あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

佐々木誠さんの作品をみる。

2012-05-14 14:43:13 | アート鑑賞記録
有楽町駅前の国際フォーラムで開かれた
2012、アートフェアにおいての
「シャッフル」の会場でとても刺激を受けた作家
佐々木誠さん。

作品の素晴らしく美しい表情の葉書を頂いてきた。
湯島の羽黒洞、という民族美術の店でみることが出来るとの案内葉書であった。

息子の春休みが終わってから、ぜひにもと訪ねることにした。

湯島の駅からすぐのマンションの中にあった。
見つけると嬉しくドアを押し開いた。
案の定店の中央にその作品が鎮座していた。
早速、私の眼を捉まえて離さない。
彫像は目を閉じているのに、吸引する力は一体どこから?
鉈目の残る仏像を思い出す。
しかし、今この時代に生きているなまめかしさもある。
白いボディは胡粉ですかと尋ねたらそうだった。
一つ一つの鑿目を刻む作家の気の遠くなりそうな目が
埋め込まれている。

アトリエは柏方面だそうだが、
リズミカルなぶれのない鑿音がコンコンと続けられているのだろう。

鳩尾と横隔膜下、眉間上に不思議な穴がある。
くり抜かれている空洞から何かが見ているようでもあり、
何かが吹き出してきそうでもある。
生き物ではない証拠でもあるよう。

お店の方がどうぞとお茶を出してくださった。
古い板のどっしりしたテーブルと椅子。
藍染めの座布団カバーに民芸の温かさを感じつつ、
佐々木誠さんの歌の冊子を見せて頂いた。

まるで古事記、万葉集。
全部ご自分のしつらいとか。
相当古代を意識していらっしゃることがわかる。
この歌の本、販売していないとのことも残念。

店内の小さな壁に祠シリーズが何点か掛けられていた。
「シャッフル」八挙須ヤツカヒゲの背面に置いてあった祠のシリーズ。
値段を見れば、手が出せる。
その中の赤い祠を求めることにした。
その朱はベンガラの朱。

お店の方と暫し歓談。
先ほど見せた頂いた歌を作家さんに伝えて
何句か送って下さるよう願いしてみます、とのこと。
ご迷惑千万だろうがこちらとしては驚喜。

その日から3日を明けないうちに
その歌がご本人のお手紙を添えて拙宅に届けられたこと、
お店の配慮と佐々木さんのお人柄のたまもの。
作家としての神様に捧げる決意表明のような歌もあって、
こころに響いた。
祠に命を注ぎながら愛玩に努めます。

古代からずっと命が継承してきたから今日本でその民族が
生きながらえている。
縄文も、弥生も(あの近辺に弥生土器が発掘されている)
みな連綿と命が繋がってきた。

そんなことを思い起こさせる、佐々木誠さんの木彫に
静かな震える命を感じて、我が家の守り神さまの依り代として
鎮座してもらっている。

美術雑誌、アートコレクションによれば、
11月にも個展が準備されているそうだ。
とても楽しみにしている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京アートフェア Shuffle 2... | トップ | 春花アルバム »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。