大林 宣彦(おおばやし のぶひこ)という方をご存じだろうか。
日本を代表する映画監督である。
たくさんの作品があるのだが、特に尾道三部作と呼ばれる作品が有名だ。
私も大好きで三作ともDVDを持っている。
ちなみにに尾道三部作とは尾道(監督の故郷)を舞台にした、
「転校生」(尾美としのり、小林聡美)
「時をかける少女」(尾美としのり、原田知世)
「さびしんぼう」(尾美としのり、富田靖子)
のことである。
この三作品は傑作の呼び声が高く、コアなマニアが存在するほどだ。
これ4,800円したんだよ。今なら特典DVDが付く値段だよね。
で、ネットで転校生のことについて調べているうちに、
違う映画がヒットすることに気がついた。
なんと、リメイクされていたのかよ。
しかも監督は同じだ。セルフリメイクってやつだね。
なんかイヤな予感。
リメイクってハズレが多いんだよ。
オリジナルの転校生のストーリーはネタバレを恐れずに書くと、
幼なじみの一夫と一美がひょんなことから体が入れ替わってしまい、
やたら喧嘩の強い女と、急に女々しくなってしまった男のドタバタ青春ストーリーだ。
体が入れ替わることで、お互いの気持ちが理解できるようになり、
元に戻ったあとでも、しばらく一緒にいた相手の体にたいして、
「さよなら、わたし」と言う。
なんとも泣ける映画なのだ。
大林ワールドと呼ばれる独特の手法もいい。
映画の初めに額縁が出てくるのだ。
「これからは別の世界の話しですよ」
昔話の「むかしむかし・・・」と同じだ。
現実と虚構の境目をなくそう、と考えている映画が多いなか、
はっきり「これは不思議なお話です」と断言しているのだ。
見ている私としてもこの方が映画に入り込みやすい。
また、尾美としのり演じる冴えない高校生が、いいんだ。
昔の俺みたい。
高校生なんて、モテるヤツは顔がいいか、頭がいいか、運動神経がいいか、
に決まっている。
世の中のほとんどの男はこれのどれにも属さないんだよ。
と、言うわけで早速TSUTAYAへダッシュ。
リメイクとやらを見てみましたよ。
主演の女優さんは・・・失礼ながら存じ上げませんね。
出だしは同じだね。額縁が出てきた。
時代設定を意識しすぎてか、主人公の男の子は携帯をいじってるし、
母親はシングルマザーという設定だ。
うーん、違うんだよなぁ。
いい映画を作れば、若者だって「ちょっと古いんじゃね?」とか言わないはず。
森繁久弥の映画なんて、撮影時代も古いし、差別用語もバンバン登場する。
しかし、おもしろいものは今見てもおもしろいのだ。
それは、それ、なのだ。
人間の本質なんて、そんなに変わらないのだ。
そういう事にリソースを割かないでほしいね。
前半のストーリーは同じだ、場所が尾道から長野に移っただけ。
しかし映画全般を通して、なぜ長野でなければならなかったのか疑問。
主人公の一美が蕎麦屋の娘という・・・お約束の展開。
長野にだってサラリーマンはいるだろ(笑)。
先生が石田ひかりかぁ。
端役なのに贅沢なキャスティング。
前半のクライマックス、男女が入れ替わる場所が池かよ・・・
オリジナルは神社だったので、何かこれから神秘的なことがおこりそうな感じで
ワクワクしたんだけどな。
やっぱりこういうお約束的なことは、神社仏閣、教会あたりでしょうよ。
しかし問題は後半。
まったく別物、と言っても良いくらい違う。
主人公を殺すんじゃないよ。
男女のほろ苦い青春の1ページ、というオリジナルの設定が、
生と死を考えるという重いテーマになったじゃないか。
これはそんな映画じゃないぞ。
映画を見終わったときに暗く重い感じにさせないでほしいね。
このリメイクは・・・・良くないね。
ぜったい、オリジナルを見て欲しい。
あっ、そうそう、これから映画の鑑賞レポを始めようとか、
そういう考えはまったくないので、ご安心を。
おまけ
さすがATOK、芸能人の人名変換も一発OKだね。
Canonが1億2,000万画素のカメラの試作機発表だってさ。
しかもフルサイズよりひとまわり小さいAPS-Hのイメージセンサーだ。
まぁ、今の半導体技術をもってすれば可能なんだろうね。
5,000万画素の中型カメラで80万円くらいだから、発売になれば
数百万円くらいになるだろうね。
あまりにも自分からかけ離れ過ぎていると、興味すらわかないね。