![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/c8/6a9d768a8a615436851f2290c2e6a992.jpg)
10位 麻生三郎 国立近代美術館
会場に集められた麻生三郎の作品群に
ガツンとやられてしまった。
画面の奥深くから滲み浮き上がってくる生々しさに
必然一つ一つの作品を見る時間が極端に長くなり、
その絵の前から離れることができない。
焦土のなかから魂が蘇ってくきて、
息をし始めているのだった。
衝撃的な「ひとり」は愛し合う二人が抱き合っている。
大きな絵の中で、二人であるからこそ、
孤独と向き合っているということを
まざまざと感じさせられた。
今生きている私たちと向こうの人たちと
どう会話していいか、途方に暮れるのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/91/585b1c67699b309dc7a334dd52515cd0.jpg)
9位 絵画の庭 国立国際美術館
息子の春休みに、初めて大阪の地で
国際美術館に入り、この展覧を鑑賞した。
現代の日本作家たちの魅力がぎゅっと詰まっていた。
その中の作品たちとまた東京で再会できたことも
今後の美術界での活躍も頼もしいと思った展覧。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/66/bf16e793e6adecfb8abc209aa4ab2e9e.jpg)
8位 陰影礼賛 国立新美術館
大体このタイトルがお気に入りだった。
国立美術館が所蔵する作品を
「陰影礼賛」という陰の切り口で
集められた企画に大いなる魅力を感じた。
日本のシュールリスト達はもっと光が当たって
ほしいものだと思った。
どこか湿潤で、幻想の中にも物語が潜んでいそうだ。
写真家の野性的な黒々とした画面、
版画の木の質感、エッチングの線の細かさ、
油のどろんとした表現
岩絵の具の色からにじむ陰、
その対局にデュシャンの自転車や帽子掛けなどが空中に
浮かんでそれがリアルな陰を生んでいたし、
陰を書き込んだ、高松次郎の影絵は
大阪の国際美術館から
巨体のカーブ作品が運ばれてきての再会。
陰,影が生まれ育って展示されていた
現場、のような企画が興味深かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/4f/45df595b3c39f5fbcfad61ec9a96e743.jpg)
7位 上村松園 国立近代美術館
ブログにも取り上げ、松園の凛とした人生と、
描かれる女性の気高さに虜になった。
ただ絵がうまいだけではそれも画壇の中に
女性が活躍し続けられる訳がないのであって、
それを思うにつれ、
厳しい、深い、執念の滲んだ緊張が生まれ、
絵全体に品格が生まれたのだ。
心棒の太さ強さに裏付けられた美にただただ驚嘆した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c9/59b54e15e8e0b460f75f98c06a67e18f.jpg)
6位 蔦屋重三郎 サントリー美術館
浮世絵界版元の名プロデューサー。
蔦重。
この時代の魅力が満載だった。
いろんな見せ物、芝居、狂歌、
本、浮世絵、仲間達がおもしろおかしく
いいものを作り、時代を彩ってきた。
名プロデューサーがいてこその
もっと面白く、楽しくが渦巻きとなって
盛り上がったのだ。
吉原の栄華の裏に蔦重あり。
実に面白かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/8d/77f32f83d72c8706dd01de89db1f685b.jpg)
5位 MASKS 仮の面 千葉市立美術館
マスク、仮面を集めた興味深い展覧だった。
そのあふれる情熱の表情から
実際生きてきた人々の願いが
凝縮されていた。
人は人の顔、面をみて暮らしている。
願いを込めるとき、その面をつけて、
神々へ近づいた。
思いは仮面をつらぬいて
神の心へと通じただろう。
重厚な、情熱の昇華がその会場に凝縮されて
圧倒された。
そして、死者への分身としてまた蘇って
大切に残されてきた。
まるで、死者への弔いにきたような気がしたのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/c0/534aafd226735e21974174385e589676.jpg)
4位 柳宗悦没後50年記念 朝鮮陶磁 日本民藝館
民藝館をつくった柳宗悦の没後50年記念。
