ACC-J [Alpine Climbing Club of Japan]

東京の山岳会『ACC-J』のページです。

リベンジ!谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩『中央稜』

2007年09月24日 22時41分51秒 | クライミング
                   
谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩『中央稜』リベンジして来ました。
                   
今回はACCJ茨城のS木氏も参加し、N雪艦長、K村氏、荒井S&Iの合計5人
9月22日 午後 現地みなかみ道の駅にて集合する事にして目標に向かいました。

現地7時頃にまず荒井家が到着し道の駅裏にあるスーパーにて買い物中7時半頃名雪艦長が合流。
その間にK村氏から谷川岳登山指導センターのゲートがまだ開いているとの一報を受けていたので、
(この季節そろそろ閉められてしまう可能性がある)
名雪艦長御用達のあずま屋へ先に乗り込み先に宴会を開始
午後11時頃にK村氏S木氏が合流
12時前に就寝
翌3時半起床、が、この3時間ほどの間に雨が降ったらしく車も回りもかなりビショビショ!
空もあやしく全員ヤバイ感じに・・・なるが、
とにかくすぐに出合駐車場へ向かう事に。
途中の道もビショビショであったが登山指導センターで登山届けを出しゲートを過ぎた辺りから、
木陰のせいもあったかもしれないが、少しずつ乾いている感じになって来た。

出合駐車場に到着すると今回は前回と違いかなり登攀パーティーの数が多く、
出発準備を終えているパーティーも何組もいて、
それらに促されるように天気が気になりましたが、僕らもすぐに準備に取り掛かり、
その時点で雨が落ちていなかったので、意を決して出発する事に
ヘッドランプを点け一ノ倉沢出合に差し掛かると思いのほか岩が濡れておらず、
というよりまったく乾いていてコンディションを考えると、
曇っていて、暑くなく、蒸してもいず、アプローチの岩やぬかるみも前回に比べたら、
全然濡れていないと言えるくらいの状態で、
クライミングにとってはベストなコンディションでした。
あとはこのまま雨が降ってこない事を願うだけでしたが、前日の天気予報だとかなり微妙で、
いつ降って来てもおかしくはないと考えられたので、
全員の足も前回以上に回転が速まりテールリッジ取り付きまでの下降ポイントまで、あっという間に到着。

そのあとN雪艦長はちょっとすみませんよという感じで先行パーティーを除け、
さささとフィックスロープを掴みあっという間に降りて行ってしまい、
残りの僕らを唖然とさせましたが、順番にどんどん降りてくるよう指示し、
さりげなくプレッシャーを掛けスタコラサッサーとテールリッジを登って行ってしまうので、
あわててというか後で艦長がこわいのも考えぼくらも軍人のように次々下降を開始。

【ちなみに他のパーティーの方達は物凄く真面目だったのか】
【Myロープをきちんとセットして状態確認を念入りにしてから下降器をセットし、】
【セット状態を確認し、しっかり利き方向にロープを持ち直し・・・
【それからゆっっっくぅり下降し始める感じでしたので、】
【先に行かせて貰いました(一応天気も気にしたスピードでと言っておこうかな)】

テールリッジへ取り付き、見えなくなった艦長を追い全員間髪を入れずガンガン登り始める
テールリッジもまったく濡れておらず最高のコンディションで全員最初のフィックス帯を難無く越え、
ブッシュ帯に入り第一のブッシュ帯を越える辺りで休憩中の名雪艦長に追いつき、
追いついたが、休まず行きなさいのゲキが飛んできたのでそのまま前進を続ける
気が付けば先行のパーティーを何組か追い越し『中央稜』取り付きに一番乗りで到着。
出発時間は前回同様4時半を予定していたが天候不順で少しもたついてしまい、
5時近くの発進になってしまったのですが、
着いてみたら前回よりも早い時間に到着していました。

ここにてやっとひと休みを入れつつロープを出しシューズを履き替えクライミングの準備を・・・


今回はK村氏とS木氏に組んでもらい、 
僕(荒井S)がN雪、I子組みに入れてもらう事にして、
まずは僕らのパーティーからスタートで・・・

1P目(Ⅳ)40m
N雪艦長リード

テールリッジを登り切った正面すぐの取り付きから、
烏帽子沢奥壁へ向け左上方向のラインに沿うようにグイグイ登る。
         

2P目(Ⅱ)25m
N雪艦長リード

烏帽子沢奥壁側へ向け回り込み階段状のルンゼ?を登る
測ったように25mでビレイポイント!

