あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

懐月堂安度の遊女肉筆画

2006-09-27 12:22:26 | 日本美術
そこで、忘れないために、メモしておくことにした。

その日、中国絵画に惚れ惚れした後、本館に入って、特別室で「懐月堂派の肉筆浮世絵」が展示されていることに気がついた。

なにしろ、にわか美術追っかけをしているので、日々新しいことに驚きの連続。
こんな絵師がいたのだ。

まず、眼に飛び込んできたのは、一幅全体に色鮮やかな着物を着た、
大きな遊女の姿だ。
おぉ~~迫力だ
浮き世絵師達の中で、これだけ大きな作を描いた人がいただろうか?

背景は全く描かないこと、
大体が太い線で輪郭が引かれ、着物柄がとても凝っていること。
姿は、体に大胆なひねりがあること。
表装に使われている布もこだわりがあって、
描かれている遊女の着物柄とコーディネイトがしっかりされていること。

そんなことが捕まえることができた。

一枚一枚じっくり見つめ、デジカメで記録した。

そうしたら、これから、この懐月堂派のレクチャーがあるという。
時間は押してはいたけれど、滅多にないチャンスだったので、
受けてみることとした。
始まる2時までに館内を鑑賞し、ランチを食べ、ミュージアムショップにより、
博物館を堪能した。

2時前、2階の本館特別室の前には、沢山の人々が集まっていた。
およそ、80人くらいか?
へぇ、結構聞きに来る人っているものなのだなぁ・・・


懐月堂安度 
彼の出生はわかっていない。しかし、18世紀初頭の江戸で、人気の美人画絵師。
彼は、工房制作を行い、5人の門人達とゴージャスな遊女達を分担作業で安い泥絵の具を使って、量産することに苦心した。
フェノロサにも絶賛されたらしい。
しかし、時の運で絵島生島事件に巻き込まれ、新島へ流罪されてしまう。
主のいない懐月堂派たちの運命は、勢いを落として行かざるを得なかった。

分業により、肉筆にこだわり、版画では描ききれない着物柄のすばらしさが人気の秘密だったのではないだろうか。
手の平サイズよりは、圧倒的に大きいし、
顔の表情もうっとりするほどの優雅な雰囲気があふれている。

見返り美人の菱川師宣の絵からも影響はあっただろうし、
絵本から抜け出したような、一枚絵として、家のどこかを飾ったのだろう。

しかし、あの絵島生島事件に巻き込まれて、不遇な人生だったんだなぁ~~

島流しされてしまった、悲しい運命の人達、
かなり凄い人物がまだまだいたっけね。

約30分程度のレクチャーで、講師の先生はお若いおねぇさんだった。
熱心なファンの方もいて、質問などもしていた。
学校の社会科見学のような、でも、断然楽しい講義を聴くことができた。

先生、ありがとう~~

カルチャーセンターの講義じゃ、いくら掛かるだろう、って、貧乏くさいこと思ってしまったが、かなりかなり東京博物館頑張ってます。
みなさまもチャンスがあったら、チャレンジしてみて下さい。
おすすめです!!

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