (トラクターデモをおこなうオランダの農家
      (1月31日、ブラバント州))

 今世界中で農家の怒りが爆発している。欧州では、コスト高への怒りだけではなく、SDGsを悪用した環境規制強化で農業潰しが始まったことに農家は怒り、高速道路を封鎖し、中心部から食料を消して抗議している。都市部のスーパーの棚からは一斉に食品が消えた。農家は「農家なくして食料なしだNo Farmers,No Foods)」と訴え、それに共鳴した国民運動にもなっている。日本は世界でもっとも厳しい状況に置かれているのに、みんなとても我慢強い。もうちょっと怒っていい。
 この環境規制の絡みで、まともな食料生産振興を差し置いて、突如、地球温暖化の主犯は水田のメタンガスと牛のゲップだといって農業を悪者にし、コオロギや人工肉の普及が始まっている。水田は何千年も前からあったし、牛も昔からゲップしている。温暖化は工業化が原因であるのに、それを農業、酪農畜産、漁業のせいにして新しいビジネスでもうけようとしている者たちがいるのだ。
 今年1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも耳を疑う発言が飛び出した。プライベートジェットで温室効果ガスをまき散らしながら集まるこれらの人たちは、「アジアのほとんどの地域ではいまだに水田に水を張る稲作がおこなわれている水田稲作は温室効果ガス、メタンの発生源だメタンはCO2の何倍も有害だ」(バイエル社CEO)、「農業や漁業はジェノサイドならぬエコサイド(生態系や環境を破壊する重大犯罪)”とみなすべきだ」と主張した。
 この荒唐無稽な議論は「工業化した農漁業や畜産を見直して環境に優しい農漁業に立ち返るべきだ」という主張ではなく、農漁業や畜産の営み自体を否定して、その代替食料としてみずからが推進する昆虫や人工肉などを普及してもうけるためのビジネス本意の主張といわざるを得ない。


「三食イモ」でしのぐ? 食料安保の実態

 今、農業の実態は非常に厳しい。データ【 ③参照】を見ても、酪農や肉用牛の経営では、規模拡大して借金して頑張ってきた大規模層が平均2000万~3000万円の赤字だ。このまま放置すれば産業崩壊だ。稲作でも、全国平均で1年やって手元に残るのはわずか1万円時給換算では10円だ。それでもおいしいコメを作るために頑張ってくれている農家がいるのは奇跡といえる。
 だが日本の方向性は、食料やエネルギー自給率向上の抜本的な論議よりも、経済制裁の強化、敵基地攻撃能力の強化など勇ましいものばかりだ。増税して43兆円に防衛費を増額して攻めていく論議が盛んだが、その前に食べるものをどうするのか? これだけ食料をないがしろにしてきた日本が、米国に金魚の糞のようについて行った途端、中国が海上封鎖でもすれば、戦う前に飢え死にして終わるだけだ。武器をいくら備えても命を奪うだけだが、食料自給率を高めて平和外交をすることがみんなの命を守ることに繋がる
 米国から買わされる食料も在庫処分なら、兵器も在庫処分オスプレイなどは危ないから世界中が敬遠しているのに、日本が1機200億円で買い、買い増しまでして沖縄で大事故を起こし、米国も生産を2026年で中止する。それなのに佐賀空港の隣では40㌶の優良な田畑を潰してオスプレイ基地を増設している。こんなことをいくらやっても、輸出規制が強化されてモノが入らなくなったら、私たちはトマホークとオスプレイとコオロギをかじって何日生き延びられるのかということだ。
 「だからこそ食料自給率が大事なのだ」というと「自給率はゼロでもいい。自給力さえあればいい」といい始めた。自給力の中身とはサツマイモだ。有事になったら農家だけでなく、国民みんなでサツマイモを植える。校庭やゴルフ場、道路に盛り土してイモを植えて三食イモで数年しのげばなんとかなるという。まさに戦時中だこれが日本の食料安全保障だというのだから呆れるほかない。
 日本の食料自給率が低いのは輸入が多いからだ。日本は国の責任で米の77万㌧、乳製品13・7万㌧という莫大な量を「最低輸入義務」だといって輸入し続けている。だが私の調べでは、そんな約束はどこにもなく、「低関税を適応する」というだけの約束だ。だから他国で全量入れている国はない。日本は国内在庫が増えても全量輸入して国内農家を苦しめている。本当の理由は、米国から「コメは36万㌧必ず買え」と密約で命令されているからだ。
 その米国から買っているミニマムアクセス(MA)米の値段たるや、今や1俵3万~4万円近くになっている。国産米の2~3倍の値段【④参照】だ。そんな米国産米を大量に買い、入札にかけても誰も買わない。しょうがないから飼料に回すが、そこで差損を埋めるために毎年税金700億円を投入している。
 酪農については、コロナ禍の在庫過剰で北海道だけで14万㌧余るから、「(牛乳を)搾るな、捨てろ」「牛殺せ」という話になったが、国は脱脂粉乳・乳製品を13・7万㌧(生乳換算)輸入している。それへの批判が高まると、野村農水大臣(当時)は「乳牛淘汰は農家が選択したことであって国はそれを助けただけ」といい、義務でもない大量輸入については「輸入に頼る日本が輸入を止めると信頼をなくし、今後輸入できなくなると困るから」といった。これだけ現場が価格転嫁できずに歯を食いしばって頑張っているときに、他人事のように責任転嫁だけしていいのかということだ。
 「外に媚び、内を脅かす者は、天下の賊である」(吉田松陰)という言葉があるが、政治家に限らず、一定の年齢に達して、自分がリーダーであると思う人は、子どもたちを守るために自分が盾になるくらいの覚悟をもって行動すべきときに来ているのではないか。


政策で自給率増は可能 農漁業保護は当たり前

 農漁業が消滅すれば国民は食べ物を失う一大事となるが、地域経済においても一次産業のおかげでどれだけの関連産業や組織が成り立っているか考えてほしい。みんな運命共同体であり、私たちが支え合わなければ、一緒に泥船に乗って沈んでいきかねない。
 第一次産業は小さな産業だという人がいる。たしかに生産高は全国で10兆円規模だ。だが、それを基礎にして成り立っている食料関連産業の規模は110兆円になる⑤参照】。すべての経済社会は一次産業を基礎にして成り立っているといっても過言ではない。これを忘れてはいけない。
 とくに地方の中山間地域では、一次産業があることで土砂崩れや川の洪水を防ぎ、地下水をつくり、水田が暑さを和らげ、生物多様性も育まれる。その営みを基礎にして地域コミュニティが形成され、教育や文化伝承ができる。東京のように都市部が農村から分離されて肥大化すれば人間は住めなくなる。地方では、都市と農村がしっかり繋がりながら地域の循環圏を作り上げる力を強化しなければいけない。
 「日本の食生活が変わり、もう日本の農地だけでは足りないのだから自給率など上げられない」という言葉をよく聞く。誰がそうしたかといえば米国の政策だ。裏返せば、政策で自給率は変えられるということだ。
 たとえば江戸時代は鎖国政策で海外からモノは入ってこなかったが、私たちは負けずに徹底的に地域の資源を循環させ、循環農業、循環経済の社会を作り上げた。これは世界中を驚かせた。江戸時代に戻ることはできなくても、われわれの実績を思い起こさなければいけない。それをぶち壊したのは米国の占領政策と戦後政策だ
 まず著名な学者を「回し者」にして、日本人が欧米人に劣るのは主食のコメが原因であるとする「コメ食低脳論」(慶應大学医学部教授・林髞著『頭脳』)を氾濫させた。きわめつけは、子どもたちをターゲットにして学校給食でパン食と腐った脱脂粉乳を与え、米国の小麦連合会が厚生省(当時)に資金供与して「食生活改善運動」を推進し、米国の過剰な小麦を売り込む戦略のもとで「洋食推進運動」まで実施した。これほど短い期間に伝統的な食文化を一変させた民族は世界に例がない
 農水省は2006年に日本食をとり入れることによって自給率が向上するというレポートを出したが、圧力を受けて今では入手不能になった。それを助長したのが経産省主導の経済政策だ。政府の計量モデルで私たちが試算すると、RCEPやTPP11などの大きな貿易自由化交渉がまとまるたびに、自動車が約3兆円もうかり、農業が大赤字になる。これをくり返している。農業を生け贄にしてもうけてきた産業界も、その犠牲にしてきた農業・農村の再興についてもっと責任をもつべきだ。
 農業を生け贄にしやすくするために「日本の農業は過保護だ」という誤解をメディアを通じて国民に刷り込んだ。「欧米は競争によって発展した」というのも大嘘で、欧米こそ国家戦略で農業を大々的に国が下支えしている。「日本の農業は補助金漬けだ」というが、実際に調べると農業所得における補助金の割合はせいぜい3割。スイスやフランスはほぼ100%だ。命を守り、環境を守り、国土・国境を守る産業(農漁業)を国民みんなで支えることは世界の常識であり、農業は公共・公益事業だ。そう見なさない日本の常識は世界では非常識だ。
 手厚い農業政策があるフランスでは農家の平均年齢は51・4歳だが、日本はいまや68・7歳。各地で「10年後にどれだけの農業・農村が残っているか」という話をすると、「10年どころか5年でもたない」「もうやる人がいない」という地域が増えている。赤字が膨み廃業のスピードが加速しており、われわれに残された時間は非常に少ないということを認識しなければならない。