3P目(Ⅲ、A0)25m
荒井Sリード

ここからが前回ヘンテコリンになった鬼門始まりのピッチ

予想(計画)ではスタート直後から衝立側へ烏帽子側のリッジを乗っ越す感じでトラバース

で、陵(リッジ)周辺を見回すと上方に一つハーケンを発見!やっぱりと思い、
ちょっと悪めのリッジを乗っ越しそのハーケンにランナーを取る、

そのあと見回すとランナーが余り見当たらなくちょっと急めなフェースだが、
ランナウトする気で一気に直上してみる。
しばらくすると次のハーケンを見つけ、ここが正規の『中央稜』ルートと確信し、
やったと安堵&歓喜
すぐにクリップしN雪さんに正規ルートに抜けましたと報告しグイグイ登りビレイポイントへ。
  

4P目(Ⅳ、A0)(Ⅴ-)25m
荒井Sリード

正規の核心ピッチ

やや雰囲気外傾気味のフェースを右へ左へという感じで右上して行き、
チムニー状を越える。
フェースはピトンが結構有り快適、でもここでギアを使いすぎないように!
チムニーでたらなくなったりします(やってしまいました
チムニー、僕はバック&フットで越えてみましたが、フェース登りでも、
カンテ登りでもそれぞれいろいろ楽しめる感じ
  

5P目(Ⅲ)25m
荒井Sリード

ふただび烏帽子沢奥壁方向の凹角状に入る感じにルートを取りピナクル(一本目?)基部を目指す。

6P目(Ⅲ+)40m
荒井Sリード

しっかりしたフェース(ややカンテっぽい!?)をぐんぐん登って行く。
40mのピッチなので登り過ぎないように
またやっちゃいましたクライムダウンはちょっちこわい

本来はこのあともう数ピッチ100mⅡ~Ⅲがあるのですが、
この日はこのあと2パーティーほどが後に来ていて、
最後まで登って下降するのに手間が増えたり(掛かったり)、
天候の事も考えると時間をかけると危険な状態におちいる可能性も考え
今回はここで終了にして下降する事にしました。
    

下降
登って来たルートをロープ回収をしくじらないようこまめに懸垂。
途中核心ピッチあたりで別パーティーと遭遇、
後発だった木村氏鈴木氏の話だと、
3P目あたりですでに追いつかれそうだったらしいのですが、なぜかまだこのあたりに・・・
登攀が大変そうだったので脇に避け登るのを優先してもらい、
落ち着くのを待って再び下降再開。
下降中完全に落石になる状態の岩がかなりありましたが、僕らのパーティーは一切落とさず無事終了

ちなみにこの日、中央カンテを登っているパーティーがガンガン落石を起こし、
しまいには10~15mくらいの墜落&ラクも起こしていました。
遠目では何とか無事に見えましたが、果たしてどうだったかは不明
それにペースもかなりゆっくりだったので、その方が心配でした・・・
なぜかって言うとその後予想していたが・・・

『中央稜』取り付きに戻り下山の準備をしながら小休止しようとしていると、
案の定というか・・・後からのパーティがドンガラゴゥとラクを起こし、
またまた危い目に合うところだったので、皆びくりと立ち上がりこりゃだめだと
一目散にテールリッジ中間部まで逃げる事に

