あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

遠州・不昧の美意識 名物の茶道具 ・根津美術館

2013-04-02 22:43:57 | 日本美術

 三井記念の春の茶道具を見た後、
 日を改めて
 茶道具好きの友と根津見術館を訪ねました。
 
 江戸の大名茶人の遠州と不昧
 この二人の美意識を茶道具を通して感じてみようという
 展覧でした。

 さすがの渋さ、侘びさ、枯淡好みにはたまらない展覧でした。
 根津の所蔵品として重要な位置にある名品揃いに
 しばし浮世から離れ、名品の放つオーラに包まれました。

 「綺麗さび」といわれた遠州の趣味は小気味よく、
 利休の緊張した研ぎ澄まされた異空間作りとは離れ、
 もっと緩く楽しむ、そんな開かれた遊びを感じられる美意識が大好きです。
 利休の弟子、古田織部に茶を学んだといわれた人。
 茶の持つ空間美術を表すための建築、造園、など多岐にわたって
 才能を発揮してます。

 茶入れにふっくらとした銘 空也 がありました。
 銀座にある最中の空也をふと思い出しましたが、
 小振りな振り出しのようでとても愛らしい姿でした。

 その遠州の美意識を150年後に収集した、松平不昧公。
 出雲松江の藩主でした。
 殿方の洗練された趣味を見るようで、
 とても引かれた名品揃いの展示でした。

 それぞれの銘にまつわる消息などの展示も興味深いものです。
 茶道具の凄さは伝来がしっかり明らかだということでしょう。
 突然そこにあるのではないという歴史の生き証人でもあるのです。

 隣の部屋には大雅と良寛の書。
 なぜか、白隠さんの「親」も参加していて
 とても嬉しい気持ちになりました。
 年初は白隠さんで開けたのですから。

 良寛さんの脱力した文字に風を感じます。
 ただ「天地」と書かれた軸が二幅並んでいましたが、
 力のある「大天地」はそれを神様だと崇めて拝んできたという
 エピソードが興味深かったのですが、
 その隣のひょろひょろした「小天地」の落差がありすぎて
 良寛さんの脱力ぶりにまた脱帽しました。
 
 2階の展示には春らしい展示。
 お雛様とその道具達。
 明治期のものであっても品格のある一式でした。
 お茶道具室には
 「花見月の茶」
 畳のお茶室しつらいに
 紀貫之集 伝藤原行成の筆、
 高取の水指
 御所丸のお茶碗。
 月夜のお茶会なんでしょうか。
 渋い取り合わせでした。
 あそこに月を愛でる人びとが春の訪れを
 慶びつつお茶を楽しんでいたのでしょう。
 風雅、という一陣の風が吹きました。

 中国の青銅器の一群は相変わらずの迫力を放っていました。
 
 今回はゆっくり庭園をお散歩することにしました。

 画像をご紹介します。
 次回は燕子花です。藤棚の花房も気になりますね。 
 根津美術館はこの庭園とセットで自然の移ろいを感じられる
 大切な場所です。
 緑に囲まれた頃、また庭園散歩に繰り出したいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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