…… (長周新聞 または コチラ
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●[続き] カネがない? 軍事費倍増を止めよ! 《突きつけられているのは、食料、種、肥料、飼料などを海外に過度に依存していては国民の命を守れない…現実》

2024年08月16日 00時00分01秒 | Weblog

[↑ ※「サルまで怒る 自民の腐敗」(週刊金曜日 1454号、2023年12月22日・2024年01月05月合併号)]


(2024年08月11日[日])
… ブログ本編はコチラ

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383

「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏が下関市で講演
2024年8月7日

………


「輸入品が安い」は本当か 安さには必ずワケがある

 これまで話してきたように、日本の農業が苦しくなったのは輸入に押されてきたからだ。関税を下げて安い輸入品を受け入れ、それに消費者が飛びつくから国産が売れなくなって自給率が下がった。今では関税を引き上げて輸入を減らすことは実質的にできない。
 それでもやれることはある。食生活を変えればいい。安いものには必ず訳がある。輸入品が安いのはリスクがある成分が入っているからだ。それを食べて病気になれば治療費がかかるわけで、実はこれほど高いものはない。だからこそ地元のものを買って支える。そして自分も一緒に作るくらいのことをすれば流れを変えられる。
 自分にとって何が安全なものかを選ぶためにも正しい情報の共有が必要だ。しかし現在、それを選べないようにする流れがある。
 たとえば原材料で「遺伝子組み換えでない」という表示が昨年4月から消えた。こういう表示をして、ごく微量でも輸入大豆の混入が見つかったらその業者が摘発されることになったから業者は怖くて表示できない。日本では輸入大豆が全体の94%を占めているのだから、流通過程で微量の混入は避けられないのだ。これを要求したのも米国側だ。私が農水省にいたTPP交渉時から「日本で“遺伝子組み換えでない”の表示をされると消費者が、安全な遺伝子組み換えに不安を持つ。誤認表示だからやめろ」といわれていた。これは陰謀論ではなく陰謀そのものだ。
 また日本でも流通している除草剤「ラウンドアップ」は、主成分グリホサートの発がん性が世界的に問題になり、世界で基準が厳しくなった。世界で基準が厳しくなると日本では緩められるグリホサートの残留基準値を極端に緩和し、従来よりも小麦は6倍、そばは150倍にした。これを開発した種子農薬企業のモンサントは製薬大手のバイエルと合併しているので「これで日本人の病気が増えれば治療薬でもうかる。一度で二度おいしい新しいビジネスモデル」といったという噂もある。本当ならいい加減にしろということだ。
 日本ではグリホサート系除草剤を雑草にかけるが、米国では小麦やトウモロコシに直接散布するから次元が違う。それを世界で一番輸入して、食べているのが日本人の悲劇だ。米国では大豆、トウモロコシはグリホサートをかけても枯れないように遺伝子組み換えをしている。小麦は遺伝子組み換えにしていないが、収穫期に乾燥させるためにかけるからそれが残留しているのだ。日本のメディアが米国穀物協会の幹部にインタビューをして「なぜ小麦を遺伝子組み換えにしないのか?」と問うと「決まってるだろ。小麦は人間(米国人)の主食だ。大豆、トウモロコシは家畜のエサだ」とのべた。それを食べている日本人は家畜相当なのかということだ。
 またゲノム編集技術についても、予期せぬ遺伝子損傷が世界の学会誌に報告されているのに、「遺伝子を切りとるだけ(組み換えていない)だから」という妙な理由で審査も表示もするなと日本だけ率先して野放しにした。さすがに販売業者も心配するので、「やはり子どもからだ」ということでGABA含有量を高めたゲノム編集トマトの苗を全国の小学校に無償配布した。これを子どもを実験台にした新しいビジネスモデルであるかのように国際会議で発表している。100歩譲ってもゲノム食品を食べ続けて何が起こるのか誰もわからない。それを子ども(学校給食)から広めて、結局利益は特許を持つ米国のグローバル種子農薬企業に入るという構図になっている。
 ゲノム編集を動物に実用化したのは日本が最初であり、すでに肉厚真鯛とかが一部の寿司屋にも流通し始めたことは海外では有名な話だ。日本ではあまり知られていないが、米国の消費者団体は「世界で最初のゲノム寿司」「日本の寿司は食えない」というポスターまで作っている。
 米穀物メジャーが主導する占領政策が、今も形を変えておこなわれていると考えてもおかしくない。私たちは総力を挙げて子どもたちを守らなければいけない。ここから逆に示唆されるのは、米国の思惑から子どもたちを守り国民の未来を守る鍵は「学校給食」にあるということであり、地元の安全・安心な農産物を学校給食を通じてしっかり提供する活動を強化することが必要だということだ。こういう活動が女性陣を中心に全国で広がりつつある。
 よく例に出るのが千葉県いすみ市。市長が化学肥料や農薬を原則使わない有機米を1俵2万4000円で買いとると宣言し、農家の有機米生産を奨励。いざやってみると最初は草が生えてきてどうにもならなかったが、有機農業の技術を持った方に研修に来てもらって軌道に乗り、4年くらいで市内の学校給食がすべて有機米になった。野菜もかなり有機になっている。それに触発された京都の亀岡市の市長さんは、私の話が終わった後、「いすみ市が2万4000円なら亀岡市はその倍(4万8000円)で買いとる」と宣言し、会場から拍手喝采を受けた。
 まず一番身近な地元で給食という出口(需要)をしっかり作り、高い価格で買いとり、なによりも子どもたちの健康を守る。それはみんなを幸せにする地域循環の仕組みをつくるうえでも大きな鍵になる。いすみ市は現在、「子どもが元気になる」ということで「移住したい田舎」の首都圏1位だ。
 東京でも世田谷区(90万人)が有機給食に動き始めた。世田谷区内での田畑では全然足りないが、全国から有機米を買いとる。都市部の自治体が頑張っている生産地の農家と連携していくという地域間の循環も生まれている。国がやらなくても、これは非常に大きなうねりになる。兵庫県明石市では、財政難のときに前市長が「守るべきは命、子ども、食料だ」ということで給食無償化をはじめ子ども予算を2倍に増やした。当初は嘲笑されたが、子どもが元気になり、出生率も上がり、人口は増加。経済活性化で税収も増えて財政赤字を解消した。これは非常に大きな教訓だ。
 今、財務省はOBを含めて誰に聞いてもやるべきことは二つしかないという。増税と支出削減だ。こんなことをやれば悪くなるだけだ。経済の好循環を生むには守るべきものを守る仕組みを作り、みんなが元気になる流れを作ることだ。その意味でも給食を核にした地域循環の仕組みは大きな重要性を持つ。