まだ50年しかたっていないのか。
それにしても
収集されたものの愛らしいことといったら
どうしようもなく、ただ溺愛があふれた。
やきものが好きで東洋陶磁美術館が最高の
やきもの美術館だとするならば、
ここは最愛のコレクションの場所だ。
用の美は生活の美である。
日々の生活、営みを大切に愛すべきもの達と
暮らすことこそが美である。
それを学んだ、民藝。
無骨と野暮のせめぎ合いは、
実にスリリングだ。
それは使う人の目による。
そんなことをぐさりとやられた。
ともかくは、文句なく好きなものだらけの
幸せな空間だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d6/095b51ebd28be9de5e537e74fe6dde75.jpg)
3位 デューラー 国立西洋美術館
この人の超絶技巧にノックアウトだった。
ご本人の美男子(イケメン)振りも
見逃せない。
ひたすら超絶技巧に跪き、頭を垂れ、
目を凝らし、
へとへとになる。
線があんな魔法の線となるなんて。
一本の線が生々しく命を得て
動き出す魔界を堪能した。
目眩を起こす、そんな線に驚嘆。
参りました、のデューラー。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/91/36c6b834bce6442f50f0e3ab8471948a.jpg)
2位 マン・レイ 国立新美術館
私は彼を写真家だと思っていた。
しかし、それは彼のほんの一面であって、
実はいろんなことをした人と教わった。
造形も絵も、映像も、もちろん写真も。
なかでも映像はのちのシュール映画
「アンダルシアの犬」を思うほど。
レンズ越しにいろんな画面に「面白い」を
発見し続けた。
つまり、彼はなにかにつけ美、面白いもの、
それを発見するアーティストだったのだと。
彼の最後の奥さん、エリザベスの一人残された
アトリエでのレポート映画も実に
シュールで興味深かった。
彼女の眼鏡はどうしたものかと。
そしてまんまと楽しい発見に引き込まれ
純粋に楽しい、おもしろいの世界に
振り回されたのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/65/75/eb82d526deb7f2016bce4f65f1a5c1a2_s.jpg)
1位 等伯 東京国立博物館
長谷川等伯というもの。
彼の人生を追いかけつつ、会場を巡った。
耽美な表現は狩野派に脅威をもたらした。
そういう意味で、VS狩野派を思いながらみると
気味がいい。
後ろ盾に利休達茶人がいたことも。
それにしても、
美を表すことの空恐ろしさ。
能があの世の芝居として為政者にもてはやされた
時があったが、
2次元でその世界を描いてしまった、
松林図。
実存する世界がいつからあの世に
変化したのかわからないような
境界線のなさが最大の魅力だろう。
幽玄というのはその入り口にたたないと
見えないと思う。
本当に実存した絵師として
無視できない巨星をみた気がした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/20/23b016bdff98fba228fdd61e67fa1df0.jpg)
ここにあげた以外の印象に残った展覧については
また次回、書き残しておきたい。
以上、駆け足のベストテンでした。
様々色んなところで楽しい時間が過ぎていきました。
今年一年、あべまつをご贔屓くださいまして
厚く感謝申し上げます。
あと2日の2010年ですが、
よいお年をお迎えください。
会場に集められた麻生三郎の作品群に
ガツンとやられてしまった。
画面の奥深くから滲み浮き上がってくる生々しさに
必然一つ一つの作品を見る時間が極端に長くなり、
その絵の前から離れることができない。
焦土のなかから魂が蘇ってくきて、
息をし始めているのだった。
衝撃的な「ひとり」は愛し合う二人が抱き合っている。
大きな絵の中で、二人であるからこそ、
孤独と向き合っているということを
まざまざと感じさせられた。
今生きている私たちと向こうの人たちと
どう会話していいか、途方に暮れるのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/91/585b1c67699b309dc7a334dd52515cd0.jpg)
9位 絵画の庭 国立国際美術館
息子の春休みに、初めて大阪の地で
国際美術館に入り、この展覧を鑑賞した。
現代の日本作家たちの魅力がぎゅっと詰まっていた。
その中の作品たちとまた東京で再会できたことも
