あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

江戸東京博物館

2007-02-13 11:18:10 | 日本美術
従いまして、いつものような鑑賞モードから、
人気テーマパークの人混みにまみれて、
如何に自分の立ち位置を確保するかに力が入ったのでした。

まずは入場するまで、チケット売り場が長蛇の列、
企画展会場までがまた長蛇の列。
会場整理のおじさんが、最後尾はこちらです~~
と看板を持って、声を張り上げていました。

それじゃ、仕方ないや、常設展から、観てきましょうということに作戦変更。
こちらは混雑しているけれど、なんとかガマンできた。
「徳川家茂とその時代展」
殿様の持ち物より、和宮さまの持ち物に、うっとり。
象牙のしおり、これに驚いた。
でも、あんまりきちんと観たことになっていない。

その下で、
「北斎展」
これは、本当に嬉しい展示会だった。
「諸国瀧廻り」の全8図が集合していたから!!
作品数はやや少なめではあるけれど、
北斎の時代を追って、丁寧な展示。
大仏詣図(Visiting a Great Statue of Buddha この英訳が何故かうけました。)
奈良の東大寺がお盆の時にご開帳する大仏殿とよく似ている、京都方広寺の大仏殿。その窓が開いたその奥から、大仏さまのお顔が除いている。
そこを指さし見ている参詣の二人連れ。
焼ける前の方広寺。芦雪が描いた、燃える方公寺を思い出した。
さぞその火事はビッグニュースだったことでしょう。
さらりと描いた、「万歳図」もおめでたい。

それと、興味深かったのが、
「阿蘭陀画鏡」
初めてこのようなタッチのものを観た。
オランダから入ってきた、銅版画を木版でやってみたのだそうだ。
小さなサイズながら、銅版画らしい雰囲気が良く出ている。
よく目をこらしてみないと、細部が見えないから、
やはり、単眼鏡は必携になってきたのかも。
高輪、日本橋、吉原など、江戸八景、8枚が並んでいた。
舶来の新しいものをすぐさま取り込むところは、
さすが北斎。チャレンジ精神に脱帽。

8枚の末広がりのものが他にもあって、
「諸国瀧廻り」
ここでこのようなすばらしい瀧に巡り会えるとは思っていなかったので、
大感激した。それも8枚きっちり並んでいるから。
霧降の瀧のおどろおどろしい魔力に、虜になったのは、
北斎ではなく、英泉のほうだった。
それでも、北斎の方もまったく引けをとらないのは、
構図と、色使いかな。ダイナミックだ。
瀧の持つ、怪しい魔力、神々しさに庶民の尊敬と、畏怖の念が溢れている。
旅人が一緒に瀧の凄さをライブで伝えている臨場感が楽しい。

後は、富岳百景から、「登龍の不二」
いざ、不二を目指すという、気迫溢れた龍が立ち登ろうとしているところ。
渦を巻いた雲が、その気迫を盛り上げている。
北斎が富士山を神様としていたことや、龍に自分を重ねていたようなことや、
命の終演は富士山しかないと思わせるような、
画狂老人の気炎がとぐろを巻いているのだ。
これを見ただけで、今日ここに来た意味があった。
参考図録、600円も嬉しかった。

北斎のすばらしい作品に出会って、うきうきしていたところ、
その前に現れた、
羽子板。
く~~~
これもなんときれい、かわいい、かっこいい、すばらしいこと

浮世絵師が羽子板の下絵を描いたことは、とてもわかりやすい。
役者絵とも近い存在だし、
女史としては、身近な存在だ。
押し絵の作業もうっとりだ。
夢野久作に押し絵のなんとかって、小説があったっけ。
画像が上手く移せなかったけれど、
あべまつ遊山に載せてみたので、ご覧になってみて下さい。

なんて嬉しい展覧会なのだろう。

さて、気分を変えて、
江戸城に登城致さねば。

総点数250点あまりのものがざくざく並んでいるけれど、
物見遊山の人垣で、気分は下降気味。
ちらちらと見えてくるものをチョイスで、
流し見ることとなってしまった。

