あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

伎楽面 ・東博 法隆寺館

2008-08-13 00:12:15 | 日本美術
「対決」はいよいよ佳境に入った、ラストの週。
さぞ風神雷神が雷鳴轟かせ、嵐を呼んでいることでしょう。

うまくいけば、来週、三十三間堂で、ご先祖風神雷神を拝んできます。

何度見ても、すばらしいものは目を喜ばせてくれる。
雪舟のダルマさんの肌色のリアルな顔と
省略したガッツリした岩の線との
コンビネーションがやっぱり凄い。
等伯の柳からはえもいわれない陶酔を感じる。
蕪村の銀地の屏風は、金地の屏風からは現れない
落ち着いた豪華さ、派手すぎない煌びやかさが異彩を放って見えた。

日曜日に美術館に行くことをほとんどしない私だが、
こんなに沢山の人達が、目をこらしてしっかり
鑑賞している様子は、とても嬉しい気持ちにさせてもらえた。
よし!日本美術は安泰だ!

そして、今回は久しぶりに法隆寺館に行って、
伎楽面をたっぷり鑑賞した。
金銅仏の展示室の奥にも展示室があることを初めて知った。
人間の顔より、2割ほど大きなもの凄い造形の面。
たっぷりした造形。
運慶の大元を見る様な、木彫の造形に底力が溢れている。
能面にはない、土臭さ、ソウルフルな精霊のもの、
生命力がずんずん見る者に訴える。

それから、演芸の歴史が始まったのだろうか。
舞楽関係のことをもう少し囓りたくなる。
かぶり物の元祖。
ともかくは、すごい造形だ。

それから、本館へ行って仏像の彫像を見る。
木から、刀で命を見いだす。
平清盛が、伎楽面からルーツを辿って、
まるで生きているようにこちらを睥睨する。

見つめられているよう、と言うことが重要なのだと思った。
こちらが見ているのに、見つめられていると思う。
見なければいいのに、見てしまう存在。
はみ出ていることは、
目立つということは、
視線を集める、ということ。

視線が集まるということが、美へのアプローチ。

などなど、また脱線な事を思いつつ、
源氏物語の様々な複線に目眩を感じる。
来週行く平等院の宇治で溺れたら、
誰か、助けてくれるだろうか?
(私は完璧道産子、金槌!)

現世からの旅立ちは、出家という手があった、
法華経の憧れ。
待賢門院出家の時に書かれたお経、
「久能経」
美しい経文と見返しの荘厳。
若くして出家した西行が憧れた、
待賢門院中納言殿の御為に。

お盆に時空を越えた魂との逢瀬に
何と忙しい事だろう。

様々な御霊と未だに共に生きているのが、
日本人の姿なのだということも、妙に合点がいったのだった。

さぁ、北京オリンピック!
若きイケメンズにおばさんは奇声を上げて、
熱狂する日々。
明日また東博を狙っているけれど、どうなることか。

残暑厳しき折、皆様には体調管理にお気をつけて、
しばしの夏をご堪能下さいマシ。
萩の花もほころんできましょう。

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4 コメント

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ノセラレテ (悲歌・哀歌)
2008-08-14 16:51:27
あべまつさんにノセラレテ、法隆寺宝物館と東洋館に行ってきました。久しぶりの宝物館訪問です。
新築になってから、とんとご無沙汰でした。小生、宝物館を設計した、谷口なる建築家が嫌いなのですよ。
昔の宝物館が懐かしい。でも、空調の設備が悪くて、毎週木曜日の、しかも晴れた日のみの開館でしたから、現在の毎日開館は有り難い、と言うべきか。
伎楽面とも、お久しぶりー!の対面。異形の面々はアジア大陸との繋がりを感じさせてくれて、懐かしのシルクロード気分でした。もちろん、龍首水瓶もね。
さらに、金銅仏のN167「菩薩立像」に嵌りました。
薬師寺の日光・月光菩薩とは、サイズが月とすっぽん位ありますが、顔の正面と下から仰ぎ見たときの表情の変化は、本当に素晴らしかった。日光・月光菩薩を見たときの思いが甦りました。
東洋館も中国絵画以外は、なかなか足を運べなかったのですが、豆彩の器や青磁器、そして大好きな禾目天目も有って嬉しい。珠光緞子にも痺れました。
朝鮮半島の焼物にも、久方ぶりのご対面!やっぱり良い!オルドス青銅器が陳列されていなかったのは、誠に残念!(そういえば、バリアだらけの東洋館も谷口の設計だったな)
そのあと、本館にものこのこ出掛けましたが、後日あべまつさんが、無事に関西より帰還なさった頃に「対決」展ジャッジと合わせてコメントしましょう。
それでは、良い旅を・・・。
返信する
悲歌・哀歌 さま (あべまつ)
2008-08-14 21:40:33
こんばんは。

法隆寺館久しぶりのご訪問だったのですね。
昔の法隆寺館を知らなくて、残念です。
その頃は美術鑑賞と縁が薄くて、
それでも、なぜ木曜日だけなのか!と思っていました。
新しくなった、法隆寺館は、いかにも現代建築の中に聖徳太子の分家があるようで、本家の凄さとは比較にならないのですが、
平成東京別院、と思って親しくしています。
今回は伎楽面が見たくて行ったのですが、
魂が吸い取られるような凄さがありました。
2階の唐櫃や、水晶のサイコロのような玩具?
ばちるの針入れ、布も素敵でした。
東洋館は、横河コレクションと、中国絵画を見るのが毎回の楽しみです。

関西へは、あべまつボーイの電車運行表になんとかあべまつ好みを取り混ぜながら珍道中やって参ります。
いよいよ「対決」が終了し、秋風が吹くのですね。
関西の旅の記事ネタを沢山集めて参ります~
返信する
Unknown (あおひー)
2008-08-23 09:29:15
こんにちわ。
TBありがとうございました。

伎楽面を見ているとどんな衣装を着て、どういった演舞(とでもいうのが適切なのかな?)だったのか気になるところです。

東博は1日いることはないのですが、ずっと居ても飽きない内容だというのが素晴らしいですね。

パスポートがあるので近くに行くとつい入ってしまいます。
返信する
あおひー さま (あべまつ)
2008-08-24 23:21:03
こんばんは。
今まで、北京オリンピック閉会式ガッツ入り見ていました。
雅楽系には、不思議な引っぱられる力があります。
青海波を踊る光源氏、法隆寺館で見る伎楽面。
昔はエキゾチックな舞が華やかに繰り広げられていたんですね。
また、これを機会に行って見る事にします。
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