あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

ボストン美術館展 ・森アーツセンターギャラリー

2010-06-09 12:35:13 | 海外美術
この時期、都内で印象派の絵が何枚展示されていることだろう?
そういう年のようだ。

せっかくなので、ボストン美術館展に足を伸ばしてきた。

久しぶりの森アーツセンターギャラリー。
日曜日とあって、さすがの人出。
タワーの天辺に向かうエレベーター待ちの人もおとなしく
黄色の線で作られた枠に入って待つ。
そういえばここは耐震が問題だったことがあったんじゃ?
エレベーターも止まってしまったり?
とかいう過去の事例を思い出す。

しかし、高速上昇のエレベーターから降り、
いざ会場内に入るとそんなことは即忘れ、
いや~西洋画はやっぱり肖像画でしょう。とため息を付いた。

会場内は時代ごとではなく、テーマごとに展示されて、
肖像画もジョバンニ・バッティスタ・モローニの
男と少年の肖像1545年頃から
1910年のピカソの女性像と幅広く、
19点と比重が一番大きい。
ティントレット、
ベラスケス、
レンブラント、
ヴァン・ダイク、
彼らの重厚感盛々の威厳あふれる絵に
大満足した。
あの質感と、表情と、威厳、品格、存在感!
素晴らしい傑作の揃い踏み。

後は
宗教画の運命 10点。
グレコの「祈る聖ドミニクス」は遠くからもグレコの絵で、
暗澹たる思いで祈るしかない画面に引きつけられる。
ムリーリョの「笞打ち後のキリスト」
キリストの血だらけの背中を見つめる天使二人は
彼の慰めになるのだろうか?
最近宗教画が気になって仕方がない。

オランダの室内 4点。
室内に入り込む光を得た、オランダの細密な絵。
フェルメールの香り。

描かれた日常生活 12点。
宗教画から離れて、日常の平民達を描くようになった画題。
コロー、マネ、ミレー、ドガ、モネ、ルノワール。
確かに誰もが仕事をして、生活して生きている生々しさ。

風景画の系譜 10点。
人間を描くから離れて、遠い風景も描く。

モネの冒険 10点。
モネ特別仕様のゆるいカーブの壁面に10点が勢ぞろい。
だんだんと視力が衰えつつも
見えている色ははっきりしていたのだろう。
渓谷の絵は珍しい。
パリ、オランジュリー美術館のカーブを意識したか?

印象派の風景画 11点。
ピサロ、シスレー、セザンヌ、ルノワール、
ゴッホ、シニャック。
堂々たるメンバー。
ゴッホの「オーヴェールの家々」は晩年の作。
チラシの主役と抜擢された。

ラストに静物と近代絵画 4点。
ラ・トゥールの「卓上の花と果物」他、
ブラック、マティス、グリスの静物画で締めくくられる。

はがきを4枚。
ベラスケスの「ルイス・デ・ゴンゴラ・アルゴテ」
画像で紹介のモノ。 
スルバランの「聖ベトルス・トマス 聖キュロリス」
コローの「花輪を編む娘」
ゴッホの「オーヴェールの家々」
ベラスケスは本当にカッコイイ!と改めて感心した。

20日まで。
他にも楽しい展覧がヒルズに集合してるようです。
そちらもぜひ。

ボストン美術館とは縁の深い日本。
館運営方法もなかなか素晴らしい。
1870年に開館し、アメリカの富豪たちの勢いと
支えと後の人々の支えがタッグを組んだ
「市民が支える美の殿堂」という紹介もなかなかのものだ。
国立新美術館のオルセーと共に、
極上豪華なありえないラインナップ。
この時期、日本は至上の鑑賞機会を与えられているらしい。
お見逃しなく。
ボストン美はなんと20日まで。

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