テールリッジ中間部まで来てやっと小休止&エネルギー補給が出来、
この日の話を少しして、またさっさと下山に入る。

あっという間に出合まで降りきりほんとの終了
この時すごいタイミング(?)でかなり強く雨が降り始めて来
今回の自分たちが本当についていた事に全員で安堵しましたが、
残りのパーティー(特に中央カンテの)が大丈夫なのか気掛かりでしたが、
ま、みんな山やだから大丈夫だろうと思う事にして、帰路へつきました。

最後はやっぱり湯テルメにてひとっ風呂浴びてそれぞれ帰る事に・・・


PS
『中央稜』はうわさどおりすごく快適で楽しいルートだという事が確認できました

この日の画像こちら



いじょ

谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩『中央稜』

2007年09月09日 22時36分28秒 | クライミング
谷川岳2日目

昨日にひきつづき本日は衝立岩『中央稜』に行くことに。
早朝3時半起床。
前の日の『南陵』では、車の中で寝づらかったのか一睡もできずにいたN雪艦長は、
昨夜は地べたのまっ平らなとこで寝た為かグッスリ寝れたらしい。が、ひとこと・・・
「ほんとに行くの?」

その後身支度とザックに必要な物を詰め込み、一路一ノ倉沢出合近くの駐車場へ向かう。
4時頃駐車場着、トイレ、補水、最終荷物確認後、
まだ暗い4時半頃ハーネスを装着、ヘッドランプを点け出合へ向け出発

アプローチは昨日よりもドロドロぬかるみ状態がひどくなっており辛さが増すが、
空が明るく白みかけて来たくらいにテールリッジ取り付き基部に下りる下降ポイントに到着。
ここでひと息入れ、すぐ下降開始!
昨日降りているので、皆要領良く降りて行く。でもやっぱり地面はぐじゅぐじゅ!

僕がテールリッジ基部に到着するとI、K村氏はすでにフィックスロープの箇所をガンガン登って行く。
今日、殿(しんがり)はN雪艦長。
後ろを振り返ると艦長もラペルの中間点を過ぎている、やっぱり早い 

追われるように沢筋からテールリッジをK村氏達めざし歩き出す。
前方2人も早い

フィックスロープ帯をぜいぜい言いながら自分なりに急いで行くが、2人にぜんぜん追いつかない。
フィックスロープ帯を越え岩&ブッシュ帯に入りやっと2人のおしり辺りが見えてくるまで近づきつつあるとき、
ふと後ろを振り返ると、もうN雪さんがフィックス帯を抜けようとする位置で、
鬼のような形相で肉薄して来る!
「やびゃい、また、おそいぞとおこらえる・・・
の2人も気が付いているのかペースがまたまた速まる

僕も熊に追い掛けらる気分になり必死で駆け上がる

結局テールリッジを登り切り『中央稜』取り付きまで一切休まずに到着。
N雪さんも少ししたら到着。ここで小休止。

休んでいる時後から来たパーティーの人に『中央稜』についていろいろ伺う。
最近雪の影響などで『中央稜』のコンディションは余りよろしくないと聞いている・・・とか、
ちょっと気になる事を聞くが・・・、
まさかこの後地獄を味わうとはまったく考えていなかったので聞き流してしまった。

小休止後ザックからロープを出しアンザイレンし、今回は僕らペアからスタート。

1P目(Ⅳ)
リードはK村氏。
取り付きはテールリッジを登り切った正面すぐから、
見上げると左方向に烏帽子沢奥壁へ向けラインが引かれたようになっている、
ここを沿うように登って行く。
烏帽子沢奥壁へのコーナー辺りでピッチを切る。

2P目(Ⅱ)
荒井リード
ルートがコーナー曲がったところだった為最初わからず、回り上を見上げると
とてもじゃないがⅡ級のピッチとは思えなく、あせる。
冷静にコーナー裏を覗くと階段状になっていて”ここだ”とホッとする。
淡々と登って行くが、ここら辺から岩の状態が怪しくなってくる。
かなり浮石や、ぐらつき、剥がれそうな感じの岩場に・・・。

