あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

北京オリンピック開会式

2008-08-09 22:04:51 | アート鑑賞記録
メインスタジアム、鳥の巣に日時計が映し出され、
中国古来からの大きな太鼓を2008人の男子が打ち鳴らす
2008個の太鼓が
白く光って残り時間のカウントダウンを数字と漢字で表す。

デジタル画面が変わるように、パラパラと光り60、
50、40、30、20、
10,9,8,7,6,5,4,3,2,1,
無数の花火がダダダダ~~~~ン!
2008年8月8日8時8分

観客席は青、赤、黄、緑の光がちらつき
宇宙の群星の中のようだ。
トラックではビッグマスの太鼓のパフォーマンス。
青年達の光る衣装と赤く光る撥とが壮大な画面となって
見る人の心を高ぶらせる。
兵馬俑の兵士達のようだ。
もの凄い、スケールだ。
中国は壮大な広大な大国なのだと思わず思い出させる。
13億人の多種民族の総合で、
4000年の歴史を延々と繋げてきた、
日本が最大に影響を頂いた国なのだ。

長大な巻物が現れ、古代中国の歴史絵巻物が
現代の表現方法で煌びやかに映し出される。
こんな表現方法があったのかと驚かされる。

紙を漉き、筆を作り、墨を作り、文字を書いてきた。
朋の遠方よりきたる また楽しからずや
孔子の弟子達2008人が現れ、オリンピックを言祝ぐ。
琴が鳴り、長恨歌の楊貴妃が玄宗皇帝と一場面を演じる。
絶大な円柱が現れ、妖艶な女性達の舞。
帆を高々と上げ、櫓を漕ぎ、海をゆく。
光を背負った人間達によってできた「人間鳥の巣」が光り、
蜘蛛の子を散らすように散ってゆく様もきれいだった。

地面から、大きな地球が現れ、
側面に人が宙づりで、はね回る。
なんという発想の大きさ。

今や、中国はいよいよ地球の力となることを
宣言しているかのようだ。

圧倒的な大国の力。
壮大な国土。
絶大な権力。
孤高の芸術。
湯水のごとく注いだ財力。
延々と続く歴史。

赤と黄、金色のきらめき。

ドドドドドと打ち上がる花火。

めくるめく開会式は私の眼を釘付けにし、
翌土曜日も再放送を見、
消された場面を悔しがり、
PCで見つけた画像に酔いしれた。

この祭典を取り仕切った映画監督も素晴らしい美のこだわりだった。

スケールが違いすぎることを、
もしかしたら、勘違いしているのかも知れないと思った。
13億人の国民が住む国土を有する中国。
様々な悲劇は限りなく生まれ、泡となって消えていくのだろうと思った。

シルクロードを渡り歩いて繋がった時空を
私達日本人が簡単にイメージすることは難しい。
日本の歴史が始まって以来
中国文化芸術にひたすら憧れ、溢れるほど学んできた日本。
物語の始まりの竹取物語にしても
その元の話は中国にあったという。

今、「唐代伝奇」を読んでいる。
源氏物語にも出てくる玄宗皇帝、楊貴妃の物語。
長恨歌や、杜子春などの有名なお話。
玉三郎が夢見た楊貴妃の姿。
京劇の跳ね上がる台詞廻しの声色。
様々入り乱れて、まったく素晴らしい開会式だった。

大国という悲劇は、小国を認めることから始まるのか。
和を持って尊し。
あなたと私、同じ地球に住む私とあなた。
平和を願う祭典が、その場限りの美しい張りぼてに
終わらない事も願って止まない。

さぁ、我ニッポン!
がんばれ!

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