あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

東京博物館 常設のすごさ

2007-05-27 00:09:14 | 日本美術
私は、いつも東京博物館に一人で行く時は、まず、東洋館に立ち寄るのが常。
人が少ない中、誰にもじゃまされることなく中国、アジア諸国の美に触れることができるのだ。
また、やきもの好きにとって、ここは聖域とも言える。
他にも充実の私立コレクションもあることはあるけれど、
とりあえずはこちらに来て、
名だたるコレクションの逸品を拝見するのが楽しみなのだ。

さて、今回は、「15,16世紀インドシナ半島のやきもの」
の展示があり、中国のあでやかな五彩とは異なって、
豊かな動物や、花たちの飛ぶ柔らかな五彩を見た。
茶碗の見込みには緻密な人物の描き込みもあったり、
異国情緒溢れる絵模様が見て取れた。

書画の部屋では、千手観音や、五百羅漢の絵を見る。
いつもこの部屋には、日本絵画のルーツを見るようで、興味深く思う。

中国、朝鮮やきもたちにもご挨拶。
李朝の瑞々しい絵付けが好きなのだ。

そうして、本館の常設へ進む。
ここは、まず2階にあがって、土器、土偶を見て、私達の祖先に一礼。

目に映ったものをピックアップすることに。

文覚上人像 
今、朝日新聞で、夢枕獏「宿神」が連載中だが、丁度この話に出てきたばかり。
真言宗の僧で、遠藤盛遠といって元武士で、横恋慕した人の亭主を斬るつもりが
その妻を謝って殺してしまい、発心出家するという、情熱家。
しかし、エピソードとはかけ離れて、雄大で、力強いお姿。
かの西行と関わった人なのかと、ちょっと、気になる。いい男だったのだ。

たけくらべ草紙絵巻
たけくらべの物語と思いきや、歌合わせの模様。
別称「四十二の物諍」なのだそうで、
二つのものの優劣を歌で決める歌合せのことらしい。
雅な雰囲気があり、絵の色もきれいだった。

白楽獅子香炉 常慶作 17世紀
とてもいい力量間のある獅子の姿。
長次郎の獅子を見たことがあるが、こちらもきゅっと締まってバランスよく、
親しみのある顔つきがよかった。
志野ではなく、白楽なのだった。

特別陳列「屏風」これは、なかなか楽しめた。
一枚一枚の屏風に蝶番ではなく、何箇所かつなぎ目に穴が開いていて、
そこを紐の様なものでつないでいた。
(絁・あしぎぬ)と言う紐のことらしい。
それから、蝶番が生まれてきたこと。
二曲、六曲、八曲、という形の屏風があること。
板も大きさも大きなものから、小さなものまで、様々があることを、
現物を並べて教えてくれると言う企画。
見ごたえ充分。
 
大津絵屏風 
小さめサイズだけれど、民芸風で、とてもいい味が出ているので、
リビングに1隻欲しいものだなぁ。
 
扇面流図屏風 伝・本阿弥光悦
いかにも、光悦らしい雰囲気なのだが、伝。
グッドデザイン賞を差し上げたい。
 
四季花鳥図巻 巻上 酒井抱一筆
あまりにも色がう美しいので、見とれてしまった。
黒い蝶にはうっとり。

藤・牡丹・楓図  本阿弥光甫筆
三幅並んで展示されていて、琳派の香り芳しい。

牡丹図 俵屋宗達筆
こんなところで、宗達の絵と遭遇できて、驚き感激。
墨絵で優雅な牡丹が描かれていた。
 
雀図扇面 長澤芦雪 
扇面にささっと、雀の絵が描かれている。
ささっと、これが描けたのだ。いかしてる。
生き物を描かせたら最高!