3P目(Ⅲ、A0)
K村氏リード
急な階段状気味の凹角?を直上して行く・・・烏帽子沢奥壁へ奥壁へと向かって行く。
岩場の状態がもっと怪しくなってくる、浮石だけじゃなくフレーク状の物がベロベロ剥がれそうな岩場に。
K村さんとも「ここ全然快適じゃないねぇ・・・ほんとにⅢ級??」
「もし登り切ったとしても、もう一度登りたいって思わないんじゃない?」
「ほんとにここって南陵とおんなじグレードなの?人によって体感が違うって言ってもここまで違うのってあり?」
とか話し始めるくらい何かおかしい・・・。

4P目(Ⅳ、A0)(Ⅴ-)
荒井リード
このピッチ『中央稜』の核心部
ルート図で「外傾しているところが多いフェースから上部のチムニーもしくは左のフェースを登る」と書いてある。
岩場を見上げると確かにそれっぽくなっている、
しかしとてもⅣ級とは思えない、
A0とも書かれてあるがヘタしたらアブミがいるんじゃないのぉ・・・?と思う。
とにかく突っ込んでみる。
正面上方にフィンガークラックが走っているが遠い!
それに岩場全体がビチャビチャに濡れていてほとんどフリクションが無い!
右コーナーに足がかろうじて入るくらいのクラックがあるがやはりビタビタでフリクションが悪い!
でもここに足を突っ込まない限りクラックに指も届かないし、スタートも出来ないので、
ムリヤリ右足をえぐり込ませ立ちこむ。
なんとか右手がクラックに届くがビチャビチャですべる。それに浅い!!
クラックにピトンが打ってあるがなんとか届いた位置より上にあるためなかなか届かない。
エイドで登ろうと思ってもピトンに何も掛けられなければ進みようが無い。
息を整えまず右ガストンで立ち込んでなんとか左手に持ち替え左ガストン気味で
むりくりピトンにヌンチャクを掛けすぐさまロープをクリップ。

この辺りで頭が混乱してくる、おかしいこんなグレードのわけが無い・・・
それともルートが間違っているのか?それとも濡れているから・・・?
それともそれとも・・・・・・
力不足も考えられたが、とてもそうとは思えない・・・
おかしい・・・きつすぎる、越えたいと思う半分越えられない・・・??ともよぎったが、
ここに来る前いろいろ調べたときの感じだと、
初心者の人でもかなり快適に登られているという印象を受けていた。

でも今僕がへばり付いている岩はとてもⅣ級ともⅤ級とも思えない・・・5.10b、c、d、11・・・とモヤモヤしてくる
こうしている間にも下から名雪さんの激が飛んでくる!
もう、行くしかない!と決心。高い位置にあるピトンになんとかスリングを掛け、
虫の知らせか一本だけ持って来ていたカムが偶然にもこのクラックにちょうどのサイズで、
左手ガストンでなんとか体勢を維持しつつカムを決めプロテクションをひとつ増やし、
もう力技でツルツルのフェースを攀じ登り、
フェース出口右側の割れ目状に手を突っ込む、

すべらないでくれと願っていたが、やはり運が悪い!ずるっときた!
やばいと思ってすぐ飛びつき左手も突っ込んでホールドを掴んで保持・・・と思ったが、
もう保持力が限界に近い、それにヌメッってすべる!

K村さんに「すみませんが、落ちます!よろしくです!」と言った矢先両手がズルッとはずれ
フォール
自分では大丈夫と確信のつもりでいたが、端で見ていた側は危うくグランドフォールって感じだったらしい。

くやしい、この辺で空の雲行きも怪しくなり小雨が散って来ていた。
急がないと・・・次が最後だと決め少し休んだ後さっきの方法で一気に行く、
フェースの出口さっきよりもちょっとでも奥へと思い右手を突っ込む、
勢い左手もより深く突っ込む
じりじり両手を交互に奥へ奥へともぐらせて、上体も乗り込んでゆく、
チムニーが目に入って来て、チムニーに突入!って感じで一気に越える!抜けた!