協同組合の役割が重要 相互扶助の仕組強化を

 農水省もいまや「財務省経済産業部農業課」と揶揄されるような現状にある。農家の共販を実質できなくさせる畜安法改定について、農水省の当時の担当局長と課長が「それだけはやめてくれ」と官邸に直談判にいくと異動(左遷)となった。農漁業を潰すと宣言する者が次官にとり立てられ、守ろうとする者は過去のセクハラ・スキャンダルをメディアにリークされて社会的に抹殺される。官邸の意に反するものは「人事とカネとスキャンダルと恫喝」で抑えつけることが常套手段になっている
 産地と小売の取引交渉力を推定してみると、コメをはじめ飲用乳、野菜に至るまですべての農産物が小売業者に買いたたかれている。仲卸業者の話では「農産物をいくらで買うかは、まずスーパーが店頭でいくらで売るかで決まり、そこから逆算して出すので生産コストは初めから考慮されていない」という。生産者が長続きしないようなビジネスがあっていいわけがない。生産者が存続できるような価格を支え、消費者が良質なものを適正価格で買えるような相互扶助の仕組みがいかに重要かだ。
 そこで重要なのが共同体、協同組合の役割だ。個々バラバラでなく共同購入、共同販売をする。私の計算では、農協の共販の力でコメの販売額は1俵3000円上乗せできている。共同体、協同組合が踏ん張ることがいかに重要かということがわかる。
 最近「民間活力の最大限の活用」とよくいわれるが、その一方で、日本の地域を食い物にするごくわずかな企業人たちがいる。「MTNコンビ」といわれる3人は、オリックスに集結して農・林・水(水道も含む)の分野で自分たちがもうかる仕組みを作った。兵庫県養父市の農地を企業が買収できるようにするために国家戦略特区で規制撤廃させ、昨年それを全国に広げる方向性が決まった。だがその直前、同社はそこまでして手に入れた養父市での農業事業を転売した。農業を頑張るのではなく、利益を上げるために使うことが目的なのだ。
 その証拠に、「農地の番人」である農業委員会が任命制になったのをいいことに、この企業人らは旨みがある農地を持つ地域の農業委員会に自身が任命されるように物色しているといわれる。優良な農地を取得して転用申請し、それを自分で承認してもうけていくという筋書きだ
 また、国の山を企業が盗伐しても植林義務がなく、それを税金で国が尻拭い(植林)をするという森林二法も、内閣法制局は「憲法違反だ」といったが結局通ってしまった。漁業権についても、千葉県銚子沖でオリックスが洋上風力発電に着手し、そこで漁業権が邪魔になるからといって国がひっぱがし、それをオリックスに付け替えられるようにしてくれという話が浮上した。「そんなバカな」という話だが、それが可能になる漁業法の改定もおこなわれた。宮城県の水道民営化事業で上前だけピンハネする企業グループにもこのMTNの3人は入っている。
 このような「今だけ、金だけ、自分だけ」の人々とは真反対に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」で地域を守ろうとしている人たちの力で、こういうものを排除していかなければいけない。


食の安全に関わる情報は隠蔽 輸入検査ザルの日本

 日本ではメディアも食の安全にかかわる情報共有をやらない特徴がある。海外では店頭に価格差がある同じ種類の商品を並べたとき、それぞれのリスク情報も提示したうえで消費者に選択させる。日本はその情報を一切出さない。だから、私たちは自分たちで共有して広めるしかない。
 かつて米国産レモンに日本では禁止されている農薬(防カビ剤イマザリル等)が大量にかかっていることがわかって日本が海に捨てた。それが米国の逆鱗に触れて「自動車輸入を止めるぞ」と脅されため、「禁止農薬でも輸送時にかけたものは食品添加物に変える」というウルトラCの分類変更で散布を認めた。今度はパッケージに食品添加物が表示されること自体が「不当な米国差別だ」と主張して消そうとしている
 また、肉牛を太らせるために投与するエストロゲン(ホルモン剤)は、乳がん増殖との因果関係が認められ、日本では牛や豚には使えない。だが米国では使用しているので日本では輸入肉の検査はザルにしてある。EUでは米国産牛肉を禁輸しており、豪州産はホルモン・フリー(不使用)のみ認めている。ところが同じ豪州産でも輸入肉検査がザルの日本向けにはしっかり投与している。最近では米国内の消費者も発がん性への懸念からホルモン・フリーを求めるようになったため、危ないものは日本へ向かう流れになっている。
 ところが日本では、日米貿易協定で米国産牛肉の関税が半分になったら、協定発効の最初の1カ月で米国産牛肉の消費量が1・5倍に増えた。みんなが安いといって飛びついているからだ。産婦人科の学会誌でも、米国産牛肉から600倍のエストロゲンが検出されていることと、日本国内でホルモン依存性がんが年々増加していることとの関連が指摘されている。食生活を見直さなければ手遅れになるということを広めていただきたい。子どもたちを守り、日本の生産者を元気にする仕組みを作ることは「量の安全保障」だけでなく「質の安全保障」を担保するうえでも重要なのだ。
 しかも今すでに日米の農産物価格を比較すると日本産の方がはるかに安い【⑥参照】。牛肉も日本が安く、キャベツは4分の1、トマトも半分だ。「国産なんて買えない」といっている場合ではない。もっと高く買っても日本の方が安くなっている。
 今こそ身近なものに目を向けるときが来ている。「オレンジが足りない」「牛肉が品不足で高い」と騒ぐような状態になった理由を考えれば、日米牛肉・オレンジ自由化交渉で米国の要求に応えて自由化したおかげで日本では多くのミカン農家が潰れ、牛肉も自給率は3割に落ち込んだ。身近なものをないがしろにして安い輸入品に飛びついた結果、それらが入らなければ大騒ぎになる状態になったのだ。
 牛や豚の飼料に混ぜる成長促進剤「ラクトパミン」も、人間に中毒症状を起こすとしてEUだけでなく、中国もロシアも禁輸したが、米国では使用を続けている。米国の消費者が拒否したものも日本に向かう流れが強まっている。このように表示が無効化されている。遺伝子組み換え、ゲノム編集、無添加の表示もできなくさせ、「わからなくして食べさせてしまえという流れだ
 食パンのグリホサートの残留濃度を調べると、国産小麦を使用したパンからは検出されなかった。何が安全かはこれを見ても一目瞭然だ。グリホサートの動物への影響について調べるネズミを使った実験では、微量のグリホサートを直接与えた親や子どもには変化はなかったが、孫、ひ孫のネズミは異常行動を始めた。世代をこえて蓄積される神経毒性が非常に強いことがわかってきた。短絡的なことはいえないが、食生活を見直すことが必要になっている。


農村地域崩壊の危機に 農家追い出す企み

 他方で、「日本産だから安全」といえるのかという現実もある。EUの消費者たちが政府の安全基準が信用できないからと厳格な農薬基準を求め、EUへの輸出国もそれに呼応して農薬基準を厳しくしている。そこで日本の農薬基準がもっとも緩いことがわかってきた。禁止農薬も一番少ない。だからEUなどで使えない危ない農薬の在庫が日本に向けて輸出されている。
 世界では減化学肥料・農薬、有機農業が大きな流れになり、生産側では中国がEU向け有機農産物の輸出で世界1位(日本は52位)だ。このままでは日本は世界でとり残されるという焦りから出てきたのが「みどりの食料システム戦略」で、現在0・6%しかない有機農業のシェアを増やすため、国は2050年までに稲作を主体にした有機栽培面積を50倍の100万㌶にまで広げるという。私が農水省にいたころには有機農業は「奇人変人」「異端児」がやるものと見なされていたことから考えると隔世の感がある。
 しかし、これをスマート農業、デジタル農業推進の契機にしようとしている懸念がある。農家を楽にするためではない。米国のIT大手などが考えていることは、農地から農家を追い出し、無人牧場や無人農場をドローンやセンサーで管理・制御するデジタル農業であり、種から消費までのもうけを最大化するビジネスモデルの構築だ。これは農畜産業を地球温暖化の主犯にし、代替食料として人工肉、培養肉、昆虫食を拡大する方向性と繋がる。こんなことを日本で推進すれば、一部の企業にとってもうけが生まれても、食の安全性もさらにおろそかになり、自給率も下がり、なにより農業・農村地域そのものが崩壊していく


命を守る為に農業守る 「食料安保推進法」を

     (耕作放棄地を利用した野菜作り(下関市福江))

 このように考えていくと、私たちが思っている以上に今の状況は危ない。ではどうするか? 国が動かないなら私たちの力でやっていくしかない。地元で頑張っている生産者、本物がわかる消費者が「本物」でつながり、関連産業や組織、地元自治体の政治行政がそれを支える、強い農業のネットワークを確立していく必要がある。
 今、種を握って支配する巨大な力も動くなかで、みなさんの地元でとれた種を守り、生産したものをまず地元で循環させる仕組みをつくる。その鍵になるのは学校給食の公共調達だ。さらに公共施設、福祉施設の食事も地元産を使っていくようにすれば需要は広がる。産直的な流通や直売所も含めて、地域の種から作るローカル自給圏を強化し、これをベースにして支え合うことだ。
 コロナ禍と食料ひっ迫を背景に全国で家庭菜園が増え、2020年には350万人が家庭菜園を耕しているとの報道もある。消費者と生産者の垣根をなくし、消費者も耕作放棄地を使って家族ぐるみで種まき、草取り、収穫までやる。和歌山県では母親グループが立ち上がって農家の協力のもとに無農薬小麦を生産し、輸入小麦と置き換えて給食パンに使えるようにとりくんでいる。みなさんがリーダーシップを発揮して実践し、政治行政が仕組み作りをやれば、流れは変えられる。
 まずは農家を救う必要があるが、赤字が膨らむ農家に必要な支払額と、所得が減る消費者が払える額にギャップがあるのなら、それを埋めるのが政策の役割だ。農家が持続するためにはコメでは1俵3000円、牛乳では1㌔10円足りない。全国でこれを補填するために必要な予算は、コメは3500億円、酪農では750億円だ。財務省は「ばかたれ。やりたければ農水予算から土地改良事業を切るなどして捻出してからやれ」といって終わりだが、ばかたれはどっちなのか43兆円でミサイル等を爆買いする金があるのなら、なぜこれが出せないのか武器は破壊するものだが、食料は国民の命を守るものであり、そのために必要なのは農業・農村を守ることだ
 そこで私が提唱しているのが超党派の議員立法「食料安全保障推進法(仮称)」だ。不測の事態に国民に必要な食料を国内生産で供給できるようにするために、省庁の枠をこえた特別会計で数兆円規模の食料安全保障予算を組み、その大枠のなかから農家を守るための予算を支出する仕組みだ。超党派で始まっているこのとりくみについても後押ししていただきたい。
 私の試算では、現在の農水予算2兆円に3兆円ほど足し、いくつかの政策を組めば、農業を復活させて持続させることができる。農水予算はかつて実質5兆円をこえていたのだから元に戻すだけだ。それで農業・農村を守れるのなら、なぜこれをやらないのかという声をみんなで上げていただきたい。
 食料問題はますます深刻化しているが、山口県、そしてみなさんの地域の農家が頑張ってくれていることが希望の光であり、未来をつくるという確信は間違いなく高まっている。「世界一過保護」と誤解され、本当は世界で一番不利な競争に晒されているのが日本の農家だ。それでも世界10位の農業生産高を達成しているのだから、まさに「精鋭」だその底力を今こそ発揮し、消費者も含めて地域みんなで一緒に作り、食べるネットワークを強化することで、子どもたちの未来を明るいものにしていきたい
 いざというときに国民の命を守ることを国防と定義するならば、農業・農村、食料を守ることが一番の国防だ。その思いでさらに一緒に頑張ろう。正義は勝つ、こともある。