車争図屏風 山楽 
源氏物語の一場面、黒い馬にのった光源氏を一目を見ようと集まった人たちのご った返した雰囲気が臨場感溢れている場面。
愛人VS正妻の火花も散っているとか。

他にも、キャンバス地を使い、西洋風な絵を描いた大正時代の屏風もあったりで、盛りだくさん、いい企画展示してくれていました。
感謝。アンド、ラッキ~~~! 
それから、浮世絵コーナー

刺身 喜多川歌麿筆
私は浮世絵の何が好きかと言えば、写楽の役者絵のかっこよさ。
花鳥風月のおどろおどろしさ、可憐さ。
風景図の構図の凄さ。色使いの妙味。
彫師達の匠の極みの技。
そんなところで、美人図については、そんなに惹かれていないのだが、
この、「刺身」を見て、うぉ~かっこいいなぁ。
と、うっとりしてしまった。
そのくらい、女性の程よい色香と、しぐさと、雰囲気。
箸の先の刺身になった鰹にも見とれてしまったのだ。
女を描かせたら、やっぱり、歌麿には適わない。
初鰹なのかもしれない。質入されちゃ、これも、かなわない。

ようやく2階を見終わり、1階へ。
こちらも楽しい企画が満載だった。
水滴
この、ミニチュア世界がたまらない。
なんでも小さくなれば、よく見えてしまう。
動物達のかわいらしいこと。
硯箱の中で、ご主人様の愛玩として、最高の地位を付けて貰ったに違いない。
漆箱のいいものが並んでいた。
女性達の髪結い型のサンプルとか、
紐の結び目のサンプルとか、
こういうものは垂涎もの。

ラストに際物を見てしまう。
英名二十八衆句  月岡芳年
責め絵、残酷絵、残虐絵ともいわれているとか。
恐ろしい場面なのだが、怖いもの見たさについ眼が行ってしまう。
血飛沫が飛び、生首が転がり、髪の毛は総立ち、あぁ大変!
これは、ちょっと調べたくなります。

頭の中はすでにパンク状態。
本当に国立と言うくらいだから、凄いものいつでも見せてもらえます。
また、レオナルドご一行様がご帰国された後、
ゆっくり拝見に上がらせていただきます。

また画像を載せています。
あべまつ遊山へクリックして飛んでみてください。 

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4 コメント

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Unknown (遊行七恵)
2007-05-27 18:37:44
こんばんは
カツラ(かもじ)写真が楽しいです。それと抱一。素敵です。見たいけれど次は6月なのでタイミングが合いませんから、ここで見れて嬉しいです。

ところで
>英名二十八衆句  月岡芳年
これが見たくて来月までレオさんツアー伸ばしてまして。わたしは師匠の国芳が最愛ですけど、弟子の芳年もたまらなく好きなのです。
大蘇を名乗ってる頃だと思います。
芳年か絵金か、と言うほど好きですよ。
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遊行 さま (あべまつ)
2007-05-28 10:24:41
おはようございます。
反応して下さり、嬉しゅうございます!!
英名二十八衆句、これ、かなり凄いですよね。
これで、アタシは、芳年を見直さなければならない、責務に追われています。って、誰も頼んでないし・・
国芳のかっこよさは、抜けてます。
北斎も臍をかんでいるでしょう。
こうなると初心者ながら、浮世絵は、アタシにとって、江戸後期が秀逸と感じ始めています。
8枚ぐらい並んでいました。
頭すり寄せて見たので、激写するの忘れちゃいました。28枚がっつり並べて欲しかったです。
東博の画像リサーチで、抱一の絵巻見られました。
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Unknown (はろるど)
2007-05-30 22:09:39
こんばんは。四季花鳥図巻はやはり全部拝見したいものですね。
黒い蝶などはもちろん素晴らしかったのですが、
どうしても他の部分も気になるものです。
せめて季節に合わせての展示でもと思いました。

蘆雪の雀も良かったです。府中で見た群雀図を思い出しました。
返信する
はろるど さま (あべまつ)
2007-05-31 22:39:42
こんばんは~
抱一は、今頃になって、きれいだなぁと思うようになってきました。

雅で、可憐だとやはり、きれいなだぁとなります。
素直なきれいに出会ってしまうと、
落ち着かなくなって、反省しきりです。

東博は、最高にお気に入りの場所です。

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