あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

北斎の娘の話 「百日紅」

2007-01-20 13:30:50 | 
こんなにタイミングよく目の前に現れてくれるとは、
ご縁としか言いようがない。

「百日紅 上・下」 杉浦 日向子著  ちくま文庫

このお話、彼女の漫画なのだが、江戸時代の戯作物を読むような感じ。
渓斎栄泉が、善次郎として、北斎親子の家に居候して、
様々な事件を短編仕立てに現して、江戸庶民の粋に色っぽい生活を生き生きと見せてくれるのだ。

このお栄ちゃん、アタシャ、贔屓だね。
女ったらしの善次郎も仕方のない奴だし、
オヤジもオヤジだ。
こういういい加減な暮らし、いいねぇ。

って、いきなり江戸言葉、になっちまう。
北斎の才能は権力なんて物ともせず、
ともかく下町の市井で好き勝手に暮らせる方が性に合っていたことが
手に取るように解る。

杉浦女史は、私と一つ違いのお生まれだが、
まったく残念なことに夭折。
江戸庶民文化にすっかりはまって知識もさることながら、
その知識をベースに、楽しいお気楽な江戸町を
漫画にして残しておいてくだすった。

しかしなぁ、
ギメの龍はたしかにかっこいい。
しかし、お対の太田の虎は、なんだか合点がいかないんだ。
鉄蔵さんよ、ちょいと聞かせておくんな。

といったところで、そんなもん、ワシの名がありゃ、ワシんだ。
ってそれきりでしょうね。

そういう見る人を遊ばす才能も最高だってことが
この本でもしみじみ解った気がするのだった。

この本の所在を遊行さんがどこかでコメントしていたのが
今になって役立ったってワケでもあるんだ。
遊行女史、博学に感謝。

染まりやすい私はしばらく江戸文化に旅を続けそうだ。

追記
ところで、この画像は、片岡珠子女史によるお栄さんの絵。
片岡珠子御大は、今も存命で、とんでもかっこいい絵を沢山残している。
絵師達の首絵は、北斎筆頭にパワー全開なので、
画集を久しぶりに見た、という次第。
女絵師繋がりってことです。

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2 コメント

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Unknown (遊行七恵)
2007-01-20 22:17:05
とんだところに北村大膳、ならぬ遊行七恵です。
やっぱり『江戸』の空気がリアルなものとして感じられるのは、杉浦さんの作品ですね。
それと一ノ関圭さん。こちらは小学館系で作品発表&江戸歌舞伎を絵本にしたりで、とても読み応えがあります。
やっぱ江戸はよいです♪
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遊行 さま (あべまつ)
2007-01-21 12:31:12
本当に色々な引き出しをお持ちでいらっしゃるので、
尊敬です。
次は、一ノ関圭、さんで。メモメモ
そんなこと思っていたら、そうだ、片岡珠子がいたのだ!!と思いだし、画像をはっつけた次第。
江戸ってのは、庶民に力溢れてますね。面白い!
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