核心を抜けれたと思い、ホッとひと息ついたが、
周りを見回すと今このあとこのチムニーを抜けてもどうやって上へ前進して行くのか分からないくらい、
状態が悪い!
チムニーの中だからか・・・?と思い前進してみる。
チムニーを抜け、体を出してみても自分を置く場所が無い!
おまけに回り中前進用のプロテクションが一切見当たらないどころか、
全体がグズグズでグラグラ、今にも崩れて来そうな雰囲気・・・やばい、行きづまった!?
何度もトラバースやルートを変えてみたりと前進を試みたが、どこを触っても岩が動く!
おまけに縦フレーク状に刺さった感じの岩だらけだったので、
乗り込んだら絶対はずれるとしか思えなかった。 
絶対下のみんなにぶち当たる!

ヤバイヤバイヤバイ。

結局降りるしかない状況になったのだが、
変則的なルート取りをするしか無かった為直接取り付きに降りれない状態にはまってしまい、
ムリヤリK村さんに上がって来てもらい、
とても使われている感じじゃないビレイ点を辛うじて見つけていたので、
そこからなんとかラペルで降りる事に。

K村さんも登ってくる時かなりヒーヒーだったみたいで良く登れたねぇと言われたが、
こんな感じのところと分かっていたらたぶん登らなかったと思う・・・。

なんだかんだでロープをセットしてみたところ途中空中懸垂気味になりそうだが、
なんとかルートへ戻る事が出来そうなので、慎重に降りて行く。

下のN雪さんたちの姿を見るまで正直生きた心地がしませんでした。
辿り着いた時本気で、生き残ったぁと思いましたが、肝心なのはこれから、
完全下山するまでと思い返し、気を引き締め4人協力して下降を開始しました。

何ピッチか懸垂して『中央稜』の取り付きまで無事降り、やっとホッとする。
ここでちょっと休みつつ今回の件を考察してみたがやっぱり僕も木村さんも納得できないと意見が一致。
最後のあの状況を見たから尚更で、とても『南陵』と同程度の物とは思えない、

このままでは僕らは谷川岳では『南陵』しか登れないままじゃないのか・・・!?
と、なり、近いうちに絶対リベンジしないとと話した。


後日、自宅で調べた結果、
僕らが登って(入り込んで?)しまったルートは、
どうも『中央稜』の”左(側?)ルート”だったらしい・・・

正規では3P目、烏帽子沢奥壁へと向かうのでは無く、
衝立と奥壁のコーナーあたりのカンテ状を右側(衝立側)にトラバースして回り込み、
そこ(衝立側?)の凹角からフェースに抜けるのが正解らしく、
この辺りから歯車が狂ってしまったらしい・・・。

その件をすぐ後にあった集会で話してみたら、
諸先輩方はやはり知っていたらしく
「そんな所に入り込んじゃったの!?だめだよ!あぶねーよ!」
言われ、
「そうなんです登っちゃったんです^_^;)」と答えると、
「え?登っちゃったの?」と笑われましたが、
これも生きて帰って来れたからだなと思いつつ複雑な気持ちになってしまいました。

で、結果!

近いうち、出来れば調べ直した結果の考察も兼ねて今月中にでも行ければ、
リベンジすることを決定!
でなければ、先に進めないとK村氏にも渇を入れられる。


追伸
今回の『中央稜』は最初からおかしかったらしく、
誰ひとり写真を一枚も撮っておらず、というか取れる状況でも撮る気も起きなかった為、
めずらしく画像ゼロ!です。


以上

谷川岳 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁 南陵 谷川デビュー!

