あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

初春花形歌舞伎 ・新橋演舞場

2009-01-14 15:56:17 | 歌舞伎
年明け早々、
なにやかにやと動けない事情が重なり、
美術館が遠いお正月で、寂しい日々ではあったが、
昨日、やっと、芝居小屋まで行って参りました!!

久しぶりの演舞場、夜に出かけるのは初めて。
前に行ったのは、もう3年位前。
昼間で、中村勘三郎と、藤山直美のカップリングで、
サーカス物の串田演出だった。

昨日は、今が若手の海老蔵と獅童の花形歌舞伎。
演目は、
なんと海老蔵が復活公演をするという、
「七つ面」
歌舞伎十八番の内で、1740年に初演されてから、
久しく途絶えていたもの。
奇しくも父、団十郎が今月国立劇場で、
「象引」を復活させている。

荒事の市川家、力が入っているではないか。

とはいえ「七つ面」は荒事ではなく、
七つの面を取り替えつつ、
その面のキャラにあわせて華やかに舞分ける舞踊。
踊る海老蔵、をみて、
ふむ、今年彼は妙に綺麗に仕上がっている。
やる気と華が出てきた、と感じた。
役者の場合、華というものが大切で、
舞台にいるだけで、煌めくことは簡単なものではなく、
天性のものが優先してしまうような気もする。
役者として、一命を賭ける運命みたいなものが感じられた。
彼は好き嫌いはあるにせよ、そういう星のもとに生まれたのだ。

「封印切り」
飛脚問屋の養子忠兵衛が、遊女梅川の身請け話に
手をつけてはイケナイ為替の金の封を切って
ついには心中に梅川を連れ出す、という愚図い男の話。
上方歌舞伎を獅童が必死に演じる。
上方歌舞伎の上方言葉で万歳のような掛け合い。
これが長い。
台詞覚えにご苦労だったことだろう。
梅川という遊女を笑三郎が可憐に仕上げていた。

「白波五人男」
序幕と大詰めの二幕だったので、ダイジェスト版。
海老蔵の弁天小僧は、どんなものかと思ったが、
菊五郎のいなせな気っ風の良さには及ばないにしても、
きれぇ~だった。
連れの南郷力丸が獅堂で、上方の優男で心中道中もして、
ヘトヘトだろうに、よく啖呵を切っていた。
市川右近が呉服屋で弁天小僧達に折りをつける役どころで
出てくるが、ちらり幸四郎の言い回しの臭いがすると思った。
海老蔵がもう少し滑舌伸びやかになると、
もっと聞きごたえがますだろう。
盗人大番頭の日本駄右衛門は、彼らの父上のような左団次。
しんがりをガッツりきめていた。
河竹黙阿弥の七五調の台詞はなんともリズミカルで
三味線との掛け合いもロックだ。

・・・てなことで、
とっても年初にはおめでたい演目で、
充分楽しめた。
3階席は蒸し暑く、お茶と扇子が必要で、
かなり厳しかったけれど、
歌舞伎座の3階席よりも座り心地がいいので、
ガマンできた。

三味線の音って、本当に元気になる音。
今年はこの音のように、いい音、連れてきてくれるといいな。
歌舞伎座がさよなら公演をずっとぶら下げるので、
なんとか通いたいものと手ぐすね引いている。

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