マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける
2/6(木) 14:15配信
ニュースウイーク
ニューヨークの地下鉄の駅で、男がマスク姿の女性に暴行を加える事件が発生した。ニューヨーク市警(NYPD)は、新型コロナウイルスに関連したヘイトクライム(憎悪犯罪)の可能性があるとして、女性に被害を届け出るよう呼びかけている。
【動画】激しい暴行に遭う女性
NYPDは、事件の様子を捉えた動画をソーシャルメディアで共有。マンハッタンのグランドストリート駅のなかを走る女性の前に突然男が立ちはだかり、手や脚や傘で殴る蹴るの暴行をするのが映っている。「俺に触るな」と、怒鳴る声も入っていた。
この動画を最初にフェイスブックに投稿したのは、ジン(匿名)という女性。それがオンラインメディアの「ネクストシャーク」が取り上げられて一気に拡散した。男はアジア系のこの女性がマスクをつけているのに気づくと、女性を「病気持ちのクソ女」と呼んだという。
新型コロナウイルスの感染予防のためにマスクをつけている人々を差別するものと思われる。同ウイルスは2019年12月に中国・湖北省の武漢で最初に感染が確認されて以降、世界各地に広まっており、これまでに2万8000人以上が感染し、500人以上が死亡している。
<マスク姿は「狙われる」>
ジンは、現在は削除されたフェイスブックへの投稿の中で、「女性が黙っていると、男は女性に顔を近づけて彼女を脅そうとした」と書いている。「そして女性が『あっちに行って』と言うと、男は彼女の頭をものすごく強く殴って去っていった。私はこの時点から、男の顔を映そうと録画を始めた」
「女性が傘で殴られているのに、私が男を止めるまで誰も何もしなかった。男はその後すぐに走って駅を出ていった。今ニューヨークでマスクをつけていると狙われるのだと思う。みんなも気をつけて欲しいし、ほかの人のために立ち上がって欲しい」
ニューヨーク在住のアジア系男性トニー・ホーも、暴行の様子を捉えた動画をツイッターに投稿した。
「多くのアジア人はコロナウイルスの感染が流行するずっと前からマスクをつけているのに」と、彼はツイートした。「危機が起こったとたん、マスクを脅威と感じるようになった」
ヒジャブをかぶったイスラム女性が各国で恐怖の対象になったように、今やマスク姿のアジア人が怖い、というわけだろうか。
さらに彼はこう続ける。「アジア人が事件に巻き込まれても、その情報は広まらない。みんなアジア人は従順で気が弱いと思っていて、アジア人に『何かが起こるなんてありえない』と思っている。だから実際にその『何か』が起こっても、うやむやにされて闇に葬り去られる。こういう動画だって、本物かどうかをまず疑問視される」
この動画を見たニューヨーク市警のヘイトクライム特別対策班は、暴行はヘイトクライムにあたる可能性があると指摘。「警察が本格的な捜査に着手できるよう、被害を届け出て欲しい」とツイッターで呼びかけた。
(翻訳:森美歩)
イワン・パーマー
最終更新:2/6(木) 20:06
ニューズウィーク日本版