2007年09月08日 15時51分00秒 | クライミング
10月に予定していた谷川岳一ノ倉沢南陵を急遽N雪艦長にお願いし、
ひと月以上早めの9月8日に決行という事で登って来ました。

この日の山行写真は→こちら



*メンバー*
N雪隊長、荒井(I)、K村、荒井(S)の4名

前日の7日午後9時N雪邸にてN雪さんをピックアップ予定を、
時間がモッタイナイので8時半頃に迎えに行き、お孫さん2人にうしろがみひかれる思いで出発。
K村氏とは現地近くのみなかみ道の駅にて待ち合わせ。11時半頃合流。
その足ですぐ、一ノ倉沢出合近くの駐車場へ向かう。
途中、谷川岳登山指導センター登山届を提出。
駐車場到着後軽く一杯ののち就寝。

翌朝4時半に起床、準備を整え5時~半頃一ノ倉沢出合出発、今年は雪渓がほとんど無く、巻き道をアプローチ。

5時45分頃テールリッジ末端へ降りる下降点に到着。
ここは50mはあるんじゃないかと思われる急斜面、ほとんど奈落って感じ。
それに前々日までの台風の影響で泥ン泥ン。


早くも降りるのにビビる。 が、すぐ下降開始!


6時ちょいテールリッジ下部取り付き_沢筋から登攀開始。
僕はフィックスロープを頼りに登って行くがN雪艦長、K村氏は全然平気な様子で登って行く、
異常だ!
昔ここにはフィックスロープが無かったらしく、それが当たり前の時代だったのだそうだ、
かんべんしてくれ~。
と言いつつ今日の目的は『南陵だ!』とテールリッジを4人ガンガン登る!
『南陵をやっつけるんだ!』といわんばかりに。

6時50分頃テールリッジクリア(撃破)『中央稜』取り付き部到着。

正直テールリッジを越えるここまでのアプローチがいちばんの核心じゃないのかぁ~と思うくらい過酷であった。

ひと息ついたのち南陵テラスへ向け出発、烏帽子沢奥壁基部スラブ帯?のバンドを
トラバースして行く。
ここも歩き辛くちょっちこわい。ここらで僕の時計のバッテリーが無くなり時間が分からなくなる

たぶん7時ちょい過ぎに南陵テラス到着、ほかパーティーを追い越し一番乗り。
ここでやっとひと休みを入れ、周りを見渡し、一ノ倉沢のスケールにまた圧倒される。
とにかくデカイ。

しばらく休んだのちロープを出しアンザイレン、登攀準備。
今回は、N雪、荒井(I)ペア、K村、荒井(S)ペアで、N雪ペアは荒井(I)トップ、
僕らはK村氏トップでN雪ペアからクライミング開始。

1P目(Ⅳ) 右側凹角状(?)を陵にそって登りバンド状を右にトラバースしチムニーに突入。
        チムニーの中は台風の影響でかなりビシャビシャでスベリ気味、
        体がすっぽり入る感じだがチムニーの登り方をせず、
        ステミングやキョンを使いクリアした。

2P目(Ⅳ) すなおなフェースって感じ。
        はじめバンド状に沿ってやや右上し、上部で左上気味に登る。

3P目(Ⅱ) 草付き、ロープをまとめ持ち40mほど4P目取り付きまで歩く。

4P目(Ⅲ) やや急めのフェース。
        名雪艦長ペアはここを左側にトラバースしつつ6ルンゼ側へ回って行ったが、
        僕らはここを上部ハング帯に向け直上しハング下を6ルンゼ側へ回り込み
        テラスへ。

5P目(Ⅲ) 6ルンゼ側の階段状を登り、馬の背リッジ手前に出る。

6P目(Ⅳ) 馬の背リッジ。
        カンテ状からクラックをいきおいよく登るが、
        この5P、6P辺りになり浮石が目立ったので慎重さも増す。

7P目(Ⅴ) 南陵の核心部。垂直のフェース。
        ここはフリーで越えようと思っていたが、
        やはり台風のせいで全体がビッタンビッタンで、
        なんとか乾いている所を見つけようと右へ左へとトラバースしながら探ったが、
        全然無く右へ体を振る時レイバック気味に使った岩がゴゴっと動き、
        危うくK村さんめがけ落とすんじゃないかと一瞬ヒヤッとした。
        結局ルートを直登するしかなく、
        どうしようもなく最後の方でハーケンを使うことに・・・
        ちょっとくやしいキモチ。
        いつの日かフリーで越える事を誓いつつ一気に乗っこしクリア。

