あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

花鳥の美ー珠玉の日本・東洋美術(前期) ・出光美術館

2011-05-24 23:22:39 | 美術展
大惨事の後の展覧はその出品作品をどう収集してくるかが
大きな仕事となってくるだろうが
この出光、所蔵品が充実しているので、
今回の展覧はすべて自前で賄っている。

おそるべし、出光コレクション。

それで始まったのが
「花鳥の美」

いかにも得意ジャンルな展覧だ。

しかし、考えてみれば花鳥の文様を抜きに日本美術は考えられない。
どんなものにも花鳥が描かれてきたのだと
改めて思い知らされる。


 1花鳥が出会う水辺

ここでは伝雪舟の屏風、織部の千鳥向付5客、蒔絵硯箱
やきものでは朝鮮の青磁象嵌に柳水禽文、蒲柳鷺唐子文などの瓶。
絵付けのお皿では桃山の絵唐津、
景徳鎮の青花芙蓉手花鳥文皿、古九谷の色絵松竹鶴文の大皿。
水際に遊ぶ鳥達の絵の章。


何度見ても素敵な空気感があるのは
山本梅逸の「四季花鳥図屏風」
絵具が色薄い使い方なのにとても沢山の花鳥達が
登場するし、墨も抑えめなのにどこか惹かれる魅力がある。

また、下がったところの一角には
狩野永納の「遊鶴図屏風」がゆったり鑑賞できる。
まじまじみれば鶴の親子がこんなに微笑ましく描かれ
こんな屏風が他にあっただろうかと、思わず見入ってしまった。
描かれる花達も鍛錬に描かれ、
見知った気持ちでいる事を反省しつつしばし
鶴の親子の散歩につきあう事にした。



 2 文様の美を競う

ここには珍しい事に堆朱のお盆、食籠などが並んだ。
漆の固まりがものの見事に彫り抜かれ、重厚な朱が
中のものを守護している。


終わりに「四季草花図屏風」喜多川相説 の作。
端正で屏風の仕立て具合も親しみやすい。
喜多川相説 という人を初めて見た。

 3 富貴花の展開

初めに田能村竹田の「春園富貴図」が掛かる。
その横から、みごとに中国のやきもの、景徳鎮が並んで壮観。
やきものにも沢山花が添えられてきたのだ。
法花牡丹文香炉 中国・明 嘉靖時代
この香炉をみて、寛次郎を思った。

 4 幻想世界に迎えられた鳥たち

鳥といっても霊鳥、神様のお近くに存在してきた
鳥の中でも一番くらいの高い鳥たち。
鳳凰、孔雀、鶴などが様々なところに現れる。
絵画であったり、鏡であったり、お皿であったり。
壷になったり。
鳥の位が神々しいと使う人の位も高くなる事が
よくわかる。
鳥の人相(鳥相?)さえ、つんと品よくセレブな雰囲気が漂ってくるものだ。


 5 人々に愛された花鳥の主題

最後の章はもっと身近な鳥たちと花たち。
二つの頭を並べた青花鴛鴦形水注 ベトナム 
この鴛鴦は仲がいいのか、怪しげな人相で
使う人も楽しんだのではないだろうか。
鶏も図柄として外せまい。
ラストに
堂々と「花車図屏風」
桃山時代の豪華絢爛「吉野龍田図屏風」で締めくくられた。

出光の春爛漫の花鳥たちから
めくるめく命の息吹を堪能できる、
充実のコレクション展であった。
24日からは
「遊鶴図屏風」の代わりに
あの「日月四季花鳥図屏風」が登場です。

皇居の景色を借景しつつ、お茶で一服もまた至福な時間です。
ぜひ、心躍るひとときを。
次回は
「明・清陶磁の名品」やきものファン垂涎ものと出会えるはずです。

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