あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

河井寛次郎 生命の歓喜 ・日本橋靍島屋

2011-01-06 12:22:28 | 日本美術
デパートの姿もそのデパートが好きかどうかに関わる。
銀座よりも日本橋の方が建物が重厚で
空気が好きなのでつい、贔屓にしている。

三越と靍島屋と三井があのままの姿で、
存在続けていってほしいと願っている。

靍島屋といえば、エレベーターガール。

お客様にご不便をかけてはいけない、というのが
サービスの基本だとすれば、
このサービスも年寄りにも有り難いし、
続けてもらいたいものだ。
サービス、ホスト精神そういうものに触れることの
幸せ度がデパートに詰まっている気がしている。

それはともかくとして、
「河井寛次郎」
民藝のおじさん。

京都駅近くに記念館があって、彼の趣味が大集合している。
ゴツゴツとした木工の家具や、
彼の作陶の数々が陳列されていて、
ほっとする空間だったことが懐かしい。
かれこれ20年前の話か。

彼の特徴として作品に名を残さない。
人間国宝も文化勲章も断った。
民藝活動に関わった人々との関係も興味深い。

駒場の日本民藝館で彼の作を見たことがある人も多かろう。
浜田庄司と並ぶ陶芸家。

しかし、はじめっから寛次郎が寛次郎であった訳ではなく、
この展覧では若い頃からの作品が
人生の歩み順に並べられていた。
漠然としていた寛次郎が浮き上がってくる仕組み。

学生時代様々な陶芸を学んだ作品群。

大工の息子らしく、鉋、ノミを扱い、
木を扱い慣れていた証明のような
木工品、家具、木のオブジェ。

時々かけられている
禅語のような詩。

靍島屋との関わりや、
当時美術記者だった井上靖たちとの交友。
棟方志功をつれてきた、という逸話。
絵付けに土をチューブに入れて線書きし、
その中に釉薬をたらし込む絵付けの仕方を生み出した。


そしてパリ万博へ出品し表彰される。
作陶に傾いた絶頂を迎える。
後年、ますます力あふれる作品にチャレンジする。
形も色も大胆不敵。
手のひらを合わせたモチーフが
生命への祈りとなり、
この展覧のタイトルに結びつく。
「生命の歓喜」

どっしりした安定感ある力強いフォルムと
野の花が咲くように
色付けされた陶芸。
合わせた手と手が平安安寧を呼び込んでくる。

寛次郎が寛次郎らしく楽しく生きた。
その証を映像も含めて懐かしいおじさんにあった気がした
楽しい時間だった。

この展覧は 17日まで。
民藝おじさんの楽しい物語です。ぜひ。


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2 コメント

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Unknown (すぴか)
2011-01-12 23:15:34
こんばんは。
ご無沙汰してます。年末年始と何か言いそびれて、すみません。いつも拝見してるのですけど。まあ今年もよろしくお願いします。
河井寛次郎見て銀座三越へ、私も友人と同じコースでした。どちらも思いがけない発見で、かなり興奮してしまいました。
山口晃は初体験。寛次郎は周りにファンが多く、同調してといったありさまだったのですが、よかったですね。両方大ファンになった感じです。
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すぴか さま (あべまつ)
2011-01-20 23:54:24
こんばんは。
うっかりコメントにお返事するのが遅くなってしまって
申し訳ありませんでした!

年初のデパート展覧はなかなか楽しいものでしたね。
お正月のめでたい雰囲気の展覧会は毎年うきうきします。

今年も沢山素敵なアートと出会えますように。
寛次郎も、山口晃も親しみやすい展覧でした。
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