クライミング終了後、終了点から左側に少し登りつつトラバースし、6ルンゼ側に回り、懸垂下降で降りる。
6ルンゼ側には、かなり細かく、それにしっかりした懸垂支点が打ってあり下降しやすい感じだったが、
浮石が多く落石を起こしやすくもあったので、慎重に降りる。

数回の懸垂で4P目の取り付きテラスまで降り(ここは烏帽子沢奥壁側へ回り込むということ)
3P目の草付きを歩いて下降し、取り付き辺りでまた懸垂下降のセットをし南陵テラスまでラペル。

南陵テラスを若干烏帽子スラブ側に降りてまた懸垂の用意、烏帽子スラブの中間部辺りまでラペルし、
『中央稜』取り付き方面へN雪艦長、K村氏、荒井(I)、荒井(S)の順番で歩き始める。
ここで問題発生!
『中央カンテ』『凹状岩壁』上部で「ラーク!」のコール、途端にガラガラと落石の音!
頭上にバラバラと岩が落ちてくる。
思わずうわ~と声を上げ、全員ヒヤッとするが、何事も無く無事だったので、しばらく様子を見てまた慎重に歩き出す。

その時『衝立岩ダイレクトカンテ』に取り付いているパーティーに気付いたN雪艦長が、
「が~んば~れよ~~ぉ!!」と大きく声を掛けた瞬間!また叫ぶようにの”ラーク!”コール!!!

と同時に今度はドガンドガン!ボゴン!!と落石の音!と人の頭くらいの物体のシルエットがいくつも過ぎ、

Iが「キャー!」と悲鳴をあげたので、当たった!!と思い
「大丈夫かぁ!」とすぐに声を掛けて近づくと、
頭を抱えて動かなかったので一瞬あせる。

すぐごそっと動き「大丈夫」と立ち上がって来たのでホッとする。

つづいてK村さんも「大丈夫」と近づいて来たので良かったと思おうとしたが、

一人だけコーナーを曲がっていたN雪さんが居ない!

3人一瞬にして凍りつき、3人同時に「N雪さんっ!!!」と叫ぶ!

全然出て来ない!

死んだ!?!?と思いまた呼びかける!

そしたら、「いや~ぁ」と言いながらのんきに出て来てまた衝立の方を見上げながら、
「が~んば~れよ~~ぉ!!」と声掛け始めるので、
「大丈夫だったんですかぁ?・・・」と聞くと、

「当たった」とぼそっと言いニコリとするので、
「ヘッ!?!?」となる。

「当たったんですか?」と聞き返すと、
頭くらいのがここに当たったと腰の辺りのザック部分を指して、
「ザックで良かったよ~」、「当たんなくて良かったよ~」とヒョーヒョーと言うので見てみると、

ザックにバックリと岩が当たった跡が付いていて、
あと数センチずれてたら身体に直撃の位置・・・

              
あたってんじゃんっ!!

その後ここに居続けては危険だと、すぐに移動、
『中央稜』取り付きもダッシュで通り過ぎ、テールリッジも降り始める。
すごい勢いでとにかく降りる。
ブッシュ帯を抜け中間部辺りのスラブ帯に来た辺りで、
クライミングシューズからアプローチシューズに履き替えるのをきっかけに
やっとこさ休憩&食事(行動食)&水分補給
ここに来てやっと、ホッとひと息入れられた。

落ち着いたあとまた下降開始、一気にテールリッジを降り、
沢口から一気に懸垂ポイントを登り切り、
巻き道を出合まで一気に降り『南陵』登攀終了。

出合で興味本位の観光客に名雪さんがとっつかまりネホリハホリ聞きまくられる。
その後、湯テルメにてひとっ風呂浴び、みなかみ道の駅隣のスーパーで夜食と酒を買い、駐車場にて大宴会。



本日終了。