圧巻はバーチャルリアリティの最新映像。
これを見ずして、江戸を語るなかれとは、このことだ。
すばらしい出来だったし、
松の廊下や、本丸大広間、幻の天守閣も見事再生されて
いかにもそこに行ったような俯瞰した画面に感動した。
大混雑ではあったけれど、これで、良し!としよう。

凄いのは、大奥や、本丸までの地図があったけれど、
あれじゃ、どこに何があるか、解ったものじゃない。
説教部屋や、折檻部屋があったとしても、
誰も知ったことではなさそう。恐ろしや~~

気になったお宝、
大判小判関係は、三菱東京UFJ銀行が持っているのだ。
江戸城内の地図。
イベント、政のしきたり帳。
天守絵図。
謡初図。
朝鮮国王からの国書、(ハンコが凄い)
その返事としての控え、綱吉の返書。(紙技が凄い)
江戸東京博物館ならではの縮版のお城、城内模型。
などなど、きりがない。

そんなことで、たっぷりというか、消化不良、人混みにもまれ、
へとへとになったけれど、
ミュージアムショップで、また、元気復活。
色々眺め、楽しんだ。
息子へのバレンタインデーチョコに、
どすこいクランチチョコをゲット。
紙起こしのお相撲さんを切り離して、
パッケージが土俵になるという優れもの。

地元、墨田区が一緒にこの博物館を盛り上げている。
言問い団子や、長命寺の桜餅や、人形焼などなど銘菓が並んでいるのも嬉しい。
博物館のこれからは、地元と一緒に作る、
そんなことも大事なことなのだろうな、と思った。
大相撲が始まっていたら、きっともっと華やかな雰囲気だろう。

お土産やらをぶら下げて、両国の古い駅舎を懐かしんで、
帰途についたのだった。

ここは、もう少し、早く来て、一日頑張る気で来ないと
もったいない。
次回から、そこのところしっかり構えていざ行かん!!態勢で、突入すべし。
と肝に銘じたのだった。(長文お付き合い感謝

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 若冲の拓版画  山内長三 編 | トップ | 都路華香展 (後期) ・東... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
江戸城は (oki)
2007-02-13 21:44:55
外国人が多くなかったですか?
雑誌にそんなこと書いてありました。
僕は招待券を人からもらっていたのですぐ入れましたがー行ったのが1/3、やはり入場券買うのに並んでましたね。
読売の作戦なんでしょうかね、僕は読売見ていないのでどんな紹介されているかわからないのですがー。
常設から観られたのはいいお考えですね、僕は混雑を避けてバーチャルナントカは未見なのです。
都路華香の後期が明日から始まりますねー時間がたつのの早いことまあ。
返信する
oki さま (あべまつ)
2007-02-13 23:06:19
okiさま、こんばんは。
昨日は、日本人がほとんどでした。
ツアーや、旅行会社の思惑があるんでしょうね。
あそこはテーマパークですもん。
しかし、人が多かったです。
来週の日曜日、東京マラソンの計らいで、江戸博とか、無料のところあるらしいですね。
庭園美術館はぐるっとパス券あるし~、
江戸博は行ったばかりだし~。

明日、近美に行けたらいいなと思っているところです。朝の私の気分で決まります。
行けたら、頂いたチケットを生かしてきますね!!
謝謝!
返信する
北斎+和宮+羽子板 (とら)
2007-02-14 08:10:19
↑のトリロジーは最高でした。北斎の記事には熱がこもってますね。600円也のミニ図録を見直してみます。
江戸城への登城は見合わせました。私の行った頃にはそんなに混んでいるようには見えなかったのですが・・・。
返信する
とら さま (あべまつ)
2007-02-14 21:47:48
江戸城は、お正月に日光で久しぶりにギンギンの陽明門やらを観てきまして、徳川家の趣味に疑問を持ったのですが、江戸城もやはり破格のものがありました。
混雑が災難ですが、お宝ざくざくは、美術鑑賞とは違うジャンルで楽しめます。

「北斎展」がメインで行ってきたので、つい、
力んでしまいました。来週あたり、ギメ行ってこられたら~と思ってます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。