今後の美術界での活躍も頼もしいと思った展覧。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/66/bf16e793e6adecfb8abc209aa4ab2e9e.jpg)
8位 陰影礼賛 国立新美術館
大体このタイトルがお気に入りだった。
国立美術館が所蔵する作品を
「陰影礼賛」という陰の切り口で
集められた企画に大いなる魅力を感じた。
日本のシュールリスト達はもっと光が当たって
ほしいものだと思った。
どこか湿潤で、幻想の中にも物語が潜んでいそうだ。
写真家の野性的な黒々とした画面、
版画の木の質感、エッチングの線の細かさ、
油のどろんとした表現
岩絵の具の色からにじむ陰、
その対局にデュシャンの自転車や帽子掛けなどが空中に
浮かんでそれがリアルな陰を生んでいたし、
陰を書き込んだ、高松次郎の影絵は
大阪の国際美術館から
巨体のカーブ作品が運ばれてきての再会。
陰,影が生まれ育って展示されていた
現場、のような企画が興味深かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/4f/45df595b3c39f5fbcfad61ec9a96e743.jpg)
7位 上村松園 国立近代美術館
ブログにも取り上げ、松園の凛とした人生と、
描かれる女性の気高さに虜になった。
ただ絵がうまいだけではそれも画壇の中に
女性が活躍し続けられる訳がないのであって、
それを思うにつれ、
厳しい、深い、執念の滲んだ緊張が生まれ、
絵全体に品格が生まれたのだ。
心棒の太さ強さに裏付けられた美にただただ驚嘆した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c9/59b54e15e8e0b460f75f98c06a67e18f.jpg)
6位 蔦屋重三郎 サントリー美術館
浮世絵界版元の名プロデューサー。
蔦重。
この時代の魅力が満載だった。
いろんな見せ物、芝居、狂歌、
本、浮世絵、仲間達がおもしろおかしく
いいものを作り、時代を彩ってきた。
名プロデューサーがいてこその
もっと面白く、楽しくが渦巻きとなって
盛り上がったのだ。
吉原の栄華の裏に蔦重あり。
実に面白かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/8d/77f32f83d72c8706dd01de89db1f685b.jpg)
5位 MASKS 仮の面 千葉市立美術館
マスク、仮面を集めた興味深い展覧だった。
そのあふれる情熱の表情から
実際生きてきた人々の願いが
凝縮されていた。
人は人の顔、面をみて暮らしている。
願いを込めるとき、その面をつけて、
神々へ近づいた。
思いは仮面をつらぬいて
神の心へと通じただろう。
重厚な、情熱の昇華がその会場に凝縮されて
圧倒された。
そして、死者への分身としてまた蘇って
大切に残されてきた。
まるで、死者への弔いにきたような気がしたのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/c0/534aafd226735e21974174385e589676.jpg)
4位 柳宗悦没後50年記念 朝鮮陶磁 日本民藝館
民藝館をつくった柳宗悦の没後50年記念。
まだ50年しかたっていないのか。
それにしても
収集されたものの愛らしいことといったら
どうしようもなく、ただ溺愛があふれた。
やきものが好きで東洋陶磁美術館が最高の
やきもの美術館だとするならば、
ここは最愛のコレクションの場所だ。
用の美は生活の美である。
日々の生活、営みを大切に愛すべきもの達と
暮らすことこそが美である。
それを学んだ、民藝。
無骨と野暮のせめぎ合いは、
実にスリリングだ。
それは使う人の目による。
そんなことをぐさりとやられた。
ともかくは、文句なく好きなものだらけの
幸せな空間だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d6/095b51ebd28be9de5e537e74fe6dde75.jpg)
3位 デューラー 国立西洋美術館
この人の超絶技巧にノックアウトだった。
ご本人の美男子(イケメン)振りも
見逃せない。
ひたすら超絶技巧に跪き、頭を垂れ、
目を凝らし、
へとへとになる。
線があんな魔法の線となるなんて。
一本の線が生々しく命を得て
動き出す魔界を堪能した。
目眩を起こす、そんな線に驚嘆。
