あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

岩崎邸界隈

2009-12-19 22:54:51 | 遊山
彼女とは市川に住んでいたころからの付き合いだから、
もう20年以上も続いているということに。

お互いになんだかんだを承知してくれているありがたい友だ。

そんな彼女もお疲れが出て、いまちょっと休養中。

それで、最近はよく同行することになっている。

昨日は、家からも近いし、彼女も動きやすい上野ツアーをすることに。

待ち合わせが11時で、のんびり歩いて

早めの藪そばを、と思っていたら、
ちょいと早すぎた。
お店に11時半からですよねぇ?と知ってて聞いた。
鸚鵡返しに、11時半ですよ~と。

しゃぁない、時が来るまでここらを散歩しよう。
そういう軽い気持ちで立ち寄った
岩崎邸。

何度目かだが、やっぱりいい建物だ。
ジョサイア・コンドル氏。
日本に洋館を建てに来た人。
河鍋暁斎に弟子入りした英国人。

巨木のイチョウのから落ちる黄色い葉がまだ少し残っていて、
秋の終わりと冬の始まりを教えてくれた。
日差しは温かだったが、寒い一日だった。

今回はボランティアさんの解説を伺うタイミングに恵まれた。
柔らかな雰囲気の品の良い女性で
すっかり色々を伺うことができて、
友と一緒に満足した。

来年の大河ドラマとこの建物の物語が同じ時を経てきているようで、
岩崎家の物語も広く知れることとなるだろう。
根津青山の話をちょっと思い出したが、
彼が巨額の財をなげうって、日本の美術品の流出に
歯止めをかけようと盛んにコレクションした背景には
アメリカにわたって、手にした巨万の富をワタクシするのではなく
社会のために遣うという精神を学んだとか。

ここの岩崎邸もそういった精神が受け継がれていたようだ。
関東大震災があったとき、この辺被災者達をすぐに受け入れて
多くの人たちを助けたそうだ。

建物の物語は、岩崎邸の物語でもあり、
ひいては近代化の日本の物語でもある。

ボランティアさんのお話はとても幅のある
面白いお話しがたくさんあった。
世界大戦中、アメリカにこの建物を貸していたころ、
部屋の壁紙、金革紙の上からペンキで塗りつぶしてしまったとか。
修復に当り隠れていたところからその一部が発見されて、
ようやく復元に成功したとか。

まったくその国の文化をペンキで塗りつぶすとは!
ジョサイア・コンドルもアメリカが嫌いだったとか。

日本間の釘隠しのひし形も、
逗留の記念にとかでお持ち帰りになったらしいし。

日本間に使われている木材が大変だった。
何しろ長い廊下その天井に継ぎ目なしのヒノキの板。
奥座敷の天井には厚さ3センチもの杉の板。
今この板一枚に一千万はするというお話も!! 

変遷は、今だから気がつくことがある。

やはり、日本の工芸のすばらしさは、
どこの国に行っても負けていないと。
自信を持とうと。

日本間も岩崎家ゆかりのシンボルが満載。
船で一代を築いたということから洋館からの
廊下の天井は船底を模した形。
岩崎さんは大きな大きな石がお好きだったようで、
日本邸のあちこちにあきれるほど大きな石が
おかれている。

ステンドグラスは外の景色の色を受け入れるような工夫。
急な階段は使用人用。
決してお客様の前に出てこないような仕組み。
身分のきっちりした使い勝手。
テラスには使用人を呼ぶベルの小さなスイッチ。
光り輝く鏡、天井のこだわり、
食堂には食欲を増す赤を壁紙に使う。
物を受け渡すためのドアは、全部開けずに
小さなドアが開いて、ワゴンだけ出てきたり、
トレーの受け渡しだけしたり、一枚のドアが
上中下3枚に分断する仕組み。

面白いところがたくさんあった。

広い芝の庭というのも、珍しく、
それでも遠景に日本庭園を取り込んだのだそうだ。

こうしてみると
日本、英国、イスラム、アメリカンカントリー
いろんな国のモチーフが散りばめられていて、
不思議な調和も感じられる。

一週間前に来たら、イチョウの葉が芝を黄色に
染めていたそうだ。

春にはタンポポが芝一面に咲くそうだ。

四季折々、時々こちらをのぞいて、
いろんな顔をする岩崎邸を楽しむ事も面白そう。

あっという間に1時間ほどが過ぎて、
お腹も十分すいたので、心地よくそこを離れた。

藪そばへでは、鴨南蛮で温まろうと思っていたが、
牡蠣南蛮、のお品書きに目が留まった。

牡蠣南蛮。いってみる?
いいわねぇ。

そういうお腹の欲求には従ったほうがいい。
結局二人で抜群にほろほろつるつるの牡蠣を
5個入った熱々おそばを食べて大満足。

気をよくして東博へ向かった。

時間がかかりすぎて、チベットはまた次回に回すことに。

東博も書くことがいっぱいあるので、
また次回。

楽しいひと時だった。ごちそうさま~~

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 筆墨の美ー水墨画展 ・静嘉... | トップ | 東博平成館、本館の常設  ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (キリル)
2009-12-20 01:19:29
こんばんは。
岩崎邸のそばを何度も通りながらいまだ訪れたことがなかったのですが、今度こそ出かけてみたくなりました。
金曜日はかなり寒かったから、そばもおいしかったでしょうね。池の端でしょうか。
返信する
キリル さま (あべまつ)
2009-12-20 22:20:25
こんばんは。

ぜひ一度岩崎邸にお立ち寄りになってみてください。静嘉堂の雰囲気とはまた別世界。
洋館和館の不思議な調和も面白いですし、
あきれるほど大きな石、一見の価値ありです。
土日はミニコンサートなどの企画もあります。
お蕎麦屋さんは、仰っている池之端ですが、湯島駅に近いです。ご存知ですか?
ちょっとお高いし、満腹する蕎麦屋じゃないのですが、贔屓にしてます。
返信する
Unknown (遊行七恵)
2009-12-21 22:13:28
こんばんは
岩崎邸は工事中の頃に二度ばかり見学し、一般公開前にも鑑賞に行ったりしました。
工事中のモノスゴサは忘れられません。
剥落とか色々・・・・・・
今こうして立派に活きているのがとても嬉しく思える建物です。

進駐軍はとにかくペンキ文化しかないんで、めちゃくちゃのやりたい放題で、建物の見学に行くたびにムカムカプンプンになります。
でもこうして再生してくれて、本当にいいことやと思います。
返信する
遊行 さま (あべまつ)
2009-12-22 16:04:52
こんにちは。

工事中を目撃されていたとは、それは貴重なる体験でしたね。

>進駐軍はとにかくペンキ文化しかないんで

オホホ~受けました。
岩崎邸が妙にペンキくさい質感があるのは、
その所為であったかと納得です。
ボランティアさんの説明を伺えて、たまには
詳しい方の話は聞くものだと思ったのでした。
ビリヤードの小屋が地下でつながっているのが面白い。今回はチラ見でしたが、また行きたくなるところです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。