あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

いけばな協会展に参加してきました。

2013-03-16 16:32:47 | 

 3月6,7日 両日に
 新宿高島屋で開催された「いけばな協会展」に今年初参加してきました。

 この展覧会はいままで上野松坂屋での開催でしたが、
 今年は新宿高島屋の開催となりました。

 通う教室の生徒さん達が毎年参加し続けてきたのですが、
 常連さんの事情があって、お休み中だったり
 何回かお手伝いしてきたので、
 今年、思い切ってみなさんとご一緒させて頂くことになりました。

 参加が決まってから
 さて、どんな花器を使おうか、
 花材は何を使おうかと悩むわけですが、
 3月の花材、二日間の開催に耐える花材、
 色々条件が生まれてきます。
 展示する場所や、サイズも大切な要素です。

 ギリギリにならないとイメージが湧いてこないものですが、
 最初に使おうとしていた
 シンプルなガラス花器では家で試し活けしても
 なにか物足りなく、心躍らなかったので、
 花器を決めるまでふらふら落ち着きませんでした。

 ようやく、去年飯能の窯で作った自作花器を使うことに決定。
 これならばなんとか形も妙だし、遊べるのではないかと思いました。

 花材はきっと周りの方々は春一番の枝だものを使われることと思ったので、
 あえて枝を使うことを避けることにしました。
 
 花屋さんで見つけたのは
 かすみ草、アスパラというグリーンの繊細な葉っぱ、
 それにユーココリーナという優しい小さな花、
 そしてピンクの小振りなチューリップ。

 野に咲く花に近い雰囲気で、ふんわりと仕上げてみたく思いました。
 
 会場へは一日前の5日、2時からいけこみをして、
 翌日は朝8時半には会場について手入れに入ります。
 学んでいる、草月流のほか、沢山の流派が一堂に会します。
 こういった機会はこのいけばな協会展があればこそ、
 実現するのではないでしょうか?
 それぞれの流派の家元クラスも圧巻の大作で参加されます。


 5日はとても温かな一日で、
 気持ちも春めいて楽しく花に向かえた気がします。
 高島屋の従業員通路などを通り抜けて
 やや緊張気味にいけ込みに向かいました。
 大体、これで良いという先生にチェックして頂いて
 あとは明日、会場が開くことを待つだけとなりました。
 周りのいけ込みも熱気を帯びていました。
 その現場の空気とか、気配とかはやはり行ってみなければわかりません。
 なんとか無事に明日がきますようにと帰宅したのでした。

 翌日、8時半前には会場入りして
 花の手入れをします。
 水を取り替えたり、水切りをし直したり、
 元の形に整えたり。
 9時半にはその手入れも終了し、10時に会場オープンです。


 
 ここまでくると、お疲れ様、と終わった気持ちになります。
 お客様の人数とかはもはや手の及ぶところではありませんから。
 でも、沢山の方が押し寄せて下さっているようだったので、
 ついでにご覧頂ければありがたい、そんな気持ちです。

 やれやれと思っているうちにお昼です。
 友人が訪ねてくれてお花よりもランチです。
 後からゆっくり見てもらいました。
 すると、昼過ぎには空調や、野外の気温のせいもあって、
 チューリップが咲きすぎてしまって、
 すぐに花を調達しなければならない状態に変化してしまいました。
 私の先生や、仲間の花材もなぜかくたびれてきました。
 花の緊急事態に花屋さんによって花材を調達しに行くこととなりました。
 翌朝、ラッシュに揉まれてはいけないので
 6時半過ぎの電車に乗って大切に運び込みました。
 お陰でなんとかその日一日を無事に花が持ってくれたので、
 ほっとしましたし、朝の手入れの重要性を実感もしました。
 
 友人知人達もワイワイ押しかけてくれて
 花よりも会えたことの方が嬉しい時間となりました。

 身内びいきで褒めてもらえたことも照れくさいけれど、
 やっぱり嬉しいことでした。

 今回は私の動ける平日のいけこみ、木曜日のあげばな(花を片付けること)を
 優先するとどうしても土日お休みの方々に声を掛けられず、
 またお仕事の方々にも新宿というアクセスもあって
 限られた方々にしかお声かけられなかったのですが、
 それでも、高校、大学の友人、文楽に通う友人達、
 親戚のいとこ、おばたち。
 喜んで見て下さったことが何よりの喜びとなりました。

 また、偶然ではありますが、
 東北大震災の当日、従妹宅で活けていた花がチューリップだったことで、
 私自身のなかでささやかな応援の気持ちも滲ませていました。
 どんなことがあっても
 花は咲き、見つけたひとの人の心をほっとさせる力があると
 信じたのでした。

 私の参加は2日間だったけれど、
 この2日間に至るまでの道のりや、
 先生達のご指導や仲間達との協力など、色んな事を
 集約できる良いチャンスだったと思います。
 家族の理解も(諦め?)有り難い事です。

 経済的にはなんの功績もなく、むしろ経費がかかるだけで
 少しも役に立つことはないのですが、
 会場内のお客様達のにこやかな顔は
 花の力を頂きながらも沢山の人の心に微笑みを届けられるのだとしたら、
 それはまたすてきなことだな、と幸せな気持ちになれました。

 7日の木曜日、6時の閉場と同時にさっさと後片付けをして、
 直ちに次の方へ場所を受け渡さなければなりません。

 悩ましい時間を思えば、片付けのなんと一瞬のこと。
 
 へとへとになりながらも、
 花材道具一式をキャスター付きバッグに押し込んで
 新宿を後にしました。
 怒濤の3日間でした。

 それにしてもお花の先生達のパワフルなこと。
 
 いけばなをしている人びとのお元気なこと。

 まだまだ学ぶことが多く、この歳でうろうろしていてはいられないのだと
 背中を押されました。

 来週は目黒雅叙園での花展が始まります。
 私は自分の先生のお手伝いに行ってきます。
 現場の体験は実に勉強になります。
 そういう機会を頂けることに感謝しています。

 自己アピールの花よりも、
 見て頂く方のためにそっとありたい、そんな花ができればと
 思った花展参加でした。
 
 見て下さった方々に、感謝です。
 機会を逃した方には次回、お目に掛かりたいと思います。


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