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鈴木宣弘(すずき・のぶひろ) 1958年三重県生まれ。東京大学農学部卒業。農学博士。農林水産省、九州大学教授を経て、2006年より東京大学大学院農学生命科学研究科教授(現在特任教授)。専門は農業経済学。日韓、日チリ、日モンゴル、日中韓、日コロンビアFTA産官学共同研究会委員などを歴任。『岩盤規制の大義』(農文協)、『悪夢の食卓 TPP批准・農協解体がもたらす未来』(KADOKAWA)、『亡国の漁業権開放 資源・地域・国境の崩壊』(筑波書房ブックレット・暮らしのなかの食と農)、『農業消滅』(平凡社新書)、『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社α新書)など著書多数。
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●《誰もが豊かに生きていける社会にたどり着くまでに…未来はそのようにして変化を恐れずに、その時代を生きている人間が作っていくもの…》

2024年08月15日 00時00分50秒 | Weblog

[↑ ※「サルまで怒る 自民の腐敗」(週刊金曜日 1454号、2023年12月22日・2024年01月05月合併号)]


(2024年07月22日[月])
《食料危機にいかに備えるか》? こんな食糧自給率で、軍事費倍増等々、やってる場合なのかね…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね? 煮ても焼いても無理だと思うが…。腹は満たされない。
 ズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党・公お維コミの直接的・間接的支持者の皆さん、いい加減に目覚めて下さい。彼や彼女らに投票したツケ、投票に行かなかったツケがこの国・ニッポンの凋落です。《戦争などできない国…「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる》《戦争に向いてない国》《柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」》。台湾有事を煽って、ニッポンに何のメリットがあるのか? ニッポンの《有事》は少子化浜田敬子さん)。なのに、軍事費倍増って、バカなのか? これは、農業や酪農にも言えること。鈴木宣弘さんの農畜産業への危機意識、なぜにカルト協会とヅボヅボな「利権」「裏金」「脱税」党や下駄の雪党、お維コミの直接的・間接的支持者の皆さんには伝わらないのか…。鈴木宣弘さん《食料と農業を守ることが安全保障》。

   『●食料と農業を守らないニッポン『乳牛をしぼればしぼるほど赤字になる。
     まったく希望が持てない』…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね?
   『●問題解決はとっても簡単だと思いますよ、軍事費倍増を止めればよいのです。
     その分の税金を子供たちのため、教育のため、市民のために使えばよいだけ

 長周新聞の記事【「食料危機にいかに備えるか」(株)資源・食糧問題研究所代表・柴田明夫 PARC自由学校連続講座「コモンズとしての食」より】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/31136)。《アジア太平洋資料センター(PARC)が開催するパルク自由学校の連続講座「コモンズとしての食―食べ続けるための思想と実践」が6月に始まった。コロナ禍やウクライナ危機を背景に食料危機が認識されるようになるなかで、本講座はさまざまな視点から食をめぐる社会構造を明らかにしつつ、食をコモンズにする思想と実践からその未来を探ろうとする企画だ。7月4日は、「食料危機にいかに備えるか」をテーマに(株)資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏が、穀物を中心に世界の食料事情について話した。丸紅経済研究所で穀物をはじめ市場の動向を追ってきた柴田氏は、現在の食料価格の高騰は「一時的な上昇ではない」と指摘。20年来のグローバル化の下での世界の構造的変化を踏まえ、その結果もたらされている食料危機にどう対応すべきかについて、食料・農業・農村基本法改定の問題も含めて話した》。

 まずは、カルト協会とヅボヅボな「利権」「裏金」「脱税」党を政権から引きずり下ろす、《変化を恐れずに》。そこから始めなければ、数多の問題の解決は難しく、ニッポンは凋落していく一方だ。
 長周新聞のコラム【幻想が失せた資本主義/コラム 狙撃兵】(https://www.chosyu-journal.jp/column/31188)。《物事の道程には当然にも紆余曲折があり、誰もが豊かに生きていける社会にたどり着くまでに、いったいあとどれだけの労力と年月を要するのかは未知である。イギリスやフランスの変化を見るまでもなく、過程では、支配の枠の中で飼い慣らされた既存政党の欺瞞や裏切りに直面する局面もあるのだろう。しかし、幻滅を乗り越えて、そうした壁をぶち破っていく勢力が台頭していく等々、様々な段階を経てたどり着くものであり、未来はそのようにして変化を恐れずに、その時代を生きている人間が作っていくものなのだと確信させる》。

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https://www.chosyu-journal.jp/column/31188

幻想が失せた資本主義
コラム 狙撃兵 2024年7月17日

 イギリスやフランスで、大衆運動に揺さぶられながら政権交代や新人民戦線の躍進といった現象が起こっている【本紙既報】。鎖国状態とでもいうのか、あるいは都合の悪い情報はシャットアウトなのか、日本国内に伝えられる情報としてはきわめて限定的で、商業メディアも何もなかったようにスルーしているものの、新自由主義に犯されてきた先進資本主義国では、各国の特異性もあり決して単純ではないとはいえ、既存の政治構造を震撼させるべく広範な大衆的基盤を伴った政治闘争の機運が高まっており、貧困や戦争、強烈な搾取を強いる現在の資本主義体制のもとではもはや生きていけないという叫びが木霊しているかのようである。アメリカにせよ、日本にせよ、情報が隔絶された状況のもとでも人々の置かれた境遇はまるで同じであり、1周回った資本主義への幻想なんて、今時は大方の者が持ち合わせていないのが現実だろう。みずからが生きている環境を見渡してみて、「あぁ、とっても豊かな世の中だなぁ」なんて、先進資本主義国とやらに生きている人間のいったいどれだけが思っているというのだろうか

 団塊世代の年配者曰く、戦後の相対的安定期には「資本主義の成長」に伴って豊かな未来があるかのような錯覚もあったという。しかし、数十年経ってみてどうだろうか。団塊ジュニア世代になるとロストジェネレーション世代といわれ、第二のベビーブームも起こらずに急激な少子高齢化社会へと向かった。孫たちの世代になると全国に雨後の竹の子の如く設立された「子ども食堂」に胃袋をかつがつ満たされているような世の中でもある。

 「貯蓄ゼロ世帯」なる統計も出てきて、とりわけ40代はすっからかんであるとか、現役世代は大学進学に伴う奨学金と称した学資ローン金融奴隷にされて、結婚・子育てすらままならないとか、豊かな未来を思い描くにはほど遠い現実がこれでもかと横たわっているではないか。失われた30年を経てたどり着いた現在地は強烈な搾取社会であり、資本主義が行き詰まってより凶暴に進化を遂げた新自由主義が猛威を振るう世の中だった。

 トランプバイデンなんとも知れない大統領選をくり広げているアメリカとて、あるいは欧州とて、資本主義国として先んじて歩みを進めてきた国々でこそ、この新自由主義との矛盾が激突しており、個別の経済要求の中身の違いこそあれ、「みなが生きていける世の中を求めた大衆行動が熱気を帯びている。かたや1%にも満たない富裕層とか金融資本が莫大な富を抱え込み、なんならタックスヘイブン(租税回避地)に隠匿したりして本当に品位の欠片もなにもあったものではないが、誰かにいわせると「血をしたたらせているような強欲なむき出しの資本主義のもとで1周を経て、そのほかの圧倒的多数の人間に貧困を強いるような歪んだ社会をどうにかせよ! の力が働くのは当然である。