参りました、のデューラー。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/91/36c6b834bce6442f50f0e3ab8471948a.jpg)
2位 マン・レイ 国立新美術館
私は彼を写真家だと思っていた。
しかし、それは彼のほんの一面であって、
実はいろんなことをした人と教わった。
造形も絵も、映像も、もちろん写真も。
なかでも映像はのちのシュール映画
「アンダルシアの犬」を思うほど。
レンズ越しにいろんな画面に「面白い」を
発見し続けた。
つまり、彼はなにかにつけ美、面白いもの、
それを発見するアーティストだったのだと。
彼の最後の奥さん、エリザベスの一人残された
アトリエでのレポート映画も実に
シュールで興味深かった。
彼女の眼鏡はどうしたものかと。
そしてまんまと楽しい発見に引き込まれ
純粋に楽しい、おもしろいの世界に
振り回されたのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/65/75/eb82d526deb7f2016bce4f65f1a5c1a2_s.jpg)
1位 等伯 東京国立博物館
長谷川等伯というもの。
彼の人生を追いかけつつ、会場を巡った。
耽美な表現は狩野派に脅威をもたらした。
そういう意味で、VS狩野派を思いながらみると
気味がいい。
後ろ盾に利休達茶人がいたことも。
それにしても、
美を表すことの空恐ろしさ。
能があの世の芝居として為政者にもてはやされた
時があったが、
2次元でその世界を描いてしまった、
松林図。
実存する世界がいつからあの世に
変化したのかわからないような
境界線のなさが最大の魅力だろう。
幽玄というのはその入り口にたたないと
見えないと思う。
本当に実存した絵師として
無視できない巨星をみた気がした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/20/23b016bdff98fba228fdd61e67fa1df0.jpg)
ここにあげた以外の印象に残った展覧については
また次回、書き残しておきたい。
以上、駆け足のベストテンでした。
様々色んなところで楽しい時間が過ぎていきました。
今年一年、あべまつをご贔屓くださいまして
厚く感謝申し上げます。
あと2日の2010年ですが、
よいお年をお迎えください。
そして第1位の発表はファンファーレとともに・・・
わたしも同じ「長谷川等伯」でした。
バタバタと年の瀬を迎えてしまいました。
画面をもう少し丁寧に作れたらいいのですが、
今回はこの程度でご勘弁願っています。
とらさまも等伯1位でしたか。
いまからランキング拝見にあがりま~す。
麻生三郎の記事がかけなかった、とつぶやいておられたので10位に入ってるのを見て「ううむ」でした。心にピンとくるのに限ってかけなかったせつなさ、それが伝わってきます。
でもそれに却ってそそられて、わたしは京都でみてきます。
等伯は古典をあまり観に行かない私にも
大きな手ごたえがありました。
「仮の面」は仮面たちに込められた思念に作用され
深い感慨を誘われる好企画でしたね。
本当にありがとうございました。
来年はぜひあべまつさんと歌舞伎鑑賞をと願っています。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
今年も遊行さんの足跡を沢山拾いにいきたいと思っています。
麻生三郎は、ちょっと苦しかったです。
でも通り過ぎるわけにはいかない、
何かがごろんとしてました。
京都の感想を楽しみにします。
今年も楽しい時間を沢山見つけましょう~
コメントをありがとうございます。
等伯はつい、贔屓にしてしまって、
あの画面のジリジリする空気に参る訳です。
面、このジャンルにとても興味がわきま。
人形(ひとがた)の存在に真実が込められている
そんな気がしました。
今年もまた、よろしくお願い致します。
昨年はひょんなことでお目にかかれ、
楽しい時間が持てました。
今年も、パワフルなせいなさん親子に
元気をいただきます。(じゅるじゅる~)
歌舞伎座が出来上がるまで、
しばし、あちこちに出かけざるを得ませんが、
よろしくお願いいたします。
私の数少ない美術鑑賞の中で、
どうしても本物を見たかった作家。
目からウロコの発見でした。
国宝の意味を知ったのでした。
いろいろ見たかったけど、
見れなかった美しい物の数々・・
これからも、こちらを楽しみにしてます~♪
等伯はやっぱり半端なくかっこ良かったでした。
時代を駆け抜け、生き抜いた絵師という感じでした。
ちょろりさんの作品も楽しみにしております~
東京エリアの活動があったら、
ぜひにも伺いますよ~