あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

朝鮮の陶磁器展 ・石洞美術館

2009-12-13 23:45:59 | 美術展
以前行ったときに住所を残したお陰で、
以来ありがたく展覧会のはがきを送って頂いている。

思い出したころにぽつんと届くので、
ポッと心が温かくなる。

北千住からローカルなちびバスに乗って、
なんとなく小旅行気分。

今日は母とてんぷらランチをして、のんびり出かけた。

ボーイも夫も各々のしたいことでお出かけ。
したいことがあるのは良いことだ。
おかげで私はこうして母とお出かけできる。

母は伊豆で素人のやきものを趣味でやっているので、
こういうやきもの展は身近に感じられるのだろう。
いい刺激になるのではないだろうか。

入り口のドアを開けると別世界が飛び込んでくる。

華岳の裏に向いた椿とか、
龍三郎の鉢に入ったリンゴの絵なども展示されている。
ここは浮世絵が掛けられることが多い、所蔵品コーナー。

たくさんの陶片が並んでいる。
土器から始まり、新羅の焼きしめられた土の欠片。
青磁や白磁の欠片、鉄砂の欠片などなど。
刻まれた手の跡がものを作った人の記憶。
それを今、私が見つめる。

スロープの上り坂を段々上がっていく途中途中に作品。

伽耶時代、5~6世紀の小さな手の付いたカップのようなもの。
線刻の細い模様が繊細な仕事ぶり。
土の色もいい。

その隣の大きな土の壷。
信楽と備前が合体したようなおおらかな壷。
これは欲しい逸品。
高麗時代のもの。

三島出といわれる青磁の瓶、椀が並ぶ。
筒茶碗のようなもの。
徳利のようなもの。
大き目の合子。

私の好みとしては、刷毛目、が大好き。
今のものも刷毛目が好き。
小さな皿や鉢、椀の緩やかな形。
どれもが懐かしい風合い。手触りも重たさもきっと
ざっくりしているに違いない。

続いては粉青粉引。マットな白い表面が特徴。
やりすぎると白いクリームがべったりな感じになるが、
どこかのどになるところが朝鮮陶磁器。

白磁の面取りされた楽しい鉢、瓶。
現代の住居でもなんら違和感がない。
受け入れる寛容を感じるのが、李朝時代のもの。

青い染付が生まれる。
ささやかに大事に草花が描かれる。
野の花がぴったりだ。
決して牡丹は描かれない。

青から赤へ。
鉄砂のゆるやかな線。
絵唐津の元祖のような、素朴な柄。
柳はその典型。

または色をつぶした黒の世界。
黒釉。でも重たくはない。
色を隠しているだけで、黒砂糖のような、美味しそうな
黒。さくさくして甘そう。

海鼠釉のまだらな青と赤の混合。


大きな白磁の壷が現れ、
また一心の文字を抱えたおおきな壷。
鉄砂で文字は黒々していても
息遣いがそこにまだ残されている。

小さなものたち。
水滴のかわいらしいものたち。

鳥や、蛙になった水滴。
白磁に青の竹が描かれていたり、
小さなお家になったものもある。
いとおしき小さなものたち。
愛玩するべきして生まれてきたものたち。

80点あまりの愛すべき朝鮮陶磁器の
コレクション展。
陶片は青山学院大学三上コレクションから。

色々ばたついていた一週間ではあったが、
こういう一息つく温かなコレクションを目にすることができて、
たっぷり癒された。

母もじっくり鑑賞して堪能していた。
よかったわね~と二人で大満足。
帰りも小さなバスでぐるり回ってもとの
北千住駅前。
下町の昭和の残る景色と荒川べりを通って、
近くにこんなところがあったのかと発見も楽しい。

どんなところかは
こちら
をご覧ください。
石洞美術館。

喧騒を避けて、ひといきつきたいときに
お勧めします。
平日は障害者たちの生活を応援する手作りパンとコーヒーが
お腹にもひといきつけさせてくれます。

この展覧会は20日までです。
来年は茶道具展。これもまた楽しみです。

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4 コメント

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Unknown (遊行七恵)
2009-12-14 12:50:45
こんにちは
行きたい行きたいと思いつつ、今年はアカンなぁと。北千住は町中をぶらつくのも好きなんです。しかし今回はタイミングが合わず残念。
来年、よい展覧会があればご一緒したいですね。
ここの隣の会社(同じ敷地内かしら)は知ってる会社なので、場所はほぼ把握してますが、なかなか行けず、こうして美麗な朝鮮磁器を見損ねて、あべまつさんの記事でホホーホホーです。
返信する
遊行 さま (あべまつ)
2009-12-14 22:25:24
こんばんは。

なんともユニークな美術館ですが、ご近所の会社をご存知とはまたそれもすごいことで。
ぜひぜひ来年はどこかでご一緒しましょう。

千住の昭和の香りの建物もいい感じです。
蔵があったり、石造りの建物や、古い医院や、やりかけ団子屋さんも。
五木寛之も現れた花街の名残もまだあるのかもしれません。
朝鮮陶磁器、いよいよ癒されました。
これから茶の湯、のちに柳宗悦の民芸へとつながっていくのですねぇ。
返信する
Unknown (oki)
2009-12-15 23:29:38
お久しぶり。
地元の美術館ですか、いいですね、障害を持った方たちが喫茶店をやりくりされているとは。
なかなか下町の方に足が向かないのですがー山の手で行く美術館が沢山あるーあべまつさんのお住まいの近くに、アミューズミュージアムなんかも開館しましたよね、北斎美術館も出来るんですよね。
東京スカイツリーなんかで下町も変わっていくのですね。
今日は年金支給日でしたね、銀行のATMには警官が張り付いていましたね。
ところであべまつさん、もういけばなには行かれたのかな
返信する
oki さま (あべまつ)
2009-12-16 08:50:32
おはようございます。

お久しぶりです。
実にローカルな香りのする、暖かい雰囲気がありますが、お客さんが少ないのですよ~
逆な利点もあります。たっぷりじっくりが可能です。
浅草下町界隈がにぎわってますね。
段々スカイツリーが伸びてきています。
いけばな展にはまだ行ってないのですが、
お花の教室の方々とご一緒する予定です。
チケットも手に入りました。
案外見所あるようですよ~
お正月明けのほうが生花が豪華かもと。
ボーイ、やっと塾デビューしたのですよ。
やれやれ~です。
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