 物事の道程には当然にも紆余曲折があり、誰もが豊かに生きていける社会にたどり着くまでに、いったいあとどれだけの労力と年月を要するのかは未知である。イギリスやフランスの変化を見るまでもなく、過程では、支配の枠の中で飼い慣らされた既存政党の欺瞞や裏切りに直面する局面もあるのだろう。しかし、幻滅を乗り越えて、そうした壁をぶち破っていく勢力が台頭していく等々、様々な段階を経てたどり着くものであり、未来はそのようにして変化を恐れずに、その時代を生きている人間が作っていくものなのだと確信させる。

武蔵坊五郎
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●消える〝魔球〟…屁のツッパリにもならないレーダー。軍事費倍増を煽る効果が抜群な〝警報〟。戦争中毒者が戦争を煽っているが…

2023年04月30日 00時00分20秒 | Weblog

[↑ 命どぅ宝沖縄を再び戦場にするな! (2022年05月15日、朝日新聞)]


(2023年04月16日[日])
(レーダーから)消える〝魔球〟…屁のツッパリにもならないレーダー。軍事費倍増を煽る効果が抜群な〝警報〟。戦争中毒者が戦争を煽っているが、《兵糧攻め》に対して、役立たずなミサイルを「喰」って生き残るつもりかね。巨費をドブガネする、艦上に積むというあのイージスアショア…。

   『●対馬丸事件…《戦争でどれだけ多くの命が海に消えたか。辺野古…
     大浦湾…多くの戦没者が眠る海を破壊して、新たな軍事基地》を建設中
    「対馬丸事件の教訓…《この悲劇は、いったん戦争に巻き込まれれば
     いかなる対象も、攻撃される対象となる危険性》。それをどう
     継承するか。なぜ継承するのか。《戦争の記憶を継承…なぜ継承
     するのか過ちを繰り返さないために過去の過ちから学ぶ》」
    《「軍は住民に必要な情報を隠す」「住民の危険より兵力を重視する
     ことが対馬丸事件の教訓に挙げられよう。仮に台湾有事となった
     場合、こうした教訓は生かされるだろうか。石垣市や宮古島市が
     国民保護法に基づいてまとめた避難計画のひな型では、
     住民避難に必要な航空機は石垣が延べ435機、宮古島が
     381機と試算している。船舶であれば、宮古島だけで
     114隻を必要とする現実離れした計画であり、有事に
     逃げ遅れた住民が巻き添えになる可能性は高い。運よく
     航空機や船舶が確保できても、対馬丸のように戦場である
     空域や海域に住民を送り込むことになりかねない。》

   『●《血を流さない政治》は一体どこに行ってしまったのか? そもそも、
     どこにどうやって《避難》できるのか? 核発電所事故時でも同様だ…
   『●柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外と
      つながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」
   『●食料と農業を守らないニッポン『乳牛をしぼればしぼるほど赤字になる。
     まったく希望が持てない』…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね?

 日刊スポーツのコラム【【政界地獄耳】国民保護にはならないJアラート】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202304140000093.html)によると、《そもそもアラートだけでは国民保護はできない。本来ならばどこに落ちるかわからぬミサイル落下を警告されても国民は回避のしようがない。逆に言えば迎撃も不可能で、沖縄に配備されるミサイルに合理的な効果は認められない。せめて各地に地下シェルターが設置されているからそこに避難せよというならまだしも、このアラートの出来では国民保護にはならないのではないか。》

 《戦争などできない国…「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる》《戦争に向いてない国》《柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」》。
 ニッポンの《有事》は少子化浜田敬子さん)。なのに、軍事費倍増って、バカなのか? これは、農業や酪農にも言えること。最近の鈴木宣弘さんの農畜産業への危機意識、なぜにズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党・公お維コミの直接的・間接的支持者の皆さんには伝わらないのか…。鈴木宣弘さん《食料と農業を守ることが安全保障》。

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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202304140000093.html

コラム
政界地獄耳
2023年4月14日8時21分
国民保護にはならないJアラート

★13日のJアラート全国瞬時警報システム)も新たな課題を残すことになった。アラートの目的は国民に危険をいち早く伝えるものだ。この警報が出たとたんに、すべてのメディアは放送を中断し、当該地域の住民に避難を促す。今回は午前7時55分、「北海道周辺に落下するものとみられる」と発表されたものの直後に訂正された。今回もアラートは国民が望んでいるような機能は果たせなかった。首相・岸田文雄は9時過ぎに「我が国領域内に落下していないことは確認している」と述べた。

★官房長官・松野博一は会見で「国民の安全を最優先する観点から発出した。判断は適切だった」としたが、自民党政調会長・萩生田光一は「またJアラートで混乱がみられた。国民の安全に関わる問題で、経緯について検証し改善すべき点は速やかに改善してほしい」と党の会合で発言。官邸と国民のアラートの役割について温度差があることが露呈している。そもそもアラートだけでは国民保護はできない。本来ならばどこに落ちるかわからぬミサイル落下を警告されても国民は回避のしようがない。逆に言えば迎撃も不可能で、沖縄に配備されるミサイルに合理的な効果は認められない。せめて各地に地下シェルターが設置されているからそこに避難せよというならまだしも、このアラートの出来では国民保護にはならないのではないか。

★この不明確で本来の役に立たないアラートの警告は国民を不安にさせる以外の効果があるだろうか。国民保護をうたうのなら、もう少し正確性を上げるべきだが、昨年10月26日の産経新聞のインタビューで防衛相・浜田靖一はシェルターについて「『(予算不足のため)計画を立てて少しずつ対応してきたが、それでは遅い』と指摘」。「『(ミサイルを)撃っても(日本には身を守る設備が整備されているので)無駄だ』と(相手に)伝える広い意味での抑止手段とも考えられる」と説明している。(K)※敬称略
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●食料と農業を守らないニッポン『乳牛をしぼればしぼるほど赤字になる。まったく希望が持てない』…《兵糧攻め》に対して、兵器でも喰うのかね?

2023年04月14日 00時00分34秒 | Weblog

[『俺たちはどう生きるか』(大竹まこと著) 《みんなが協力し、かばいあい、ヨタヨタと時間が過ぎた》(https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/special/otake/)↑]


(20230402[])
ズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党・公お維コミの直接的・間接的支持者の皆さん、いい加減に目覚めて下さい。彼や彼女らに投票したツケ、投票に行かなかったツケがこの国・ニッポンの凋落です。《戦争などできない国…「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる》《戦争に向いてない国》《柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」》。
 文化放送の記事【大竹まこと「日本の食料自給率は38%しかない」 防衛費が増えても”兵糧攻め”されれば……】(https://www.joqr.co.jp/qr/article/85730/)によると、《3月30日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)では、酪農の危機敵な現状について取り上げた》。

 ニッポンの《有事》は少子化浜田敬子さん)。なのに、軍事費倍増って、バカなのか? これは、農業や酪農にも言えること。最近の鈴木宣弘さんの農畜産業への危機意識、なぜにズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党・公お維コミの直接的・間接的支持者の皆さんには伝わらないのか…。鈴木宣弘さん《食料と農業を守ることが安全保障》。


   『●《もう、この風景は戦争だよ》《戦争を得意とする国ではない…戦争に
     向いてない国》《戦争とは血を流す政治…外交とは血を流さない政治》

 《戦争などできない国…「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる》。長周新聞の武蔵坊五郎さんの仰ること、本当に素晴らしい。ズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党議員やその直接的・間接的支持者の皆さんが、以下を理解できないことが不思議でならない……《安倍晋三からこの方、執拗に「戦争ができる国」作りに邁進してきたが、現実的には「戦争などできない国」であり、邦人の生命を脅威にさらさないためには「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる非戦の誓いを貫くことこそが、最大の防衛策なのである。それを粋がって、カモネギがたくさん武器を買い集めたからといってマッチョになったような勘違いをするというのは悲劇的である。戦争の脅威を抱えないためには、東アジアのなかで友好平和の力を強め、いかなる国であっても不断に平和外交に努めるほかないことは、火を見るよりも明らかなのである》。
 誰の声に耳を傾けたか、〝検討使〟のはずが、国葬モドキや軍事費倍増だけは異常に素早く決断。後者については、番犬様への気遣いか。《米側の言い値で兵器などを買わざるを得ない対外有償軍事援助FMS)」は現代の不平等条約》なのに、ホシュを自称する皆さんは平気なのね。増税してまで軍事費倍増…《米国の覇権を維持…。まず弾よけ、いずれは鉄砲玉の運命》(斎藤貴男さん)なニッポン、哀れ過ぎはしまいか? ホシュを自称する皆さん、それでいいの? ニッポンに「主権」は本当に在るのかね?

   『●柳沢協二氏「日本は…食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外と
      つながらなければ生きていけない。…戦争を得意とする国ではない」

 《まず弾よけ、いずれは鉄砲玉の運命》《安全保障というより、米国の覇権を維持…》(斎藤貴男さん)。《柳沢協二・国際地政学研究所理事長・自衛隊を活かす会代表…「日本は国土が狭く、食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。少子化も進み戦争を得意とする国ではない武力強化ではなく、戦争を防ぐ新たな国際ルール作りに向け、もっと外交で汗をかかなければいけない」 ほんに、それです。戦争に向いてない国なんだから、敵基地攻撃能力とかいう前に、徹底的に戦争回避の方法について議論すべき。抑止をちょっとでも超えてしまったら大変なことになるのは、誰にでもわかることだろう。まず外交努力、最後まで外交努力。》(室井佑月さん)。

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https://www.joqr.co.jp/qr/article/85730/

大竹まこと「日本の食料自給率は38%しかない」 防衛費が増えても”兵糧攻め”されれば……
番組レポ 3/30, 2023

3月30日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)では、酪農の危機敵な現状について取り上げた。


ロシアのウクライナ侵攻による飼料高騰や需要減少などにより、酪農家たちは「生産すればするほど損」という状況に追い込まれている。

中央酪農会議による調査では、離農を検討している酪農家は60%を上回ったという。

番組では『乳牛をしぼればしぼるほど赤字になるまったく希望が持てない』という、酪農家のコメントも読み上げた。


大竹まこと「輸入穀物が安くなった時期とかがあって、それでこういう輸入に頼った飼育法になったんだろうけど。食料自給率が38%……これに牛乳とかチーズ作ったりとか全部含まれてるわけだよね? えー……フランスのあたりって、食料自給率って確か120%とかだよ? 20%余分に作ってんだよ? 余った分を輸出したりなんだりしてるんでしょ」


岸田文雄首相は、防衛費の増額を打ち出している。

だが有事の際、食料関連の輸出を止めて兵糧攻めされてしまえば――


大竹「これからくる色々なことに備えるときに、”食料”ってどうなってんだって……ここもちゃんと真剣に考えてくれないかって思うよねえ。細かい事情はたくさんあるとは思うけども」


「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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●『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217)についてのつぶやき

2014年07月07日 00時00分40秒 | Weblog


自然と人間』(2014年7月号、Vol.217)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 最も注目の記事は、山口正紀さん【北陵クリニック事件飯塚事件など請求棄却 相次ぐ再審開始の流れに逆流】。

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■①『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 表紙「「TPPは日本を米国の植民地にする道だ(TPP will make Japan a colony of USA)」と訴えるデモ隊。ロイター提供」。「歴史的判決! 大飯原発運転差し止め」。それを何とか活かしたい(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/bbc4219e4b63bf26f0a3e9c4423f9060

■②『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 森達也さん【第100回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、「文民としては唯一A級戦犯で処刑された広田弘毅・・人は愚かだ。でも同じ過ちをくりかえしてはならない。でも同時に思う。人は愚かだ。だって同じ過ちをくりかえす」

■③『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 森田実さん【戦後日本の平和と民主主義の危機】、「日本は戦争してはいけない国・・従米軍国主義国家・日本・・米政府にバックアップされる安倍首相の暴走を止めることができるか?」。自公支持者の罪は重い(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/6f3c4e2885089ef30c7b89f3fe9febf5

■④『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 鈴木宣弘氏【富の独占をねらう暴走に終止符を! TPPと農業「改革」】、「なぜ奪う側がレフリー役か・・どこが官邸をコントロールしているか・・地域社会が崩壊していいのか・・約束した「国益」はほとんど差し出した・・暴走に終止符を打つとき」

■⑤『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 鴨桃代氏【労働法制の改悪はすべての労働者の働き方を変える 労働規制緩和は秋の通常国会が焦点】、「働き方を変える改悪案・・派遣労働者に何のメリットもない・・雇用のルールを崩す「限定正社員」とホワイトカラー・エグゼンプション」

■⑥『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 志葉玲氏【集団的自衛権行使 国民安保法制懇を結成 「解釈による容認は憲法のハイジャックだ」】、「二人の元法制局長官も異議・・大森雅輔氏・・阪田雅裕氏・・「自衛隊が米兵の傭兵となるシステム」・・安倍政権の情緒的な主張には騙されない」

■⑦『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 山口正紀さん【北陵クリニック事件飯塚事件など請求棄却 相次ぐ再審開始の流れに逆流】、「突然の「北陵」再審請求棄却決定・・支離滅裂な仙台地裁の棄却決定・・飯塚事件でも不可解な裁判長交代」。かなり厳しいと思われる飯塚事件(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/8492ad01cd3e46f7c0a27003b02c785c

■⑧『自然と人間』(2014年7月号、Vol.217) / 【大谷昭宏の言いたい放題/福井地裁の大飯原発運転差し止め判決 原発は人格権より劣位にある 横浜地裁の厚木基地自衛隊機飛行判断とあわせ国家の根幹に関わるテーマで画期的判断】、「三権分立の原則を地裁が示す・・「吉田調書」報道の衝撃」
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●「ブラジルW杯の表と裏」 『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号)についてのつぶやき

2014年06月24日 00時00分09秒 | Weblog


週刊金曜日』(2014年6月20日、996号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、【佐々木実の経済私考パソナを潤す「仁風林」接待 田村厚労大臣の弁明に沈黙する大メディア】。

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■①『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 「ブラジルW杯の表と裏」。小石勝朗氏【原発事故の真相解明に高まる期待 「吉田調書の開示を政府へ請求」】、「「原発事故の原因究明と対策に不可欠な文書。公有財産です」・・海渡雄一弁護士は・・こう評した」。犯人捜しなんてやっている場合か!?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/8f54483debb819b2912fe0374ce94054

■②『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 柳田真氏【多彩な行動でアピール 川内原発の再稼働阻止へ】。松下竜一さん「風船による死の灰実験!・・川内原発・・「この風船が届くところには、確実に死の灰が届きます」。風船は宮崎や熊本まで。「・・原発を撃つ風船爆弾」」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d0f61521885730597733975b4dae7b6f

■③『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【西川伸一の政治時評/集団的自衛権行使への大転換 一政権限りの憲法解釈変更を内閣法制局が認めていいのか】、「法の番人から権力の待女へ」。アベ様の暴走人事で「法の番人」も破壊し、壊憲へ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a5da5f4aa6d60a32ca0d977fac41ea64

■④『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 横田一さん【自公選挙協力にも影響は必至 集団的自衛権をめぐる公明党の決断は】、「影響が注目される7月の滋賀県知事選」。「平和を愛する党」どころか「積極的平和主義を愛する公明党」に最早一体何が期待できるでしょうか?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/567fa94c6c538566335b121febb4b7d9

■⑤『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / ぺ淵弘氏【使用済み核燃料の再処理を競う日本と韓国 韓米原子力協定を大義名分に原発再稼働を狙う安倍政権】、「供給過剰の再処理市場・・次世代原発の利権・・安全を度外視する両国の風土・・いずれ取り返しがつかない事故が起きる」

■⑥『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 二宮清純さん【伏魔殿FIFAの処方箋】、「高まる中東資本依存・・FIFA版ODAの真価・・一方では「不正の温床になっている」・・FIFAにつける薬はあるのか・不正や腐敗を防止したいのなら・・FIFAの自浄能力は、またしても示されなかった」

■⑦『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 小川匡則氏【農業従事者不在の産業競争力会議 民間議員主導で進む農業への市場原理導入】、「大規模化して競争原理を導入するという・・ローソンや楽天から選出された民間議員の声は大きく、国民から選べれた国会議員の声が小さい現実はどこかおかしい」

■⑧『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 鈴木宣弘氏【国家戦略特区を許すな! 「対等な競争条件」は名目 農業特区の真のねらいは企業の参入だ】、「「10年で農業所得倍増」などと大言壮語するアベノミクス・・1%の企業的農業跋扈の裏で99%の農民の豊かな地域社会と自然を荒廃させていく」

■⑨『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【佐々木実の経済私考ソナを潤す「仁風林」接待 田村厚労大臣の弁明に沈黙する大メディア】、「パソナ・・人材派遣業界を所管する厚生労働省の田村典久大臣が「仁風林」に招かれていたことを認めた・・むしろ問題は、田村大臣が・・」

■⑩『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【佐々木実の経済私考パソナを潤す「仁風林」接待 田村厚労大臣の弁明に沈黙する大メディア】、「パソナ・・田村大臣が・・2週間後、安倍政権が新設したばかりの産業競争力会議で、人材派遣会社への助成金について重要な提案をしていることだ・・」

■⑪『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【佐々木実の経済私考パソナを潤す「仁風林」接待 田村厚労大臣の弁明に沈黙する大メディア】、「もうひとり、この日の議論をリードした人物がいた。産業競争力会議の民間議員で・・竹中平蔵氏だ。パソナ・・代表取締役会長」。偶然ではない利権(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/3a4c1d097d705c0221c5935167bc1671

■⑫『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【佐々木実の経済私考パソナを潤す「仁風林」接待 田村厚労大臣の弁明に沈黙する大メディア】、「なぜ大手メディアは問題にしないのだろうか・・訪れた日、その場には「大手メディアの方々もいた」。そう田村大臣は暴露した・・」。呆れた!!

■⑬『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 【『DAYS JAPAN』次期編集長の丸井春さんに抱負を聞く 「尊厳」という言葉を大切にしたい】、「広河隆一氏が編集長引退を電撃表明した。その後の一般公募で次期編集長に決まったのは、32歳の若き丸井春さん」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/166146cd879a9411ca5bc308da52abf1

■⑭『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 小石勝朗氏【肉眼で判定可能な色の違いに着目 袴田事件に再審をもたらした静岡市民の「味噌漬け実験」】、「決め手はDNA鑑定だったが、もう一つ、静岡地裁が「無罪を言い渡すべき新規・明白な証拠」と認定したのが・・地道な実験を担ったのは普通の市民だった」

■⑮『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) /  青木理さん【司法を正す第9回 冤罪・袴田事件弁護団秋山賢三弁護士 警察・検察・裁判官の保身の集積による冤罪】、「大きな力が働いた!?・・熊本典道氏・・が意に反する死刑判決を書かされた・・この国の刑事司法の悪弊が凝縮」。イヌだらけ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/43f859ccdf69ce50e5288f6be383cc38

■⑯『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 矢崎泰久さん【発言2014】、「・・それくらい安倍首相を憎んでも憎み足りない・・時の内閣が好き勝手に憲法解釈をやることが可能ならば、そもそも憲法の存在理由なんて、無に等しい。・・どうして日本のメディアはそれを徹底的に論破しようとしないのか

■⑰『週刊金曜日』(2014年6月20日、996号) / 矢崎泰久さん【発言2014】、「経済大国に成長したのは、戦後69年間平和だったからである・・まもなくこの国は終わるだろう。平和を手放すことで孤立することになるからだ」。「世界一のタワケ者は安倍一味」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/bb3e7535282c7f38766edd7e3a9f5014
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●公約破りの自民党が推進するTPP、その旗を振るマスコミにも呆れる

2013年03月27日 00時00分30秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/141421http://gendai.net/articles/view/syakai/141496)。東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013031802000132.html)。そして、『田中龍作ジャーナル』の記事(http://tanakaryusaku.jp/2013/03/0006821)。

 まず、四つのつぶやき。

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AS‏@ActSludge
■CMLで知りました(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-March/022813.html …) 『「自民党 TPP 断固反対」ポスターが爆笑を呼んでいる』(http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65845030.html …)/「自民党の選挙公約のポスターだ。「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と書かれている」

AS‏@ActSludge
■どっちを信頼すれば??『「私を信頼して」 首相、地方組織にTPP理解求める』(http://www.asahi.com/politics/update/0316/TKY201303160428.html …)<==>CML『「自民党 TPP 断固反対」ポスターが爆笑を呼んでいる』/「自民党の選挙公約のポスターだ。「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない・・」」

AS‏@ActSludge
■よくこんな無批判にTPPに賛成できるものだ。アンケートの取り方もきっと恣意的で、新聞のスタンスそのもの。身の丈。自身の反映。原発以外、評価すべきところがなくなった朝日・・・ 『TPP参加表明「評価する」71% 朝日新聞世論調査』(http://www.asahi.com/politics/update/0317/TKY201303170178.html …

AS‏@ActSludge
■必読。三宅勝久(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%BB%B0%C2%F0%BE%A1%B5%D7 …)さんの記事 『米シンクタンクにみるTPPの本音 超危険「日本まるごと安売り計画」か/ニッポン丸ごと徹底的に自由化せよ ヘリテージ財団論文にみる恐るべき「TPP」の狙い』(http://ameblo.jp/loansharks/entry-11490414617.html …
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 旧与党の公約破りを批判していたのに、選挙公約のポスターに「ウソつかない。TPP断固反対。 ブレない。」と書かれている」にもかかわらず、自らそれを平気で破棄できるのだから、神経を疑う。それを批判できないどころか、TPP推進の旗振り役までマスコミが務めるのだから、これまた神経を疑う。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/141421

「TPP参加」大合唱 大新聞テレビの身勝手
2013年3月13日 掲載

ウラでは外資規制と再販制度維持ねだる
 ご都合主義は許しがたい。「交渉参加を決断する時だ」(毎日新聞)、「速やかに参加の手続きを進めて、国益を確保すべきだ」(読売新聞)……などと、TPP(環太平洋経済連携協定)参加を煽(あお)りまくる大新聞テレビのことだ。

 TPPで外資が日本市場に本格参入すればメディアだって自由競争の波にさらされる。それを覚悟の上で、それでも「国益」のために国民に参加を訴えるなら、まだ理解できるのだが、そうじゃない。例によって「オレたちだけは助けて」なのだ。

   「TPPに関する自民党外交・経済連携調査会が2月末に
    『TPP交渉参加に関する決議』を採択しました。その中に
    メディアについて、『放送事業における外資規制、新聞・雑誌・書籍の
    再販制度や宅配についてはわが国の特性を踏まえること』なんて一文が
    盛り込まれているのです。大新聞テレビが押し込んだのは明らか。
    つまり、オモテでは『TPP参加で日本経済を強くしろ』と声高に叫び、
    反対する農協などを暗に批判しながら、ウラでは狡猾な動き
    しているのです」(経済ジャーナリスト)

 大新聞の身勝手さは今に始まったことじゃない。消費増税についても、あれだけ「増税しろ」と大合唱しながら、いざ法案が成立した途端、「新聞に軽減税率を導入しろ」だ。JAもびっくりの圧力団体である。

 元共同通信社記者で、同志社大社会学部教授の浅野健一氏(新聞学)は「大新聞は世論を誤った方向に誘導し、世界を見えなくさせている」と言っていたが、ホント、その通り。TPPの不平等性や米国ルールの押し付けなどに目をつむり、我が身かわいさでTPP推進の安倍首相や財界の応援団に成り下がる――。いっそのこと外資に切り込まれて一度業界がメチャクチャになった方がいいんじゃないか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013031802000132.html

首相 「農村と皆保険守る」
2013年3月18日 朝刊

 安倍晋三首相は十七日の自民党大会で、中韓両国との関係について、中国の習近平国家主席と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名前を挙げて「三人が意思疎通していくことが地域の繁栄と平和に必要だ」と、関係改善に意欲を示した。

 先に交渉参加を表明したTPPについては「世界が開放経済にかじを取っている中、日本が取り残されてはならない。まさに国家百年の計だ」と理解を求めた上で、「強い交渉力で国益を守る。麗しい農村風景と国民皆保険制度は断固として守る」と訴えた。

 金融緩和など安倍政権が進める経済政策に関しては「日本を覆っていた雰囲気が大きく変わった。確実に景気は回復しつつある」と主張した。夏の参院選については「勝ち抜いて誇りある日本を取り戻す」と過半数確保への意欲を強調した。

 大会では「参院選で必ず勝利して、自民党を中心とした安定政権を構築する」との運動方針を了承。総裁選が上位二人の決選投票となった場合、党所属国会議員しか参加できなかったのを、各都道府県連にも一票ずつ配分を認める総裁公選規程改正を決定した。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/141496

【TPPの真実】
本当なのか安倍首相のTPP参加のメリット 聖域や国益など守れるハズなし
2013年3月16日 掲載

米隷従の自民安倍政権に米国との交渉力など全くなしと専門筋

 安倍首相が15日、TPP交渉参加を正式に表明したが、ぶったまげたのはその言い草だ。

 自民党は先の選挙で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」と明言。あたかも「TPPには慎重」の姿勢を装ってきた。6割を超える議員がTPP反対を売り物に選挙を戦い、勝ち抜いてきたのは周知の通りだ。

 ところが、安倍は「TPPがアジア太平洋の世紀の幕開けとなった。後世の歴史家はそう評価するに違いありません」「その中心に日本は存在しなければなりません」「TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます」と高らかに宣言したのである。

 もう筋金入りのTPP礼賛ではないか。会見では取ってつけたように「聖域」についても触れた。しかし、「守るべき項目をしっかりと胸に、強い交渉力を持って結果を出したい」と言っただけ。質疑応答で「(聖域の重要5品目の関税を)堅持できない場合、TPP交渉から離脱するのか」と突っ込まれると、「今ここで離脱するかどうかを申し上げるのは国益に反する」とゴマカした。

 最初から交渉参加ありき。それがものの見事に露呈した記者会見だったのである。

 東大大学院教授の鈴木宣弘氏は「民主党の公約破りをあれだけ非難してきたのに、自民党の公約破りは許されるのか有権者に対する信じがたい背信行為だ」と言ったが、本当だ。
 一事が万事で、安倍や政府が説明するTPPに関する話はことごとくデタラメだ。とにかく、米国に言われたから、TPPに参加する。国益は二の次三の次。そのために、二枚舌を弄して、国民を騙(だま)し続けてきたのが真相だ。


<国民皆保険は揺らぎ、食の安全もなし崩し>

 安倍は会見で「TPPはアジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みだ」「日本の国益だけでなく世界の繁栄をもたらすものと確信している」とも言った。

 すべてウソッパチである。TPPについては医師会は連日、意見広告を出して反対している。JAは4000人デモ行進で反対した。未来の繁栄を約束するのであれば、なぜ、かくも反対運動が起こるのか。すべてが詭弁(きべん)だからである。前出の鈴木宣弘氏が言う。

   「医師会が反対してるのはTPP参加によって、国民皆保険が
    揺らいでくるからです。米国は長年、日本の医療制度を攻撃し、
    崩そうとしてきた。国民健康保険があると、米国の保険会社は
    商売がやりにくいし、日本の薬価制度は米の製薬会社には参入障壁に
    なるからです。企業にとって邪魔なものは排除する。政府が従わなければ、
    ISD条項で訴える。これがTPPですから、当然、国民皆保険もターゲットになる。
    TPPは皆保険崩壊を加速させることになるのです。農業についても同じです。
    米国は乳製品と砂糖を例外品目にしようとしたが、オーストラリア、
    ニュージーランドの反発で、認められそうにない。聖域なき関税撤廃が
    前提なのですから、日本の農業の聖域が守られるはずがないのです。
    米国は日本の厳しい食の安全基準も問題視している。TPPに参加すれば、
    農業が大打撃を受けて、地域経済、コミュニティーが崩壊するだけでなく、
    食料自給率は低下し、食の安全基準の緩和も余儀なくされ、
    国民の健康不安も増大することになります」

 バラ色の未来なんて、とんでもない話なのだ。


<これから参加する日本に交渉の余地なし>

 安倍や政府は「各国とも聖域はある」「交渉次第だ」みたいな言い方もしているが、これも大ウソだ。

   「遅れて交渉に参加したカナダやメキシコは、すでに決まっている条件に
    ついては口出しできず、今後、決まることについても先に交渉に
    参加している国の意向が優先されることになっています。そういう念書が
    交わされたのですが、日本も同じですよ。つい最近、シンガポールで
    行われた交渉で米国の担当官は『日本は交渉する時間も権利もないんだよ』
    と言ったといいます。交渉次第で聖域が守られるというのはマヤカシです」
    (鈴木宣弘氏=前出)

 そうこうしているうちに、事前協議で米国の自動車の関税維持や日本は米国車の安全基準を受け入れること、最低輸入台数の設定、学資保険の内容変更などを求められていることがバクロされた。もちろん、安倍政権はグニャグニャだろう。

 自民党は先の選挙で、自動車など工業製品の数値目標は受け入れない、国民皆保険は守る、食の安全は守る、ISD条項には合意しない、など6項目の公約を掲げた。これらが守れないなら、直ちに交渉から脱退すべきなのに、安倍は言を左右にしてしまう。

 国民には情報を開示しないまま、国益に反する秘密交渉が進んでいる証拠だ。いや、交渉ではなく、一方的な譲歩を迫られ、ドンドン、それに応じている。それが真相に近い。こりゃ、国民生活や日本の産業は大変なことになる。米国を筆頭に他国の草刈り場になってしまう。それがTPPの現状、惨状なのである。


<すべては安倍首相の政権維持のため>

 元外交官で、あまたの国際交渉を経験してきた孫崎享氏は「TPPで日本は得るものは何もない。ひとつの例外を除いて……」と言った。

 その例外こそがTPPの本質だ。
「米国の言いなりになって、政権維持をしてもらうこと。それしかメリットはありません。つまり、安倍首相のためだけのTPPです」

 そうなのだ。それほど、この交渉は不可解、奇怪で、国民にはいいことがひとつもないのである。孫崎享氏が続ける。

   「全体会議は7月で終わります。すでに条約は出来上がっているのも同然で、
    すぐにシャンシャンでおしまいになる。日本が聖域の交渉をできる余地は
    ないのです。日米首脳会談の合意文書には『すべてが交渉で決まる』
    かのような表現が出てきますが、これは『最初から聖域なし』と約束する
    わけではないという当たり前のことを言っただけ。交渉の余地がないのは
    政府も知っているはずです。それなのに国民には何も知らせず、
    後発国には出る幕がない交渉に参加する。これは白紙委任状と同じです。
    そうまでしてなぜ、参加するのか。安倍首相のメリットしか思い当たりません」

 だとすれば、今後の交渉の結末も見えてくるというものだ。これまでもウソをつき通してきたように、今後もウソとゴマカシで国民をけむに巻く。しかし、最終的には日本市場を丸ごと米国に手渡すわけだ。亡国政権の身勝手を断じて許してはいけない。
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http://tanakaryusaku.jp/2013/03/0006821

安倍首相、TPP交渉参加表明 99%に耳傾けぬ政府とマスコミ
2013年3月15日 19:12

     建築業手伝いの男性は「TPPは自分に関わってくる。
     このまま黙り続けたら破滅する」と警鐘を鳴らした。
     =15日、永田町。写真:田中撮影=

 安倍晋三首相が先ほど、TPP交渉への参加を表明した。政府は郵政民営化のスケールをはるかにしのぐ日本売りにいよいよ乗り出す。
 前原誠司・元外相は、米国が自動車と保険で日本に譲歩を要求してきたことを国会(12日、衆院予算委)で明らかにしている。農業分野でも聖域は設定されないことを東京新聞(14日付)が報じた。TPPが不平等条約であることを他社も知っているが報道しないだけなのだ。
 交渉参加を表明する安倍首相の記者会見に先立ち、市民たちが国会前で抗議の声をあげた。(主催:STOP TPP)
 参加者は主婦、教員、医師、労働組合員、市民運動家など多くの階層に及んだ。TPPが国民生活のあらゆる分野に及ぶことを示すものだ。
 マスコミは、TPPが農業や貿易だけの問題であるかのように喧伝しているが、そうではない。日本社会を蝕んでいる雇用の不安定に拍車をかけることにもなる。労働力の輸入自由化もTPPの一分野だからだ。
 首都圏青年ユニオンの神部紅・事務局次長は危機感を強める―「若者の2人に1人は非正規労働者。彼らは失業を挟みながら生活している。その間をフォローする保障がない。にもかかわらず(さらに雇用が不安定になる)TPP導入では話にならない」。

     平日にもかかわらず、あらゆる職業の人々がTPP反対の声を
     あげに集まった。後ろの建物は参院会館。=写真:諏訪撮影=

 医師(内科医)の藤末守さんは、国民皆保険に象徴される日本の医療制度が崩壊に追い込まれることを危惧する―
 「日本は薬価制度で薬の値段を決めている。オーストラリア、韓国も同様だ。しかし米国は製薬会社の言い値で決まっている。米国はそれをずっと日本に持ち込みたかった。それを実現するのがTPP。よく効く米国の薬が欲しい場合、高額の薬代を払わなければならなくなる。そこで米国の医療保険会社が出てくる。薬代はジワジワと上がり、日本の保険制度はジワリジワリと崩れていく」。
 教職員労組の代表は「(発がん性が指摘される遺伝子組み換え食品が大手を振って入ってくるようになれば)学校給食で子どもたちの食の安全が脅かされる」と訴えた。
 江東区の主婦(30代)は悔しさを隠しきれない。「きょうは確定申告の期限だったが、それどころではないと思い駆け付けた。自民党はTPPに慎重だと思い(先の総選挙で)投票したのに裏切られた」。
 JAの反対集会だとマスコミは賑々しく伝える。だがこの集会には1台のテレビカメラも来ていなかった。彼女は「マスコミは農業団体だけが反対しているようなイメージを出している。私のような一般の主婦が反対の声をあげていることも伝えてほしい」。
 「皆保険は守る。聖域は守る」と安倍首相は言うが、米国の強欲資本主義の前では世迷言でしかない。99%の悲鳴を伝えないマスコミと悲鳴を聞く耳を持たない政府。1%だけが生き残った後、日本はどうなるのだろうか。

 《文・田中龍作 / 諏訪都》
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